2Dのコンセプトから 3Dイメージまで。Blender 使用、SFシーン『Colony』のメイキング Part1
Samantha Kung 氏 が、初期アイデアのブレインストーミング から モデリングまで、SFシーンのデザインプロセスについて語ります(全3回の1)

はじめに
この Part1 では「形態(フォーム)は機能に従う」という理論の重要性を軸に、2Dコンセプトから最終 3Dデザインまでの制作プロセスについて 解説します。Part1 から Part3 まで 3回にわたり、Blender での構図検討やプロップの統合、そして Photoshop による最終的なシーン構築まで、コンセプトアートのワークフローを紐解いていきましょう。
最終イメージ:さまざまな プロップが どのように統合されているか を示しています
01 リサーチと機能分析
サムネイルスケッチを描き始める前に、テーマのリサーチと分析に時間をかけます。宇宙船や戦闘機の構造と断面図を検索して、実際の「メカニズム」を理解することから始めました。宇宙船には多くの構造部品がありますが、デザインで焦点を当てるべき基本機能は、胴体、タービンエンジン、キャビン、センサー、昇降装置、空気口などです。
デザインする前に、宇宙船の機能を理解する
02 形態は機能に従う
ガンプラ を購入し、組み立て説明書を読めば、関節同士がどう繋がり、どう動くかを学べます。優れたデザインは単に「かっこいい」だけでなく、「機能的であること」が求められます。プラモデルの組み立ては、ハードサーフェス デザインの原則を学ぶための最良の練習になります。
組み立て説明書を読んで、関節の仕組みを学ぶ
03 宇宙船のサムネイルの作成
研究した基本機能を踏まえ、コンセプトスケッチを描きます。この際、絵の横に「注釈(メモ)」を書き込むのがコツです。これにより、デザインの目的を見失わずに済みます。今回は、「丸みを帯びた形状」と「角ばった形状」の2つの方向性を探求しました。
ラフスケッチ(注釈つき)
04 Blender でのブロックアウト
ゼロからモデリングを始めるのは難しい場合があります。まず、立方体や円柱のような単純なジオメトリを使って主要な形をブロックアウトし、次に進む前に、全体のプロポーションの修正に忍耐強く取り組みます。この段階ではディテールを無視してかまいません。
まず 主要な形をブロックアウト、ディテールを追加する前にプロポーションが正しい方向に進んでいることを確認する
05 ディテールの洗練
ハードサーフェスのカットラインや、パーツがどのように接続されているかを理解するために、より多くの実物のリファレンスを探します。このステップはディテールのデザインに必要で、機能的なデザインを生み出すためのアイデアを与えてくれます。私はアイデアをさらに引き出し、ディテールを具体的に描き出すために、Photoshop でモデルの上にラフな落書きをしてみました。
多くのリファレンスを検索して、ディテールを洗練させる
06 Blender アドオン:Boxcutter と Hard Ops
Blender アドオン Hard Ops / Boxcutter を導入したところ、ワークフローが効率的になりました。このツールキットで形状をカットしたり、新しいジオメトリを手早く挿入したりすれば、生産性は高まり、時間の節約にもなるでしょう。
モデリング作業中は、モデルが整っていて、面が反転していないことを確認します。面をダブルチェックするには、[Alt]+[V]キーを押して面の向きの表示を有効にします。青色は正しい面の向きを表し、赤色は反転した向きを表しています。反転した法線の問題を解決するには、編集モードに切り替えて、[Alt]+[N]キーを押し、次に「反転(Flip)」をクリックします。
Blender アドオンを使い、3Dモデルを構築する
07 宇宙船の最終デザイン
ドラフトサムネイルに基づいた最終コンセプトです。モジュール式のタレット(砲塔)を採用し、パーツの分解・組み立てができる柔軟なデザインにしました。宇宙船には 1つのマテリアルのみ使用、最終シーンに不要な派手なテクスチャは追加しません。
最終コンセプト
08 スペースクラフト(小型機)のラフスケッチ
宇宙船を完成させたら、スペースクラフト(小型機)の制作に移ります。別の方法を示したいので、今回は白黒のスケッチから始め、アイデアを素早く形にしました。これらは単なる2Dグラフィックなので、次は 3Dビューポートでどのように見えるかを確認します。Blender の グリースペンシル を使い、スケッチに基づいて形をモデリングし、頂点を少し修正して面を埋めました。これはクリーンなモデルでも最終版でもないため、実験したり、全体のプロポーションをテストしたりしてもかまいません。
Photoshop で大きなブラシを使ってアイデアをスケッチ。Blender の グリースペンシル で基本形状をモデリングする
09 クリーンな線画
Blender に移る前に、明確にアートの方向を決めるため、クリーンなラインアートに取り組みます。宇宙船を作った際は、2D と 3D間を何度も行き来してアイデアを展開したため、少し時間がかかったように思います。そこで、今回は作業プロセスを変更し、より整然とした方法でコンセプトを描き、モデリング段階に簡単に移行できるようにします。
モデリング前にクリーンなラインアートに取り組む
10 スペースクラフトの最終デザイン
ステップ 04-06 までのモデリング手順を繰り返します。まず シンプルな形から始め、Boxcutter と Hard Ops ツールでゆっくりと組み合わせていきます。デザインでは、ジオメトリとカットラインの修正にかなりの時間を要しました。このスペースクラフトは左右対称なので、[Alt]+[X]キーを押して反対側にも作成します。このショートカットは、オブジェクトをミラーリングする際に便利です。モデル全体が完成したら、メタリック感を出しつつ、ラフネスを抑えたベースマテリアルを適用します。
最終コンセプト
11 カスタム形状を作成するウェブツール
アイデアに詰まったときは、ship.shapewright.com が役立ちます。空欄にランダムな単語を入力して「Build It」ボタンを押すだけで、自動でユニークな形状を生成してくれるため、それをベースに作業を開始したり、上にペイントオーバーしたりしてデザインを広げることができます。
私の名前「Samantha」に基に、シンプルな形を組み合わせる
>>> Part2 は こちら
>>> Part3 は こちら
関連リンク
• Blenderアドオン(Hard Ops & Boxcutter)
• 【チュートリアル】マットペイント:『Night -サムライの復讐』のメイキング
• 【インタビュー】建築デザインの知識を基に:コンセプトアーティスト Samantha Kung氏
編集部からのおすすめ: 「マジック:ザ・ギャザリング」や「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などのイラストレーター グレッグ・ルトコフスキ をはじめ、著名アーティストたちが、アートの必須知識、「構図」や「ナラティブ」の理論と実践を徹底解剖します! 書籍『構図とナラティブ:絵にストーリーを語らせる秘訣』
























