2D から 3D へ:スタイライズ キャラクター「Michi」のメイキング
スペインの シニア モデラー/キャラクターアーティスト Cristina Ortega氏 が スタイライズ キャラクターを 2D から 3D に変換するプロセスを紹介します
はじめに
このチュートリアルでは、素晴らしい Laia Lopez氏 のコンセプトを基に「Michi」を作成していきます。モデリング(ZBrush、Maya)から最終レンダリング(Arnold)までのプロセス、そして、Marvelous Designer でスタイライズの衣装制作のテクニックやコツを紹介します。
「Michi」の完成イメージ
01 コンセプトの分析
プロジェクトを始める前に、私はよく 絵の上にスケッチします(※ペイントオーバー)。こうしてコンセプトを分析すれば、プロポーションやボリュームをしっかりと把握できます。髪型はアングルで変化するので、必ず理解しなければなりません。そうすれば、ブロックアウトの段階で役立つ主要な形を特定することができます。
Michi(コンセプト/ 制作:Laia Lopez )
初期スケッチ<(コンセプトにペイントオーバー)
02 適切なリファレンスを探す
コンセプトを分析すると、キャラクターのどの部分にリファレンスが必要なのかが見えてきます。今回の場合、「手の位置」や「後ろ髪」に関する情報がありません。
私は常に、時間をかけ、適切なリファレンスを探してから、スカルプトに取り掛かります。また、服の型紙を探すのも非常に重要です(※ Marvelous Designer で使用するため)。いつも Pureref でリファレンスを整理しています(グループごとに分類するのが好みです)。
プロジェクトに関する Pureref のリファレンス
03 素体をスカルプトする
通常はベースメッシュから始めますが、今回は、球から始め、キャラクターをブロックアウトしました(その方が自由に形を模索できます)。
トポロジを気にせず、押し引きしてさまざまなバリエーションを得るため、最初のうちはパーツを別々にしておきます。ZBrush のシルエットウィンドウを常にチェックし、どの角度から見てもうまく読み取れるようにします。
全体に納得できたら、パーツをダイナメッシュで結合し、アナトミーに取り組みます。その後、Maya で基本的なトポロジを追加し、ZBrush に戻ってディテールをポリッシュしました。足元と靴は見えないので、あまり手を加えていません。
※この手順を 詳しく知りたい方には、書籍『ステップアップのためのZBRUSHガイド』をおすすめします。
ZBrush で素体をブロッキング
04 顔の制作
顔にアピールを加えることは、キャラクター制作の重要な部分です。コンセプトのエッセンスを残しつつ、自分好みのスタイルを組み合わせた方向性が見つかるまで、顔のバージョンをいくつか作りました。顔をスカルプトするときは、キャラクターの性格を考えながら、造形していきます。
素体と同じワークフローで、全体の方向性に満足するまでダイナメッシュを適用します。その後、Maya の[四角ポリゴン描画]でトポロジを追加し、さらにポリッシュしました。クリーンなトポロジの方が、ボリュームを定義しやすいでしょう。続けて、頭部と胴体をつなげます。この段階で、私は ZBrush のポリペイントを使って色を着け始めます。そうすれば、キャラクターのルックを把握するのに役立ちます。
ZBrush で顔をスカルプトする。トポロジは Maya で整えます
05 ヘアチューブで髪の毛を作る
数種類の[hair tube]ブラシで髪をモデリングし、必要な形に合わせるために1つずつ塊を修正しました。必要に応じて、ジオメトリを増やしたり減らしたりしています。複雑なエリアは、Maya で編集し、交差する部分をコントロールして、トポロジをうまく適応させています。
後ろ髪の下部(毛先)には苦労しました。最初は、他の髪の毛と同じようにそれぞれの塊で形成しようとしたのですが、とても複雑に見え、見栄えが悪くなりました。最終的に単純化し、Maya で後ろ髪の毛束と同じようにソリッドなボリュームを作成しました(ハードサーフェスのパーツのように)。
ヘアチューブ。各毛束は ZBrush の[hair tube]ブラシで形成し、後ろ髪はMaya でモデリング