ハードサーフェスモデリングの秘訣。SFの宇宙船をつくる:モデリング編

Victoria Passariello氏 が、シンプルなブロックアウトから テクスチャリングの準備の整った最適化モデルまで、SFの宇宙船のモデリングのプロセスを紹介します(3ds Max使用)


Victoria Passariello
3Dアーティスト
ハードサーフェスモデリング、テクスチャリング、スカルプティングを得意とする

はじめに

チュートリアル「SFの宇宙船をつくる」シリーズでは、SFの宇宙船の制作手法を紹介します(※シリーズは モデリング、テクスチャリング、レンダリングの 3回を予定/ コンセプト制作:Markus Lovadina 氏)。

私は1年ほど、宇宙船のモデリングに取り組んできました。この「モデリング編」では、さまざまなパーツをつくるテクニックを共有したいと思います。基本は「エッジループとエッジの押し出しのみでパネルやカットラインを作成する方法」ですが「縁取り(ボーダー)に面取りを施して ディテールある仕上げとする方法」、そして、最後に「メッシュを最適化する方法」についても説明します。これらのテクニックがあなたの役に立ち、制作の参考となれば幸いです。

01. コンセプトを捉える

モデリング開始前に、コンセプトをよく観察して、あらゆるオブジェクトと要素を捉える必要があります。オブジェクト全体を分解して さまざまなパーツに色分けすると便利でしょう。これら 1つひとつのパーツが 3Dモデルの個々のメッシュになります。その各パーツがサブオブジェクトを持つ可能性はありますが、ここで重要なのは、これから取り組む 主な形状の明確なビジョンを持つことです。

以下の図から、私が どのようにコンセプトを解釈して、パーツを分解しているかがわかることでしょう。

Markus Lovadina氏 によるコンセプトアート1

コンセプトを捉え、モデルの分割方法を決めます

02.ベースモデル

モデルのベースメッシュを用意したので、これらを元にして、残りの手順を続けます。このオブジェクトは半分なので、[シンメトリ]モディファイヤを適用して作業します。ご覧のとおり、とてもラフでシンプルなモデルです(※ベースメッシュは こちら からダウンロード可能)。

できるだけ基本形状がコンセプトに近づくように シンプルなボックスを作成し、エッジループやベベルを加え、ポリゴンをスケールしています。もちろん、ここで示すプロポーションは、後ほど変更する可能性もありますが、ディテール追加前に正確なプロポーションを決めると良いスタートになることでしょう。また、コンセプトに基づいて、各オブジェクトを作成していることにも着目ください。

ベースモデルには あまりディテールを加えず、できるだけシンプルにします

03.[ジオメトリを編集]と[コンストレイント]オプション

[コンストレイント]オプションは使用頻度が高く、このチュートリアルにも何度か出てきます。忘れられがちですが、とても便利な機能です。

編集可能ポリゴンのサブオブジェクトモード、[ジオメトリを編集]ロールアウトに[コンストレイント]オプションがあります。このオプションでサブオブジェクト選択(頂点・エッジ・ポリゴン)の移動/回転/スケールを行い、その変形を選択したコンストレイント(エッジ・面・法線)に制限できます。例えば、先細のポリゴンの頂点やエッジを移動する場合、[コンストレイント]>[エッジ]で変形をエッジの範囲に制限します。図は簡単な例です。

[コンストレイント]でサブオブジェクトの移動/回転/スケールを行い、エッジ・面・法線に変形を制限します

04.宇宙船の前部

コンセプトから判断すると、宇宙船の大きなパーツのエッジは非常に滑らかなので最初に作成しましょう。前側のエッジを選択、[セグメント]:2 で小さな面取りを適用します。下側のエッジも同様に行います。一方、上側のエッジには[セグメント]:3 で大きな面取りを適用します。なぜなら、コンセプトの宇宙船は上側のエッジが下側よりも滑らかに見えるからです(4a)。

すべての面取りを作成したら、不要な頂点を いくつか集約・接続します(4b)。面取りや押し出しを適用した後は、必ず、すべてのエッジループを確認して、必要な場所で頂点を集約・接続します。同様のプロセスで、オブジェクトの後部の確認も忘れないでください。

4a. 面取りを作成して、コンセプトのように滑らかにします

4b. 必要な場合は頂点を集約・接続します