テクスチャ作成の秘訣。SF宇宙船のメイキング:テクスチャリング編

3Dアーティスト Victoria Passariello氏 が、テクスチャ作成のさまざまなテクニックを紹介します(Photoshop、Substance Designer 等使用)


Victoria Passariello
3Dアーティスト
ハードサーフェスモデリング、テクスチャリング、スカルプティングを得意とする

チュートリアル「SFの宇宙船をつくる」シリーズのパート2、この「テクスチャリング編」では、テクスチャ作成のさまざまな段階を説明します。色を決め、損傷やウェザリング、そして、汚れ(ダート)を加えます。

Photoshop を使ったテクスチャを手描きするテクニック や テクスチャマップで特定のエフェクトを生み出す方法、さらに、Substance Designer の[Metal Weathering]フィルタで 埃(ダスト)をつくる基本的な方法も説明します。

私は PBRシステムの Metalness/Roughness ワークフローで このプロセスに取り組みます。ここで説明するのは PBR のごく基本的な原則ですが、理論を詳しく知りたい場合は Substance Academy の Comprehensive PBR Guide をご覧ください。

私のテクニックや手法が あなたのプロジェクトに役立てば幸いです。

01. UVの作成

私は、UV作成には headus UVLayout を使用しています。手早く作成するのに必要なツールがあるので、かれこれ 6年くらい使っていますが、お気に入りのソフトを使用してもいいでしょう。但し、このプロセスで考慮してほしいのは「できるだけシーム(継ぎ目)が見えないように、パネルの間や溝の中にカットを作成すること」です。他に方法がない場合を除き、見える領域にシームを作成するのは止めましょう。もし、そうなってしまった場合、その領域のテクスチャを細かくして、できるだけ見えないようにします。

シーム(継ぎ目)はパネルの間に隠しましょう。目立つ領域にカットを作らないでください

02. チェックマップの使用

UV作成で もう1つ考慮してほしいのは「すべてのアイランド(かたまり)を 完全に垂直/水平に保つこと」です。そうすれば、ペインティング、パネルのタイルマップや直線を使用するときに、テクスチャリングのプロセスが楽になります。斜めのアイランドは絶対に避けましょう。これは オブジェクトにチェックマップを適用すると確認できます。

UVアイランドを すべて垂直(90度)に保ちます

03. テクスチャシート

宇宙船のテクスチャシート(テクスチャの枚数)は 2~3枚、自由に作成してください。前部用に1枚、後部用に1枚など、お好みの数に分割してもよいでしょう。このチュートリアルでは、シンプルになるよう、宇宙船本体を 4,096 x 4,096 のテクスチャシート1枚に、ケーブル類を 1,024 x 1,024 のテクスチャシート1枚に収めています(※合計2枚)。

宇宙船本体用に1枚、ケーブル用に1枚、テクスチャシートを作成

04. マップのレンダリング

テクスチャをペイントする前に、必要なマップをすべてレンダリングしましょう。はじめに作成するマップは UVテンプレートです。さまざまなオブジェクトの配置用リファレンスとして、Photoshop の[スクリーン]描画モードで使用します。

3ds Max で オブジェクトに[UVWアンラップ]モディファイヤを適用、[UVエディタ]を開いたら[ツール]>[UVWテンプレートをレンダリング]の下にレンダーオプションの新規ウィンドウが表示されます。マップの正確なサイズを入力して[レンダー]をクリックします。

次に作成するマップは マスク です。必要な領域を手早く簡単に選択するために、Photoshop のアルファチャンネルで使用します。UVテンプレートのパラメータの一部を変更、白黒のイメージにして、TGAファイルとして保存します。

最後に作成するのは アンビエント オクルージョン(AO)マップです。私は素早く正確に作成できるソフトウェア Faogen で作成しますが、お気に入りのソフトをご使用ください。重要なのは、マップ内でオクルージョンがよく見えることです。

UVテンプレート、マスク、AOマップのレンダリング