世界のモンスターを描く:ハーピー

亜種

岩のハーピー

岩のハーピーは、森のハーピーのような人間と鳥の特徴だけでなく、割れたひづめや大きな角など、シロイワヤギに似た特徴も持っています。他のハーピーほど攻撃性はなく、鋭いかぎ爪もありません。住みかの山では、手を使って岩を登ったり、つかんだりします。飛行能力の有無は定かではありませんが、手から羽が直接生えているため、飛行に適していないのかもしれません。おそらくこの羽は、岩上でバランスを取るのに役立つのでしょう。

 

海のハーピー

歴史を通じて、海のハーピーはよくセイレーンと混同されてきました。外見は似ていますが、どちらも独立したクリーチャーです。この亜種は魚と人間のハイブリッドで、頭部などに鳥のような羽が少しあるだけです。深海を住みかにする傾向がありますが、陸地や人里にも近づくと言われています。よく船舶と衝突し、岸に打ち上げられているという報告もあります。翼の代わりに、腕と胴体の間に、伸び縮みするトビウオのような膜を持ちます。空は飛べませんが、遠くまで波の上を優雅に滑ることができます。

最終デザイン

 

最終デザインのハーピーは、木の枝に止まり、頭を少し右に傾けた動物のようなルックです。これには、頭を傾ける鳥の動作を参考にしました(鳥には対象を片目で見て、意識を集中する種がいます)。また、その特徴的な頭部構造も影響しているのでしょう。このポーズから、攻撃後か、次の攻撃に備え、脚を休めて力をためていると分かります。 悪魔のようなクリーチャーの上で、翼がドームを形作っています。

つまり、この姿勢は、いつでも飛び立てることを示唆しています。左に見える曲がった尻尾はネコのようで、不安やずる賢さの象徴と言えるでしょう。下部にあるかぎ爪は、そのどう猛さを伝えています。あえて瞳は描かず、完全に空白のまま残すことで、魔法的/印象的な個性を強めました。全体として、今にも頭上から襲い掛かり、地獄へ連れ去りそうな、優雅で情け容赦ないルックです。

 

※このチュートリアルは、書籍『世界のモンスター・幻獣を描く』からの抜粋です。書籍では、このハーピーの他に 29種。30名のアーティストによる 30種類のモンスター・クリーチャーのデザイン&描き方を紹介しています。


書籍『世界のモンスター・幻獣を描く』

- 説得力のあるコンセプトのつくり方 -

制作:3dtotal.com
定価:本体4,800円 + 税
ISBN:978-4-86246-407-1
サイズ:210 x 279 x 29 mm (A4変形)
総ページ数:320頁(カラー)
発行・発売:株式会社ボーンデジタル

>>> 書籍紹介ページ(※全ページ(英語版)チラ見映像あり)
https://3dtotal.jp/books/10799/

 


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp