【インタビュー】ロックダウンの間は 個人制作やコンセプトの探求を..。テクスチャ/ルックデヴ アーティスト Simon Gomez 氏

ロックダウンの間、テクスチャ/ルックデヴ アーティスト Simon Gomez 氏 は 時間を最大限に活用。個人制作を進めたり、コンセプトの探求をしていました


Simon Gomez
テクスチャ/ルックデヴ アーティスト


Q. 自己紹介をお願いします

こんにちは、フランス出身のテクスチャ/ルックデヴ アーティスト Simon Gomez です。現在、ILM に在籍していますが、ロックダウンの間に個人プロジェクトを始めて以来、ずっと続けています。最初は、Kurtis Dawe との共同プロジェクト「Viper Dragon」でした(※Kurtis がデザインとスカルプトを担当)。私にテクスチャリングを任せてくれたことにとても感謝しています。

もう1つの個人プロジェクトは、キャラクターアーティスト Niyazi Selimoglu とのコラボレーション作品「Lily」です。今回は この作品について、詳しく話していきます。

「Viper Dragon」

「Lily」

Q. 制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?

Niyazi から連絡があり、彼のモデルのテクスチャを作りたいか聞かれました。彼の仕事を尊敬しているので、コラボレーションできることを光栄に思い、すぐに返事をしました(もし、知らなかったら、ぜひ Niyazi の作品をチェックしてください)。この造形に触発されて、なにか変わったもの、よりスタイライズされたものをやってみたくなりました。

肌に自然な変化をつけるためのマップ

Mari でテクスチャマップを使い、肌に自然な変化をつける

私は、あまり多くのソフトを使っていません。テクスチャリングは主に Mari を使い、プロシージャルノードとテクスチャマップで、手早く堅実なベースを作りました。個人プロジェクトの場合、Maya の[ハイパーシェード]で、マスクとタイリングを使って直接ペイントします(そうすれば、最後まで柔軟性を保てます)。ルックデヴとライティングには Arnold(ACESカラースペース)を使用して、Nuke で合成しました。

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?

このプロジェクトの主な課題は「スタイライズされた表現」「新しいものの創造」でした。アートの方向性を見極めるのは、現実を模倣するよりずっと難しいため、始める前にリファレンスやインスピレーションを探します。これは、どんなプロジェクトでも、まず始める前にやることです。その後、Maya でプロシージャルノードを使い、直接さまざまな方向性を模索して、自分が本当にやりたいことを見つけます。

リファレンス

Mari でペイントしたマスクを Maya に読み込み、プロシージャルノードでブレンドする

Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?

上記のソフト以外はあまり使いません。お気に入りの Mari で仕事するのが好きです。新しいソフトや機能を発見するのは、いつだって楽しいものです。その点で、Jens Kafitz が素晴らしい Mari Extension パック を作っていることに感謝しています。

★Mari でアルベドチャンネルを作成:CREATING THE ALBEDO CHANNEL(49秒)
Mari Extension パックの紹介:Introducing Mari Extension Pack 6(2分9秒)

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあれば おしえてください

私にとって 個人プロジェクト制作は 新しい試みです。ロックダウンの間は、数ヶ月前に始めた個人プロジェクトを終わらせたり、新しいプロジェクトを始めたりと、本当に精力的に活動していました。こうして、ようやく自分のプロジェクトに集中するモチベーションと時間を見つけることができたのです。

常に練習したり、他のアーティストから学んだり、観察眼を養ったり、単にベストを尽くそうとしたりして、より多くを学んでください。もちろん、長い1日の仕事の後に、個人プロジェクトに取り組むのは大変だと思います! そのため、プロジェクトに8ヶ月もかかるようなものは選ばず、シンプルなものを心がけましょう。

「Lily」

Q. SNS を使っていますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?

SNS のグループにあまり積極的ではないですが、InstagramBehanceArtstation は、アーティストが生み出す新作の情報を得るのに良いプラットフォームだと思います。観察眼を養い、インスピレーションを得るのに役立つことでしょう。また、他の人々と交流し、新しいことを学んだり、自分のプロジェクトに質問やフィードバックを求めたりできる、素晴らしい discord チャンネルもあります。

Q. 芸術的な目標はありますか?

「Lily」のようなクールなアートディレクションのプロジェクトをもっとやりたいですね。それほどリアルではない、様式化されたものをテクスチャリングするのは面白かったです。今後のプロジェクトでは、技術面よりも芸術面に重点を置き、現実を模倣しつつも芸術的なタッチをうまく取り入れられるよう努力したいと思います。これには、ルックデヴだけでなく、ライティングも含まれます。ライトディレクションだけでも、いろいろなことを伝えられます。

「Lily」

ライティング:LIGHTING(53秒)

Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください

たくさんいますが、多くのインスピレーションを与えてくれるアーティストは Jean-Michel Bihorel です。幸運にも彼と知り合うことができ、そばで働けたことは、間違いなく勉強になりました。私は、詩的で芸術的なものを見事に表現した彼の CGI が大好きです。

また、コンセプトアーティスト Piotr Jabłoński の大ファンです。彼の作品には独自の世界があり、デジタルの傑作と言えるでしょう。Derrick Sesson とのコラボレーションも素晴らしいものになりました。

「Big guy」(モデリング:Derrick Sesson)

Q. 近年の作品についてお聞かせください

今、偉大な Kevin Cassidy(SNS で彼の作品をぜひチェックしてください)の素晴らしいモデルにテクスチャリングを施しているところです。これも、アートディレクションと作らなければならないマテリアルの種類のせいで、とても挑戦的なものになりそうです。全体の最終的なルックについては、まだいろいろな可能性を探っているところです。今後の作品にも期待してください! 新しい仕事、新しい挑戦、そしてポートフォリオに載せるさまざまなプロジェクトに期待してください。学んだことをさらに発展させ、課題に満ちた新しいプロジェクトにも挑戦していくつもりです!

 


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編集:3dtotal.jp