【インタビュー】SNS を個人制作に活用:テクスチャ アーティスト Eugene Filimonov氏

ポーランドの テクスチャ アーティスト Eugene Filimonov氏 が個人制作と その作品「Smile Girl」について語ります


Eugene Filimonov
テクスチャ アーティスト|ポーランド


Q. 自己紹介をお願いします

こんにちは! ポーランドのワルシャワで活動しているテクスチャアーティストの Eugene Filimonov です。この十数年、3Dグラフィックスに携わってきました。両親がアーティストということもあり、幼い頃からアートに惹かれ、取り組んでいました。大学で PR学科を卒業後、人生を変えるため、ドローイングスキルを仕事に生かそうと思いました。そして、2008年、ゲーム開発スタジオに入社しました。

 

★2019年リール:Eugene_Filimonov_2019(1分8秒)
★2021年リール:Eugene_Filimonov_2021(1分10秒)

Q. 制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?

ArtStation で、J.Hill(リード キャラクターアーティスト)の「笑っている女性のスカルプト」を見たのがきっかけです。それは、とても生き生きとした感情を表したスピードスカルプトだったので、そのテクスチャを作ってみたくなりました。J.Hill と連絡を取り、「このスカルプトを提供ほしい」と頼むと、すぐに返答があり、数時間後にはモデルを入手することができました。

このキャラクターを「赤毛で面白い感じ」にしたかったので、友人の Roman Lovygin(キーアーティスト|MPC)と一緒に、完成へ向けて少しずつ進めました。

「Smile Girl」 © Eugene Filimonov, Roman Lovygin, J Hill 2020

★J.Hillによるスカルプト:Sculpting Happiness! Back to ZBRUSH(28分33秒)
★J.Hillによるスカルプト(「Smile Girl」のオリジナルモデル):Fibermesh and Finishing in ZBRUSH!(42分24秒)

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?

制作は簡単ではありませんでした。モデルには すでに感情が含まれているため、標準的なワークフローは機能しません。安っぽい笑顔にしたかったので、Roman はそれを強調するヘアに力をいれてくれました。テクスチャだけでなく、足りない部分をモデリングしなければならなかったのですが、刺激的で面白かったです。ふとした対話から、この作品につながったことをとても嬉しく思います。

「Smile Girl」の服 © Eugene Filimonov, Roman Lovygin, J Hill 2020

Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?

テクスチャリングには、MARISubstance 3D Painter を使っています。MARI で素早くできることもあれば、Substance 3D Painter でできることもあるため、臨機応変に使い分けるようにしています。他のプログラムの方が早いとわかれば、そちらでやっても後悔はないですね。モデリングには、Blender を使いましたが、このプログラムはまだまだ勉強中です。普段は Maya を使っているので、まだ慣れが必要です。

「The Lord of the Ice Garden - Vuko」© Eugene Filimonov, Roman Lovygin 2020

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください。何かコツはありますか?

本業以外でも、ポートフォリオ向けのプロジェクトを常に制作しています。だから、いろいろと試すことができるのです。じっくり時間をかけて、新しいことに挑戦しています。アーティストは常にポートフォリオを最新の状態に保つべきだと思います。そうすれば、スキルは向上し、ポートフォリオの新しい作品は、どんな言葉よりも説得力を持つでしょう。

Q. SNS を使っていますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?

はい、使っています。Facebook でいくつかのグループをフォローし、他のアーティストとコミュニケーションをとりながら、面白いことを見逃さないようにしています。SNS の波に乗ることは、アーティストにとって、とても便利で有効な手段です。

「The Lord of the Ice Garden - Gloves 」 © Eugene Filimonov, Roman Lovygin 2020

Q. 芸術的な目標はありますか?

「写真を投稿するな」と叱られるくらいの、フォトリアルなデジタルポートレートを作ってみたいので、スキルの向上に励んでいます。自分の弱点がわかっているので、それを解消するために日々努力しています。

リアルな目 © Eugene Filimonov, Roman Lovygin, 2019

Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください

Jama Jurabaev(コンセプトアーティスト/アートディレクター|Lucasfilm)は、いつも革新的なアプローチをとっています。その作品は異質で、とても美しいですね。Justin Holt(テクスチャ アートディレクター|Epic Games)は、私が受講したテクスチャリング コースの講師でした。彼のおかげで、私は自分の居場所を見つけ、モノの見方を発展させることができました。Slava Lisovsky(CGディレクター/映像制作者)は、常に新しいものを求めており、複雑なことをシンプルに行うための手法を模索しています。

 

★Jama Jurabaev と Zhoslen Makoev が作り上げたリアルタイムで動作するUEシーン:Wild west asset pack rendered in UNREAL engine(1分)
★Justin Holt のテクスチャ ショーリール:TEXTURE SHOWREEL | 2013(3分11秒)
★Slava Lisovsky(脚本・監督)「From Artists to Artists」(2分29秒)

Q. 近年の作品についてお聞かせください

もう1度、人間の目を作ろうと思っています。そうすれば、今よりも優れたポートレートになるかもしれません。新作で、その結果はすぐにわかることでしょう!

「The Lord of the Ice Garden - Toad」© Eugene Filimonov, Roman Lovygin, 2021

 


編集部からのヒント:人型キャラクター制作のリファレンスには『アーティストのための人体解剖学ビジュアルリファレンス』を、制作テクニックを習得するには、書籍『3Dアーティストのための人体解剖学』 やおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp