【インタビュー】最高の作品だけを見せる:コンセプトアーティスト Nikodem J. Malec 氏
ドイツのコンセプトアーティスト Nikodem J. Malec 氏 が その作品、インターンシップを始めた頃を振り返ります

Q. 自己紹介をお願いします
Nikodem J. Malec です。生物学を専攻していた大学を中退し、2016 年にアートの道に進みました。ドイツのケルンを拠点とする Cologne Game Lab にインターンとして在籍し、2017年からゲームアートを中心に学びました。現在は、ベルリンの KARAKTER Design Studio で、エンバイロメント(環境) のコンセプトアートとイラストレーションに力を入れています。
Q. 「Bio-Mod Shop」の制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?
私のワークフローはいつも、徹底的なリサーチとアイデア出しから始まります(※リサーチ、組み合わせ、さまざまなアイデアの創造に大半の時間を費やします)。それらを基に Blender を使って簡単な3Dブロックメッシュを作り、良い構図が見つかったら、絵を描き始めます。
「Bio-Mod Shop」のアイデアは、アートコンペ Atomhawk Solarpunk challenge がきっかけで、サイバーパンクに似た興味深いSFの設定に挑戦することにしました(※大賞は 書籍『構図とナラティブ』にも掲載されている Jessica Woulfe 氏 の作品)。
「Bio-Mod Shop」
Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?
普通でないアイデアを考え出すのは最も難しい挑戦であり、私がコンセプトアートを楽しんでいる理由でもあります。「Bio-Mod Shop」で苦労したのは、古い建物と近未来の建物を違和感なく組み合わせることでした。「ソーラーパンク」は新しい未開拓のテーマなので、リサーチするのも大変でした。
『デス・ストランディング』のファンアート
Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?
Photoshop と Blender 以外に、他のソフトも試してみました。お気に入りの 3DCoat だけでなく、MODO も試してみましたが、最終的に Blender を選びました。このソフトは無料で、定期的なアップデートを経て、非常に強力になっています。
また、映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』や『アバター』シリーズを手掛けたコンセプトアーティスト Finnian MacManus の素晴らしい仕事ぶりを見て、VR を使った作業も試したいと思っています!
「Desert Speeder (砂漠の高速艇)」
Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあれば おしえてください
私の場合、業界で働く多くのアーティストと話し、批評やポートフォリオのレビューをしてもらいました。彼らから学んだ重要なことの1つは、「最高の作品だけを見せる」ということです。私はそれに基づいて、定期的に新作を追加し、ポートフォリオを更新しています。
個人的に気に入っている/愛着のある場合も、古い作品やふさわしくない作品は削除しています。また、「最悪の作品によって、その人の腕は評価される」とよく聞きます!
「Blue Valley (青い渓谷)」
Q. 芸術的な目標はありますか?
インターン時代に最も重視していたのは、業界に入り、最初の経験を積み、自分がどのようなパイプラインにふさわしいかを見極めることでした。同じ業界で働く人たちとの出会いはとても重要です。同じ情熱を分かち合える新しい友人ができれば、彼らからも学べます。これらの目標を達成するため、日々向上心を持ち、最高の仕事ができるように心がけました。
「BA Project」
Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください
お気に入りのアーティストはたくさんいて、すべて挙げることはできませんが、最も影響を受けているのは Maciej Kuciara でしょう。私にとって最初の「受動的な」メンターです(※彼のチュートリアルやコースを利用して、多くのことを学びました)。そのデザインセンス、多才さ、そして作品を良く見せるために新しいことを学ぶ姿勢は、本当に尊敬できます。
Darren Bartley と Georgi Simeonov も大好きなアーティストです。2人とも、私には決して真似できないような独特のスタイルがあり、とてつもなく素晴らしいイマジネーションとデザインセンスの持ち主です。
「Carved Skull (刻まれた頭蓋骨」
Q. 今後の目標と作品についてお聞かせください
インターンシップを終えたあと、KARAKTER Design Studio でコンセプトアーティストとして活動しています。今後どうなるかは、そのときにならないとわかりませんが、「情熱」と「モチベーション」だけは自分でコントロールできます。私は常に新しいことを学ぼうとし、次のレベルに進みたいと考えています。こうした習慣は、おそらくこれからも変わることはないでしょう。
個人作品に関しては、将来的に発展させたい、取り組みたいプロジェクトがいくつかあります!
プロジェクト「ECHO」
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