【インタビュー】3DCGツールで制作ワークフローをアップデート! コンセプトアーティスト Sofia Maldonado氏

リスボン在住のコンセプトアーティスト Christopher Schiefer氏 が、その制作ワークフロー、ポートフォリオなどについて語ります


Sofia Maldonado
コンセプトアーティスト|ポルトガル


Q. 自己紹介をお願いします

コンセプトアーティストの Sofia Maldonad です。現在、ポルトガルのリスボンにあるスタジオで働いています。主な仕事は、スケッチやコンセプトを作成して、クライアントの希望する最終的な絵を 3D部門が明確に理解できるようにすることです。したがって、構図・色・テクスチャ、その他多くの視覚要素を決定します。必要に応じて、承認用のムードボード、アニメーションや実写プロダクションのストーリーボード、そして、もちろん、2Dイラストレーションも作ります。私の人生には、常に絵を描くことへの愛情があり、それとゲームへの情熱を一つにすることをキャリアの目標にしています。

Q. 制作ワークフローをおしえてください。どのようにしてアイデアは生まれましたか?

昨年、Christopher Schiefer 氏の指導を受けました。それ以来、私のワークフローは多大な影響を受けています。オープンソースの3DCGソフト Blender を紹介され、フォトバッシュや適切なリファレンスの選択方法を教わりました。通常のワークフローでは、まず、パースと奥行きをサポートするために 3Dベースから始めます。次に、すべてにテクスチャを設定し、色を均一にします。続けて、私のお気に入りパートのライティングに進みます。通常のペインティングと同様に、ライトのリファレンスを使って、光と影の絵をペイントします。仕上げでは、問題点の修正をおこない、ディテール・霧・奥行き・反射など必要なものを加えて、見映え良くします(※図01 のGIF画像を参照。GIF画像の再生が停止していたらページを再読み込みください)。

図01

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しいことを学びましたか?

新しい作品を作る際、私は今までやってない新しいものを追加しようとしています。試してみると、そこから学びがあります。図01の作品(斬り合うサムライのイメージ)は、Christopher の指導を受けた後に自分自身で作った初作品なので、特にやりがいがありました。今まで、このワークフローで古典的な建物を作成したことはなく、登場するキャラクターの数も多かったので、意欲的に取り組みました。また、たくさんの人と構造物があるため、パースを正しく見せることに苦労しました(気を抜くとすぐに不自然に見えてしまいます)。作品内で、これらすべてのキャラクターを適切に見せるのは楽しかったです。

Q. 仕事や個人プロジェクトで、他のソフトウェアを使用していますか?

制作では主に Photoshop を使用しています。とても用途の広いソフトウェアであり、これだけでほとんど何でもできます。Blender も素晴らしいツールなので、今後の制作ではこのツールのあらゆる利点を考慮して利用できるように、より深く研究するつもりです。

図02:目的はナラティブを伝えることでした。そこで起こっていることにわくわくしてもらえるような、そして、次の場面を観客の想像力に委ねるようなイメージにしたいと思いました。

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください

時間ができたら、個人プロジェクトを制作しています。通常業務を終えた後に時間を作るのは容易ではありませんが、忍耐と献身でそれらに取り組めば、最終的に報われることでしょう。これは新しいことを学び、プロとして進化するためのとても優れた方法です。プロの仕事で制作した作品に関しては、許可を得られたらすぐに投稿します。しかし、一般的に この業界では、そのようなプロジェクトの公開は許可されないでしょう。そこで、ポートフォリオを最新の状態に保つため、個人プロジェクトに時間をかけることが重要になります。

図03

Q. SNS を使用していますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?

はい。Facebook、ArtstationLinkedin3dtotal などで作品を公開しています。Facebook ではよくグループを調べています。これは自分の作品を世界に紹介するのに良い方法だと思います。そして 同時に、他のプロジェクトを見てインスピレーションを受け、同じ分野の人々と交流し、教育的なフィードバックを得ることができるでしょう。お気に入りの Facebookグループは LEVEL UP!です。素晴らしいコミュニティがあり、才能豊かなアーティストたちがワークフローを説明するライブストリームを行なっています。

図04:現在のパイプラインで制作した はじめての屋内セットです。学んだこと(3D・パースガイド・フォトバッシング)をすべて組み込み、まとめました。最初は時間のかかるパイプラインですが、慣れるにつれ、より高速に高品質に制作できるようになります

Q. 芸術的な目標はありますか?

たくさんあります! 1つは「エンバイロメント」と「キャラクターデザイン」を探求し続けることです。私が情熱を注いでいるものであり、改善し続けたいと思っています。もう1つは、Blender をより深く理解することです。コンセプトアートにとても役立つツールなので、その詳細を知っておくに越したことはありません。プロとしての目標、そして、長年の夢は、エンターテインメント業界に参入して、ゲームや映画のアートワークを制作することです。

Q. 大好きなアーティストはいますか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒に教えてください?

たくさんいるので、答えるのが難しいですね。Feng ZhuDan BakerGilles BeloeilGabriel BlainDennis ChanMartin Deschambault は、私がフォローしているアーティストの一部であり、頻繁にインスピレーションを受けています。そして、コンセプトアートの道に進むきっかけとなったアーティストは Raphael Lacoste です。彼の作品にいつも畏敬の念を抱き、その絵からどんな物語が始まるのかを想像しています(そして、そのような作品を制作し、他の人にインスピレーションを与えたいと思います)。彼らの作品を見て驚かされるのは、この世に存在しないものを描き出し、自らの意志で現実を曲げる その能力です。

図05

図06

私はキャラクターデザインが大好きです。このイメージの目的は、3Dモデリングに適したターンアラウンドシート(三面図)として、キャラクターとプロップをデザインすることです。最大の課題は、腕の回転を正しく見せることでした。あるポーズから別のポーズにすべてのピースをフィットさせ、整合性を保つことは容易ではありませんが、最終的にとてもうまくいきました

Q. 今後の展望をお聞かせください

技術を磨き、アートをさらに洗練させるために、今後 数か月は学習に集中します。もちろん、制作した作品は必ず投稿します! また、仕事ではいくつかとても興味深いプロジェクトに参加しているので、それらを公開できる日を楽しみにしています。ご期待ください。

 


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翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp