【インタビュー】制作活動の軌跡:3Dアーティスト Ricardo Manso氏

ポルトガルの 3Dアーティスト Ricardo Manso氏 が、これまでのアートの旅について語り、初心者にアドバイスを贈ります


Ricardo Manso
スカルプター / イラストレーター / 3Dアーティスト


「自分のワークフローの中で何かを学び、改善できるように、すべての個人制作で自分自身を追い込んでいます」 ポルトガルの 3Dアーティスト Ricardo Manso氏 が、これまでのアートの旅について語り、初心者にアドバイスを贈ります。

>> 【インタビュー】彫刻から ZBrush へ:3Dアーティスト Ricardo Manso氏(*2016年のインタビュー)

Q. 自己紹介をお願いします

名前は Ricardo Manso。ポルトガル出身で、リスボンの自宅で仕事をしています。私のアートの旅は、彫刻を学ぶためアートスクールに通ったときに始まりました(当時、デジタルのことは何も考えていませんでした)。金属、石、木を扱うのが大好きで、今でも続けています!

学位を取得した後、パブリック スカルプチャ(公共彫刻)の修士課程に進みました。そのときの授業の1つに ZBrush があり、このソフトに惚れ込みました。それは、粘土を扱うのに似ており、自分のアイデアを簡単に変換することができました。ZBrush との出会いは、まさに人生の転機でした。

ZBrush についてもっと知りたくなり、たくさんのチュートリアルを見るようになりました。そして、より詳しく学ぶため、小さな3Dコースにも通いました。その後、いくつかのデジタルプラットフォームで作品を発表するようになると、初めてフリーランスの仕事を得ることができました。今は、シニア 3Dアーティストとして稼ぎながら、フリーランスの仕事も受けています。

『Max』のクレイレンダー(左)/ ワイヤフレーム(右)

Q. 「MAX」の制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?

Max Ulichneyコンセプトアート を気に入ったので、空いた時間に ZBrush でシンプルな形のブロックを作り、3Dでフォームを表現しました。すべての主要な形を正しく配置できたら、リトポロジーを行い、クリーンメッシュに小さな要素を作ります。この段階は、Maya で行なっています。続けて、ZBrush でディテールを作り、Maya でUV展開し、Substance 3D Painter でテクスチャをペイントしました。

すべてのテクスチャとマップが揃ったら、シェーダとライトに取りかかり、最後に Arnold でレンダリングします。最終レンダリングでできる限りのことを行なったので、ポストプロダクションで、あまり手を加える必要がありませんでした。

『Max』

※詳しくは【チュートリアル】2Dのコンセプトアートを3Dに:『Max』のメイキング をご覧ください。

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?

私は、自分のワークフローの中で何かを学び、改善できるように、すべての個人制作で自分自身を追い込んでいます。『Max』では、肌のテクスチャとシェーダを改善し、最終レンダリングでできる限りのことを試しました。これにより、ポストプロダクションをほとんど行わず、ほぼ 3Dのみで完結することができました(最後に、ほんの少し色を調整しただけです)。

 

『Dora』のクレイレンダー(左)/ ワイヤフレーム(右)

『Dora』

Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?

主に ZBrush、Maya、Substance 3D Painter、Arnold、XGen、Photoshop を使い、たまに Marvelous Designer を使うこともあります。これが、一般的な仕事に使っているすべてのソフトです。

Q. 3dtotal の書籍を持っていますか?

持っています。そしてとても役に立っています! 主に使っているのは『Fundamentals of Character Design』『Creating Stylized Characters』、そして『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』です。特に「アートの原則」は、アートに関するあらゆる基礎が含まれているので、重宝しています。色、光、構図、解剖学を学べば、力強いイメージの作り方がよくわかるでしょう。また、デジタルアートだけでなく、昔の巨匠の優れた作品例もたくさん示されています。私は今でも、基礎が良いイメージの構造になると考えています。

3dtotal の書籍

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください

ポートフォリオを長期間更新せずに、よく放置しているため、私は この質問に答える資格はないかもしれません。ただ、そんな私から言える「更新し続けるための秘訣」は、目標を設定することだと思います。常に新しいことを学びたいなら、そのテーマを実践・応用できそうなプロジェクトを見つけてください。そうすれば、新しいことに取り組み、学び、ポートフォリオを更新し続けることができるでしょう。

Q. SNS を使っていますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?

いくつか SNSアカウントを持っています。一番好きで、毎日チェックしているのは ArtStation です。そこには、素晴らしいアートがたくさんあります。私は、新しい作品を見て頭をスッキリさせるために訪れていますが、新しいアイデアを得たり、新しい技術やアーティストに出会ったり、新しいリファレンスを得たり、人脈を広げたりするのにも使えるでしょう。

Q. 芸術的な目標はありますか?

あまり欲張りではないので、アーティストとして、人として成長し、自分の仕事に満足したいだけですね。。

Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください

難しい質問ですね。私は実にさまざまなジャンルの作品を好むので、その数も膨大です。前回のインタビュー で答えたものに加え、伝統的なアートでは、ベルニーニアンドレア・デル・ヴェロッキオ、ミヒャエル・アンジェロ、レンブラントフェルメールベラスケス、パウラ・レゴ、フランシス・ベーコンゴヤヤン・ファン・エイクルシアン・フロイド などです!

デジタルアートでは、Leticia GillettKris CostaRaf GrassettiIan SpriggsDenis ZilberAlessandro BaldasseroniIan McQueRayner Alencar などが好きです。どのアーティストからも、新しく学べる部分があります!

 

『Dora』のクレイレンダー(左)/ ワイヤフレーム(右)

『Dora』

Q. 今後の展望についてお聞かせください

まだよくわかりません! 改善したいこと、学びたいことはたくさんあるので、その中からいくつか選び、新しいプロジェクトに応用してみようと思います。もっと学び、魅力的なイメージを創造することに力を入れたいですね。

 

■関連記事
>> 【チュートリアル】2Dのコンセプトアートを3Dに:『Max』のメイキング
>> 【チュートリアル】『風変わりなマーサ』のメイキング
>> 【チュートリアル】『レッド・ツインズ -赤毛の双子』のメイキング

 


編集部からのおすすめ: 色、構図.. アートのセオリーを学ぶ/再発見するには、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』そして、『続 デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp