『風変わりなマーサ』のメイキング
ポルトガルの 才能豊かなアーティスト Ricardo Manso氏 が「風変わりなマーサ」のメイキングを紹介します
はじめに
このチュートリアルでは「Martha (風変わりなマーサ)」のメイキングを紹介、ワークフローとキャラクターのさまざまな段階についてお話します。また、モデリング、テクスチャリング、ライティング、シェーディング、最終合成にも触れます。
01 コンセプト
本作は、Martee(個人および不動産業者向けに物件情報を発信する新興企業)の委託を受けて制作しました。Martha (マーサ)は、その会社の公式女性ブロガーという設定です。Martee は、ちょっとした歴史と背景を交えて彼女の性格について説明し、その人物像を考えてくれました。これらの情報を基に、情報を反映させたいくつかの形をブロッキングしていきます。本作は、クライアントと私のコラボレーションでしたが、とてもうまくいったと思います。
02 モデリングの準備
マーサは フランス、パリ出身の30代、アッパーミドル層の独身女性です。良い教育を受けており、前向きで、面白く、独立していて、少し風変わりで、行動的で、創造的で、賢い女性です。これらの情報とリファレンスがあれば、モデリングに取りかかることができます。彼女は完璧な女性ではなく、少しふくよかで、素晴らしい曲線美を持っています。
マーサの特徴を表すためのリファレンスイメージ
03 ブロッキング
これらの情報を基に、マーサの身体的/心理的特徴を最もよく反映する形にブロッキングします。ここでは、シンプルにすることを心がけました。クリーンなトポロジから始め、ZBrush の[Move]ブラシと[Standard]ブラシを使って、正しいプロポーションと形を得ます。私とクライアントは、彼女をやりすぎない程度にふくよかに見せたいと思いました。
マーサは完璧な女性ではないので、頭部を大きく、腕を少し小さくして、スタイライズしています。風変わりでかわいく見せるため、目を大きく、鼻を小さくしました。髪の毛は重要な要素で、カールした赤毛であってほしいというのがクライアントの要望でした。後で 髪の毛を生やせるように、シンプルなシェイプだけで髪をブロックアウトしました。
マーサのブロッキング
04 衣服とプロップ
衣服とプロップは、キャラクターの背景(歴史)と、彼女が何者で何を望んでいるのかを示す重要な部分です。彼女のガーリーなルックと、知識、現代性、ちょっとした風変わりな部分を伝えなければいけません。衣服には Marvelous Designer を使い、プロップは Maya で作成。その後、ZBrush でディテールを施しています。すでに背景色(紫)が決まっているウェブサイトに登場するので、衣服や小道具はできるだけ既存色に合うように、注意深く合わせました。
衣服とプロップの制作
05 ディテールを追加する
すべての形をブロックアウトしたら、ディテールを加え、次にテクスチャを加えます。彼女はまだ若いので、顔のテクスチャに凝る必要はありません。通常、肌は少なくとも 3つの色のレイヤーでペイントします。なぜなら、その方が色のバリエーションが豊富で、よりリアルに見えるからです。
まず 1層目に、赤、暗めの青、暗めの緑で静脈をペイントし、皮下組織のレイヤーを表します。2層目の肌(真皮)では、[Spray]ブラシ(アルファ付き)と肌のベースカラーで表します。3層目の肌(表皮)では、ハイライトと影の部分、そばかす、肌の不規則な凹凸をわずかに強調しています。
顔をペイントする
衣服の作業は、Marvelous Designer でほとんど完了しましたが、より信憑性を高めるために シワを作る必要がありました。生地の小さいディテールには、ディフューズマップに使っている画像から作成したバンプマップを使います。
衣装・装飾品に信憑性を加えます
06 UV とエクスポート
これはプロダクション用ではないので、ZBrush で UV を作成しました。サブツールを開いて、[Zプラグイン]>[UVマスター]>[クローンで作業を行う]をクリックするだけです。UV を分けたいジオメトリにポリグループを設定すれば、うまくいくでしょう。
それから、ZBrush の[マルチマップ エクスポーター]プラグインを使い、必要なすべてのマップをベイクします(AO、キャビティ、ディスプレイスメント(32ビット)、ノーマル、カラー)。これらのマップを使い、必要に応じて Photoshop でさらにいくつかのマップを作成します。
UV
07 Maya へのインポート
すべてを Maya にインポートし、シェーダを作成します。スキンには[aiSkin]、衣服とプロップには[aiStandard]、髪の毛には[aiHair]を使いました。すでに ZBrush でモデリングしていたので、正しいヘアスタイルを作るのはとても簡単でした。
髪の毛に生命を吹き込みます
08 ポーズ
マーサの理想的なポーズを見つけるために、簡単なリグを作りました。これにより、さまざまなポーズをテストして、正しい姿勢を反映できるようになりました。顔にはブレンドシェイプを使うため、ZBrush でさまざまな顔をスカルプトし、Maya にインポートしています。
顔のポーズ
ボディのポーズ
09 ライト
主にエリアライトを使用したシンプルな設定です(2つのバックライト、1つのキーライト)。また、同じ光をバウンスできるようにカードを配置し(フィルライト)、HDRイメージのスカイドームを設定しました。
ライティング設定
10 レンダリング
最終パスは、32ビット EXRファイルでレンダリングします。最終合成には、主にビューティー、Z深度、AOパスを使っています(通常は、小さな修正をするため、さらにいくつかのパスをレンダリングします)。最後に、色の調整といくつかの改善を施して完成です。
クレイレンダー
ワイヤーフレーム
完成イメージ
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