【インタビュー】動物作品を3Dでつくる:3Dアーティスト Cristian Bolivar氏
「チームの一員であることが大切であり、後押ししてくれるアーティストに常に囲まれていたいと思っています」 ILM のテクスチャアーティスト Cristian Bolivar氏 が、自身と素晴らしい動物作品について語ります

Q. 自己紹介をお願いします
コロンビアのボゴタ出身の Cristian Bolivar です。ライティング/ルックデヴ アーティストとして活動し、現在は テクスチャアーティストとして、Industrial light & magic(ILM)で働いています。主にライティング、ルックデヴ、グルーミングに力を入れていて、自由時間のほとんどを個人プロジェクトに費やしています。それ以外の時間は、ギターを弾いたり、ペットと過ごしたりして楽しんでいます。常に、技術的にも芸術的にも、さまざまな方法で作品を改善しようと試みています。
「Hummigbird (ハチドリ)」
Q. 制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?
私は動物全般が大好きです。ポートフォリオを見てもらえば、動物を題材にした個人プロジェクトが非常に多いとわかるでしょう。最近は CGIグルーミングの世界に夢中なので、いろいろな生き物を探求する良い機会になっています。私は、大のキツネ好きで、キツネはとてもフォトジェニックだと感じています。そんなとき、Mr Zizz の 素晴らしいコンセプト を見つけました。この小さなキツネは、個性的で素敵な雰囲気を持っているので、CGで制作してみたくなりました。


「Autumn Fox (秋のキツネ)」
Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?
「Autumn Fox (秋のキツネ)」は、グルーミングに Houdini を使った初めてのプロジェクトであり、新しいワークフローを理解するために、多くのリサーチが必要でした。そのため、想定以上に時間がかかりましたが、まるで新しいツールを学んでいるようで、素晴らしい経験になりました。Houdini は非常に強力なツールです。
Houdini による「Autumn Fox (秋のキツネ)」のグルーミング
Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?
主に使っているソフトは Maya です。前に述べたように、私はルックデヴとライティングに力を入れているので、ソフトに応じて レンダリング エンジンを使い分けています。とはいえ、主に使っているのは Arnold か Octane です。グルーミングでも、プロジェクトに応じて Yeti か XGen を使っています。テクスチャリングには、Substance 3D Painter と Photoshop を併用しています。
CMムービー「Peak performance Live more bear」で作成したクマ
Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください
常に個人プロジェクトをいくつか持つようにしていますが、プロの仕事をリールに含めることもあります。大事なのは、ポートフォリオを最新に保つことなので、進行中の作品でも「光るもの」があれば含めてください。制作プロセスの一部を見たい人もいますが、完成作品を見せることが最優先なので、メイキングを含めすぎないように注意しましょう。
「Robotic Fries (フライドポテトのロボット)」
Q. SNS を使っていますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?
「10K hours」は 才能豊か人が集まる、とても素敵な Facebook グループです。また、「CG Grooming Artist」にも所属しており、そこで多くのことを学びました。Instagram では、Motion Desifgners Community がとてもかっこいい作品をたくさんアップしています。また、素晴らしいリファレンスを提供してくれるフォトグラファーも、何人かフォローしています。
Q. 芸術的な目標はありますか?
新しいものや、いろいろなキャラクターを探究し、キャラクターモデリングを勉強したいです。私は長い間、ルックデヴだけに没頭してきた結果、怠惰なモデラーになってしまったので、ZBrush に戻り、複雑な新しいキャラクターにも挑戦したいですね。また、環境のモデリングやルックデヴにも挑戦し、Unreal Engine も探求したいです。
「Cat Tank (ネコ戦車)」
Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください
Victor Hugo Queiroz は、私のアートスタイルに大きく影響しています。彼の作品は、3Dアーティストのあり方について、別のアプローチを私に示してくれます。Gaston Pacheco もお気に入りの1人であり、彼のスタイルや色のセンスは抜群です。ロジャー・ディーキンスも外せません。彼は、色やライティングを使った強力なストーリーテリングのスキルを持っています。Vyacheslav Mishchenko は、大好きなフォトグラファーの1人で、マクロ撮影を使ったドラマチックな色彩が特徴です。キャラクターデザインでは、Matthew Armstrong と Chris Ryniak のスタイルが好きです。
Q. 近年の作品についてお聞かせください
スタイライズされた動物は、確実に増えています。制作では、ファンアートや環境の探究もしますが、その多くは新しいツールの改善と習得に重点を置いています。また、大きくやりがいのあるプロジェクトに参加し、新しい人たちと共に働き、学びたいですね。チームの一員であることが大切であり、後押ししてくれるアーティストに常に囲まれていたいと思っています。
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