【インスピレーション】想像力を活かしたキャラクターのつくり方

スペイン出身のコンセプトアーティスト/キャラクターデザイナー Cristina Lavina氏 が、個人制作に時間を割く必要性、キャラクターづくりの秘訣などについて語ります


Cristina Lavina Ferez
コンセプトアーティスト


※ Cristina Lavina氏は、書籍『コンセプトアーティストになるために知っておきたいこと』「自分自身と作品を宣伝する」を執筆しています

 

「Origins - オリジン」

はじめに

Cristina Lavina です。カナダのバンクーバーにある Blackbird Interactive で、主に キャラクターデザインのコンセプトアーティストとして働いています。こだわっているのは キャラクターで、中でもスケッチやラフアートがお気に入りです。もちろん、キャラクターをつくり上げることは素晴らしいことですが、アイデアとキャラクターの基礎となる「生の表現」を見ると本当にわくわくします。スケッチでは、わずか数本の線で多くを伝えることができるのです。

よく行なっているのは、自分のためのスケッチです。プレッシャーや時間を気にせず、真っ白なキャンバスで自分のアイデアに向き合えるので、そのような時間を持つことを大事にしています。プロダクションの仕事がいつも充実していて、やりたいことをできるとは限りません。その性質上、プロジェクトの初期はやることが多いのですが、終わりに近づくにつれて少なくなります。こうした理由から、自分のためにスケッチするのが好きなのです。それはある種の逃避であり、アイデアを生き生きとさせ、自分のためだけに楽しめる時間です。

私にも、自分のために何もしていない時期がありました。仕事でもやりたいことができなかったのでとても苦しく、インスピレーションは失われ、ただ仕事をするだけの日々を過ごしていました。ところが、スケッチを再開してみると「仕事はただこなすものでなく、夢中になるものだ」ということに気づかされました。もし職場でそのギャップを埋めることができないなら、自分でいろいろやってみなければいけません。自分だけのアートやアイデアを生み出し、スケッチして楽しんでください。そのような時間はとても貴重です。

「The suffering of Mother Nature - 母なる自然の苦しみ」

インスピレーションとアイデア

スケッチを始めるときは いつも、頭の中でシーンを想像しようとします。それは、衣装だけではありません。実際にキャラクターになりきり、その動きやふるまい、話し方を考えるのです。ありえそうな特定の状況で、そのライフスタイルについて自問してみるといいでしょう。

イメージと短いセリフでストーリーを語るのに夢中になっています。それは簡単ではありませんが、やりがいがあります。他のアーティストのスケッチでも、キャラクターの持ち味や個性、さらには、その人生について深く考えらされるものが好きです。

キャラクターデザインで重視しているのは、キャラクターのポーズと表情です。そのキャラクターを表現する特定の要素を必ず1つ加え、個性を引き出して、生き生きとさせます。

「Western: Maria, the merchant - ウェスタン:商人マリア」

「Western: A moment of peace - ウェスタン:平穏なひととき」

「Western: 'Listen to my story' - ウェスタン:わしの話を聞け」

画材

私は Photoshop でよくスケッチします。なぜなら、素早くできるからです。スケッチでアイデアを伝えるときに大事なのは、スピードです(特にプロダクションで作業する場合に当てはまるでしょう)。また最近になって、数年ぶりに紙のスケッチを再開したところ、その意味を再発見しました。「スケッチブックなしでは生きていけない」というアーティストもいますが、私の場合、そうでもありません。私にとってスケッチブックは、落書きして楽しむためのもので、いつも持ち歩いています。

まず、鉛筆で描いて、次に、ペンで線画を描きます。使っているのは BIC などのボールペンで、そのテクスチャがお気に入りです。たくさんの陰影のトーンを表現できるボールペンは、消せない鉛筆のように感じられます。

「El pastor - エル牧師」

「'I kill Orcs for a living' - 私は生きるためにオークを狩る」

スケッチテクニック

先に述べたように、私は Photoshop でスケッチしますが、そのやり方は、紙へのスケッチとよく似ています。いつも一般的な形状と感覚で大まかなパスを作り、その上にレイヤーを作成して線画を洗練させ、さらにディテールを描きます。最大の違いは、Photoshop だとスケッチをわかりやすくするためにグレーや薄い色で塗りつぶしますが、紙では あちこちに影を付けて仕上げているところです

「The good Orc - 善良なオーク」

「The witch from the forest - 森の魔女」

プロのヒント:ウェスタンの 3 つスケッチ

キャラクターの生活を想像する

上の3つは「西部」のキャラクターを想像したスケッチです。「普通に生活をしているが、何か特別なものを見つけている」というキャラクターたちです。その象徴的な要素は、カウボーイの「犬」、1日中「ギター」を弾いている女の子、「ロバ」を連れて荷物を運ぶ老婦人です。衣装だけでなく、実際にキャラクターが生活しているところを想像してみてください。動いたり、話したり、笑ったり、泣いたりしている姿を想像して、頭の中で生命を吹き込めば、キャンバスの上でも生き生きとしてくることでしょう。

>>> 【インタビュー】フラゼッタ、田中達之 作品などに影響を受け..。コンセプトアーティスト Cristina Lavina氏

 


編集部からのおすすめ:Cristina Lavina氏 も執筆! 世界のプロに学ぶ仕事術、上達法、セルフプロモーション、キャリアアップのヒント。書籍『コンセプトアーティストになるために知っておきたいこと』

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp