【インタビュー】フラゼッタ、田中達之 作品などに影響を受け..。コンセプトアーティスト Cristina Lavina氏

スペイン出身のコンセプトアーティスト/キャラクターデザイナー Cristina Lavina氏 は Blackbird Interactive でビデオゲーム制作に携わっています。彼女が、スタジオ勤務で得た経験、お気に入りのアーティストなどについて語ります


Cristina Lavina Ferez
コンセプトアーティスト


※ Cristina Lavina氏は、書籍『コンセプトアーティストになるために知っておきたいこと』「自分自身と作品を宣伝する」を執筆しています

Q. 自己紹介をお願いします

スペイン、バルセロナ出身のコンセプトアーティスト Cristina Lavina です。約8年前、アウトソーシング スタジオ Opus Artz でコンセプトアーティストとして働くために英国ロンドンに移り、そこでアーティストとして大きく成長しました。すばらしい指導者に恵まれ、情熱的な同僚たちから学べたのは幸運でした(スタッフの皆さんにはこれからもずっと感謝します)。現在はバンクーバーに移り、Blackbird Interactive で働いています。

主にキャラクターを中心とした仕事に携わり、情熱を注いでいますが、Blackbird では異なる分野とスタイルの楽しみ方を学びました。とても刺激的な場所で、どこにいてもアートと創造性を吸収することができます。毎週金曜日の終わりにスケッチの時間があり、さまざまな分野の人々がテーマに沿った作品を作成します。オーディオアーティスト、デザイナー、コンセプトアーティスト、そして、プログラマーでさえもコラボレートします。これは素晴らしい文化です。

Q. 「クリエイティブ・ゾーン」にどうやって入りますか? 1日に過ごす特別な場所や時間がありますか?

私は怠け者なので午前中が重要です。まず、朝食とコーヒーをとってから仕事を始めます。そうしないと、私の脳は機能しません。いつも音楽を聴きながら通勤し、自分のタスクを考えながらゾーンに入ることもあります。スタイラスを持つ前にもコーヒーが必要です。

Q. 自信作とその理由をお聞かせください

すべてのアーティストがそうであるように、作品が完璧になることは決してありません。私は 自分にかなり厳しい方だと感じていますが、そのような意識によって、スキルは向上するのです。私は 制作するものが何であれ楽しむことを心がけています。そして、納得できないものは絶対に世に出しません。この教訓は、ロンドンの Opuz Artz で働いていたときに得たものです。当時、私たちは有名なカードゲームのイラストを制作していました。

その仕事では、1つのイラストにつきスケッチを 3つ作ることになっていました。私は、担当するイラストを3つスケッチし、そのうちの1つには 他の2つほど力を入れませんでした。そして、リードアーティストに見せたところ、「すべてのスケッチに満足しているかい?」と聞かれたので「ええ、そうですね、でも 1案はそれほど良くないので、クライアントは選ばないと思います」と答えました。すると、彼はこう言いました。「よし、では "それ" を送ってみよう」

結局、クライアントは「それほど良くないスケッチ」を選びました。そして、このことは、私にとって貴重な教訓になりました。3つのスケッチはどれも「悪くない出来」でした(だからリードアーティストに提出したのです)。ただ、結果的に、私は "満足してない" スケッチから最終イラストを作ることになりました。もちろん、その日から、クライアントに見せるものは、すべて同じくらいの質にするようになったのは言うまでもありません。Bjorn、気づかせてくれてありがとう!

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください

難しい質問ですね。正直に言うと、自宅で大量の作品を制作する時間はありません。私にも私生活があるのです(多くの若いアーティストが忘れがちなことですが)。そこで、達成できそうな目標を設定、改善したい部分に集中しています。私の場合、描画テクニックにはあまり興味がありません。描画方法はよく知っているので、主な関心は「デザイン」にあります。よって、シンプルな線画でキャラクターをデザインすることに集中しながら、指示書に合わせながら、自分自身に挑戦します。

たとえば、最近の作品の1つに『Space Orcs』(宇宙のオーク)があります。私は大好きなオークを風変わりなルックで描きたいと思いました。なぜなら、数多くのファンタジーオークを飽きるほど見てきましたから。私はSF があまり得意ではないので、SFとファンタジーを組み合わせて新しいキャラクターを作ることにしました。いくつかの基本色と素晴らしい演出を加えて、それを完成させました。このようなキャラクターを見ると、線画を通して そのデザインに集中できます。それが当初からのねらいでした。

Q. 同僚の批評は重要ですか

インターネットやソーシャルメディア上の評価をあまり気にしていません。誤解のないように言っておくと、好きなアーティストが自分の作品を気に入ってくれるのは、いつだって素敵なことです。しかし、私にとって重要な評価ではありません。私が嬉しくなるのは、直接仕事をしている人たちからの評価です(今は、特に Blackbird の同僚たちです)。皆とても熱心で才能があるので、彼らのために良い仕事をしたいと思っています。

職場で必要とされ、評価されることは大事です。それは、あなたとそのスキルを信頼している証なので、生産性とインスピレーションをより高めてくれることでしょう。Blackbird のように、アーティストを非常に大切にしている場所で働けることを、とても幸運に思っています。

Q. 芸術的な目標はありますか?

良いプロジェクトのキャラクターデザイナーとして働き、自分の作業を楽しむことが、最大のモチベーションになっています。私はゲームをプレイする人々にとって、意味のあるキャラクターを作成したいです。そして、キャラクターやそのナラティブに感動してもらえるように、やりがいのあるストーリーゲームに携わりたいです。なぜなら、私自身がそのようなゲームをプレイしてみたいからです。私の芸術的な目標をまとめると、「キャラクターをデザインするだけでなく、生身の人間 をデザインすること」と言えるでしょう。

Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください?

たくさんいます! もし、キャリアの中で最も影響を受けた人を挙げるとしたら、Frank Frazetta(フランク・フラゼッタ)、田中達之、そして、Kekai Kotaki です。私は Frazetta 氏 の著書『Icon』を何度も見て、彼の作品の力強さに夢中になりました。そのポーズやキャラクターはとても活き活きしています。

メモ書きでいっぱいにしている もう1冊が、田中達之氏 の『CANNABIS WORKS』です。彼の頭脳と創造性の虜になりました。その鉛筆画は驚異的です。そして、最も感謝しなければならないのは、Kekai氏 です。以前、友人が私に『Guild Wars』のアートブックをプレゼントしてくれました。日本語ではないビデオゲームのコンセプトアート本を見たのは このときが初めてでした(アニメや漫画では見たことがありましたが)。 Kekai氏 の作品を見て衝撃を受けた私は、ビデオゲームの仕事をしようと決心しました。彼は、私に多大な影響を与えたと知らないかもしれませんが、私は、いつも彼とそのアートに感謝しています!

Q. 今後の展望をお聞かせください

もっとキャラクターを制作したいです! そして、どんな形でもよいので、作成したキャラクターで人々を感動させたいです。私の次回作を見たときに、あなたにとって特別な何かが見つかることを願っています!

 


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翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp