【インタビュー】余暇に Vue と Cinema 4D でSFコンセプトアートを制作。シニア ウェブ開発者 Christian Schumann氏

シニア ウェブ開発者の Christian Schumann氏 は、余暇に Vue や Cinema 4D を使って、SFのコンセプトアートを制作しています。その抱負と作品をチェックしてみましょう


Christian Schumann
シニア ウェブ開発者|プラハ、ドイツ


Q.自己紹介をお願いします

こんにちは! 私は、ドイツの 3Dアーティスト Christian Schumann です。プロのアーティストではないため、残念ながら 自分について語れることは多くありません。現在は Web開発のソフトウェア エンジニアとして働き、生計を立てていますが、いつもアートのことを考えています。

私は常にアートに関心がありました。まず、インクと塗料による伝統的なテクニックから入り、初期の3Dビデオゲームや『バビロン5』のような SFのTV番組を見て育ちました。当時から Photoshop や 3Dモデリングツールで自分の世界を作りたいと思っていました。

「ROAMER - High Polygon Vehicle」

Q.新作イメージの制作ワークフローを教えてください。どのようにしてアイデアは生まれましたか?

「Finding a Shelter (シェルターの探索)」は、数年前から取り組んできた個人的な SFプロジェクトの1つで、かつて 巨大な海で覆われていたエイリアン惑星のコロニーの物語です。ある悲劇によって、海は蒸発して干上がり、惑星の生物は一掃されてしまいました。

「Finding a Shelter (シェルターの探索)」

通常、Vue の標準プリミティブで簡単なサムネイルを作ることから始めます。私にとって、Vue の[atmosphere editor] は、全体的なムードを設定するのにうってつけです。また、素早くレンダリングして、適切なパースとライティングを確認できます。しばしば、8〜10 のライトセットと大気のセットアップを考え、その中から最適なものを選び、満足するまでライティングを洗練します。ライティングを終えたら、シーン全体を OBJ形式 で Cinema 4D に書き出し、最終オブジェクトのモデリングを開始します。すべてのオブジェクトが完成したら、それらを Vue に書き出してマテリアルを作成します。

以上のワークフローを念頭に置き、円柱でサンゴのシーン全体を構築して Cinema 4D に書き出し、実際にモデリングしていきます。乗り物とキャラクターには、別のテクニックを用いました。ポリゴン数が多く、テクスチャも複雑だったので、Cinema 4D でモデリング、テクスチャリング、そして レンダリングを行いました。ライティングは、Vueシーンをパノラマレンダリングした HDR背景と、さらにいくつかのスポットライトを組み合わせて実現しています。

「Forerunner Research Base」

Q.難しかったパートはどこですか? 新しく学べたことはありますか?

Cinema 4D と Vue を組み合わせるのに苦労しました。Vue には優れたディスプレイスメントエンジンがありますが、残念ながら それを使わずに進めました。そのため、複雑なモデルを作成し、それらをより複雑なディスプレイスメントマテリアルと組み合わせて、侵食した太古のサンゴのルックにするのが課題でした。最終イメージでは、ディテール量とメモリ使用量の間で 良好なバランスを保つ必要がありました。

すべての要素が正しく照らされるように、シーン内にサンゴのオブジェクトセットを 2つ配置(1つはディスプレイスメントあり、もう1つは なし)。最後に、作成したサンゴとダミーオブジェクトを切り替えながら、さまざまなレイヤーにシーンをレンダリングしました。

「Tactical Outpost」

Q.仕事や個人プロジェクトで使用するソフトウェアは、他にありますか?

入手可能なソフトウェアはすべて使ってみます。多くの場合、無償の試用版や個人向けの教育ライセンスです。少しでも新しい機能を試し、将来使えるかを確認するようにしています。現在は、ワークフローに加えられるか、さまざまなスカルプトツールを試しています。

Q.ポートフォリオをアップデートする秘訣やヒントがあれば、教えてください

常に出来の良い新鮮なポートフォリオを維持することは、とても困難です。私は作品を完成させようと努力していますが、余暇だけでは時間が足りません。

気の利いたプロ向けのアドバイスはありません。しかし、業界で働くことを考えている愛好家になら、言えることがあります。急いではいけません。質より量を選ばないでください。多くのアマチュアアーティストは、多様性を示すために多くの作品に挑戦していると思います。しかし、私の場合は、1つか2つの優れたアイデアを選び、完璧に仕上げることの方が重要です。

「Ursa Major」

Q.SNS を使用していますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?

私は日々の仕事からは、インプットを得られないアマチュアのアーティストです。したがって、SNS で他のアーティストからフィードバックを得て、自身を改善することが不可欠です。さまざまなフォーラム、Facebook、Twitter などのソーシャルメディアで自分の作品を共有しています。チェックするハッシュタグはありませんが Concept ShipsArtStation などのサイトでインスピレーションを得てから、私の1日は始まります。

Q.同輩の評価は気にしますか?

評価はとても重要です。たとえば、それにより モチベーションを維持できるでしょう。フィードバックがあれば(肯定的であれ、否定的であれ)、作品を改善したり、必要に応じてパーツを洗練したりできます。私は通常、制作プロセス全体のさまざまな側面で、フィードバックを得ようとしています。これにより、正しい方向に向かっているかどうかを確認できるのです。

「Condensator A6」

Q.芸術的な目標はありますか?

先ほど述べたように、仕上げて、人前に出したい 大きなSFプロジェクトに取り組んでいます。しかし、まだ、たくさんの計画・モデリング・ドローイングが残っています。近い将来に それを公開して、生き生きと仕上げるためにサポートしてくれるアーティストを招待したいと考えています。運が良ければ、皆さんに完成作品をお見せできるでしょう。

Q.好きなアーティスト(手描き/デジタル)はいますか? その理由もおしえてください

たくさんいるので難しい質問ですね。私は Syd MeadChristpher Voss の影響をとても受けていると思います。机の前には、いつも彼らの作品があります。インスピレーションが必要なときは、Philippe Bouchet(Manchu)Geof DarrowRyan Church の作品を見ています。最近だと、Ben MauroAaron Beck の作品がお気に入りで、映画『Elysium (エリジウム)』のために制作されたコンセプトは最高です。また、ゲーム『Mass Effect (マス エフェクト)』のコンセプトを担当した BioWare 制作チームの大ファンです

Q.次回作についてお聞かせください

「Finding a Shelter (シェルターの探索)」と同じ宇宙を舞台にしたプロジェクトを完成させようと思っています。その後は、スカルプトやハードサーフェス モデリングのスキルを習得し、磨き上げ、作業時間を短縮させるつもりです。次回作には、スカルプトされたクリーチャー、プロップ(小道具)などが多数含まれることでしょう。

 


編集部からのおすすめ:
正確なパース、色と光で作るムード.. SFや幻想的な絵を描くには、書籍 『Photoshopで描くSF&ファンタジー』をお勧めします。

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp