スタイライズ キャラクター『Rider』のメイキング

ブラジルの Giovane Henriques 氏 が スタイライズ キャラクター『Rider』のメイキングを紹介します


Giovane Henriques
3Dキャラクターアーティスト|ブラジル


はじめに

こんにちは! ブラジルを拠点に活動している 3Dキャラクターアーティスト Giovane Henriques です。このメイキングでは、Michael Angelo Dulay 氏 の コンセプトアート を基にしたプロジェクト「Rider」の制作の全工程を紹介します。普段から私が実践しているワークフローを余すことなく公開するので、楽しんでもらえると嬉しいです。

「Rider」の最終イメージ:Photoshop でレンダーパスとエフェクトを合成

01 リファレンスを探す

リファレンスは 1度にすべてを集めるのではなく、各段階で必要なものを見つけるようにしています。もし、最初から集めすぎると、かえってクリエイティブな発想の妨げになり、元々のコンセプトから離れてしまうリスクがあるでしょう。今回は、PureRef でリファレンスボードを作成し、制作過程で必要なディテールのリファレンスを追加していくことにしました。

PureRef の初期リファレンス

02 主なフォームをスケッチ

この段階は、細かいことを気にせずに、コンセプトの形を探り当てていく楽しい時間です。アイデアを自由に広げ、発想を膨らませてみましょう。ZBrush でスケッチします、まず、[ダイナメッシュ]を適用した球体から始め、[Move][ClayBuildup][DamStandard][Pitch]といった基本ブラシを使って形作っていきます。パーツによってはマスクと[抽出]を駆使し、同じ基本ブラシを使って形を整えます。また、必要に応じてトランスポーズマスターを使い、[Move]ブラシでモデルのプロポーションを調整します。

ZBrush でスケッチする

★パート1 - スケッチ:Rider - Part 01 Sketch(10分14秒)

03 モデルのスケール

3D制作を始めたばかりの人にとって、あまり語られることのない重要なポイントをお伝えしましょう。リトポロジを始める前に、Maya での問題を避けるため、モデルのスケールを設定することが大切です。私はいつも実際のサイズで作業するので、まず Maya の立方体を書き出し、ZBrush での動作を確認します。ZBrush でプリミティブから作成するとスケールが小さいため、他のソフトでシェーダ、ライト、ディスプレイスメントを設定するときに深刻な問題になることがあります。

Maya の立方体と ZBrush のプロポーション

04 Maya でのリトポロジ

リトポロジの出発点として、ほとんどのパーツに[Zリメッシャー]を使っています。ときには何度か[Zリメッシャー]を使い、[ZRemesherGuide]ブラシできれいなベースメッシュを作成します。その後、GOZ を使って Maya にエクスポートし、必要に応じてエッジループを修正します。この方法によって、かなりの作業時間を短縮することができます。

顔に関しては、より細かいコントロールが必要なため、デシメートされたスケッチを参考にしながら、[選択したオブジェクトをライブにする]を有効にして、[資格ポリゴン描画]を使い、手動でエッジループを作成していきます。この丁寧な作業が、最終的な仕上がりの質を大きく左右するのです。

Maya でリトポロジを実行

★パート2 - リトポロジ:Rider - Part 02 Retopology(9分54秒)

05 ZBrushでハイポリの作業を進める

ベースメッシュでキャラクターのシルエットがしっかり作れていれば、ハイポリの作業は比較的簡単です。いくつかのパーツのディテールを調整し、キャラクターの顔により注力していきます。顔では、[すべて投影]オプションを使い、場合によってはパーツごとにマスクを使ってスケッチのシルエットを再現します。ハイポリを設定したら、[GOZ]を使って、Maya で UV を開き、その後 ZBrush に戻ってサーフェスに[ノイズ]を適用します。

ZBrush でハイポリを作成

Maya の[UVエディタ]

★パート3 - ハイポリ:Rider - Part 03 Highpoly(12分25秒)

06 Substance 3D Painter でテクスチャリングする

Substance 3D Painter は、マスク内やグループ内でテクスチャを扱える素晴らしいツールです。これにより、非破壊的にブレンドしたり、後から色を変更したりすることもできます。

基本的に、私は以下のような手順で作業を行います:まず、モデルにベースカラーを設定し、塗りつぶしレイヤー(Fill Layer)、黒のマスク、マスク内に塗りつぶしレイヤーを追加します。次に、グレースケールの単色で、グランジやプロシージャル処理を加えます。この方法の素晴らしい点は、マスク内の塗りつぶしレイヤーの色を変更したり、ブレンドモードを変更したりできることです。さらに、これと同じプロセスを、Roughness(粗さ)、Height(高さ)、Metalness(金属感)、Normal(法線)など、すべての個別のチャンネルで使用できます。

Substance 3D Painter で肌のそばかすをプレビュー

ブレンドモードのテクスチャによるカラーバリエーション

ブレンドモードのテクスチャによるラフネスのバリエーション

★パート4 - テクスチャリング:Rider - Part 04 Texturing(10分15秒)