スタイライズ キャラクター『Rider』のメイキング

07 ライティングとルックデヴ

シェーダの作業では、まず3つの基本ライトを設定することから始めます。Substance 3D Painter で丁寧に作業していれば、Maya で適切な位置にテクスチャを配置するだけで十分な結果が得られるでしょう。作業を効率化するため、UDIM を使って全体を一度に確認し、正しく機能しているかをチェックします。テクスチャを配置したら、シーンに HDR を追加し、よりリアルにするために GI を有効にします。肌には、V-Ray の AlSurface を使っています。これは、他の基本シェーダとは少し異なる動作をします。具体的には、Gloss の代わりに Roughness を使用するため、Gloss テクスチャを反転させるか、Substance 3D Painter 内で Roughness 用のプリセットを作成して出力する必要があります。

基本シェーダの設定

V-Ray AlSurface の設定

★パート5 - ライティングとルックデヴ:Rider - Part 05 Lighting Lookdev(12分24秒)

08 髪の毛と柔らかい毛

髪の毛は XGen で作成し、Tom Newbury のチュートリアル で紹介されている手法を参考にしています。XGen では非常にダイナミックな作業が可能で、プレビュー段階で最終的なルックをイメージできることが特徴です。一般的に、[クランプ][カット][ノイズ]の順で適用していきます。もちろん、リファレンスにもよりますが、今回は複数の[クランプ]を組み合わせています。

まつげでは、ZBrush スケッチを読み込み、いくつかのカーブを抽出して XGen のガイドとしてインポートすることで、同じシルエットを維持します。シェーダには、若干の調整を加えた赤(光沢用)を使い、Light Multiplier(光の乗数)を上げています。コートの柔らかい毛については、デシメートしたベースメッシュを使い、ディスプレイスメントを適用したベースメッシュのキャビティと同じ位置に毛を生成します。

ガイド プレビュー

ヘアシェーダの設定

XGenで柔らかい毛の設定

09 最終レンダーの準備

最終シーンのライティングでは、3灯ライティングの基本的な考え方を維持しつつ、いくつかの調整を加えています。キーライトとバックライトはフィルライトの約半分の光量に設定し、HDR は露出を0.8に設定した「Old Industrial Hall」を使用しています。カメラ設定については、「Physical Camera」モードを使用し、焦点距離(Focal Length):72mm、ISO:900、シャッタースピード(Shutter speed):200、絞り(F-number):F4に設定しました。この設定により、浅い被写界深度が生まれ、レンダリングはより芸術的な印象になります。

ビューポートのライティングセット

10 レンダー要素とライトパス

ポストプロダクションでの調整に備えて、いくつかのレンダー要素(Render Elements)を作成することも重要です。私は通常、個別のライトをレンダー要素に分けて出力しています。[リレーションシップ エディター]でそれらを接続し、各ライトに別々のパスを割り当てると、ポストプロダクションでよりコントロールしやすくなるでしょう。Photoshop での作業は比較的シンプルです。いくつかのパスに描画モードとマスクを適用し、[レベル補正][トーンカーブ][カラーバランス][ビネット]などを追加しただけです。ペイントオーバー(手描き修正)は行なっていません。本記事をお楽しみいただけたなら幸いです。

レンダー要素(Render Elements)とライトパス

Photoshop で合成する

Photoshop での その他のショット

カメラ設定:72mm、ISO8000、f12

 


編集部からのヒント:人型キャラクター制作のリファレンスには『アーティストのための人体解剖学ビジュアルリファレンス』を、制作テクニックを習得するには、書籍『3Dアーティストのための人体解剖学』 やおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp