キャラクターデザインには「一貫性」と「信憑性」が大切:サルのボクサー『Banana Rage』のメイキング

ブラジルの 3Dキャラクターアーティスト Ricardo Viana 氏 が サルのボクサー「Banana Rage」のメイキングを紹介します


Ricardo Viana
3Dキャラクターアーティスト|ブラジル


はじめに

霊長類と格闘家を組み合わせたキャラクター制作を紐解き、使用テクニックと考え方を紹介します。色、形、ポーズに至るまで、デザイン制作に集中して取り組み、テクスチャリング、レンダリング/ライティングに関する簡単なヒントを紹介します。このキャラクター制作のプロセスから、何か得られるものがあれば幸いです。

Blender Cycles による最終レンダリング(ヘアパーティクルとポーズ用のリグを含む)

01 作りたいキャラクターを見つける

この段階では、まだすべてが混沌としています。イヌ/霊長類、スポーツ選手/パイロットなどのテーマから、キャラクターを考えてみます。イヌは大好きですが、今回は、二足歩行のキャラクターを作ることに興味がありました。人間的な振る舞いをするなら、霊長類が適切な選択になりそうです。また、あの長い腕や好奇心旺盛な顔など、サルのデザインがもたらす可能性も気に入りました。

腕の長い格闘家なら面白くなると思ったので、まず、リファレンスを探し、面白いプロポーション、形、表情を持つ霊長類の画像を集めることから始めました。

リファレンスの保存に PureRef を、検索に Pinterest を使います。この段階では、形や色そのものではなく、面白い感情を探していました

02 形と印象の研究

ここからは、実践的な研究の第一段階です。リファレンスをよく観察すると、それらのイメージが伝える いくつかの興味深い印象に気づきました。ここで求めているのは、同じような「感覚 (フィール)」を伝えることです。それを念頭に置いて、ZBrush で大まかにスカルプトし、サルのアナトミーから主要な形を理解していきます。

この時点では、どんなスカルプトソフトでも同じように作業できます。じっくり時間をかけますが、かけすぎに注意してください。大切なのは、それらのイメージが 3D環境でどのように感じられるかを抽出し、理解することです。

大まかなスカルプトで、リファレンスから面白いと感じる形や印象に近づけていきます

03 ベースデザインのクリーニング

伝えたい印象がわかったら、デザインそのものに取りかかりましょう。形を整えて、キャラクターをより好みの形に近づけますが、美しく、解剖学を強調したキャラクターにする必要はありません。スタイライズ(様式化)を提案されたとしても「一貫性があり」「信憑性の高い」ルックにすべきです。私は、この 2つが良いキャラクターデザインを作るのだと感じています。

「一貫性」と「信憑性」が大切です

04 最終デザイン

ようやく霊長類のデザインが完成しました。次は、格闘家のデザインをリファレンスにしながら、服作りに取りかかります。丸みを帯びた形やシルエットはそのままに、自分の希望に合わせたデザインにしているところに注目してください。

リファレンスは、デザイン上の問題を解決する手助けになります。それを念頭に置けば、最終デザインは、私たちが想像し、望むものになるでしょう。ここでの色は一時的なものですが、フォームと同様に明度を一度チェックしておきます。丸みのある胸の形と、色を使った顔の描き方に注目してください。

リファレンス:「サガット」「Charlie Bone」(Nesskain HKS)「ジョー・ヒガシ」「ブアカーオ」

05 デザインの洗練とスカルプト

最終デザインに到達したので、あとはレンダリングがどのように見えるかを考えていきます。クリーンで見栄えするデザインを選んだので、二次的な形やアナトミーなど、中レベルのディテールは入れないようにします。そうすれば、主要な形をすっきりと読みやすい状態に保てるでしょう。ボディとプロップのみに絞り込み、小レベルのディテールと3次的な形(毛穴や傷跡など)を入れていきました。

ZBrush のスクリーンショット。右腕の傷跡、腕と腹のしわなど、中レベルのディテールを示しています

06 完成イメージ

これが最終結果です! 前に述べたように、ディテールアップの段階でもほとんどの部分はそのままにしています。個人的には、テクスチャリングの段階で Substance 3D Painter を使い、小さいディテールに取り組む方が楽に感じます。

ディスプレイスメント モディファイアは必要なく、通常は法線マップとラフネス/ベースカラーマップだけでとても上手くいきます。ベースボディにはヘアパーティクルを使い、ミクロレベルで体毛のディテールを表現しました。中間ディテールを省くことで、主要な形がしっかりと保たれ、ミクロのディテールが完成イメージに信憑性を与えています。

大きな形はソリッドに見え、拡大するとミクロのディテールが見えます。また、表面間のコントラストで、全体の印象を優先していることに注目してください

完成イメージ

プロのヒント:シンプルに

当たり前のように聞こえますが、クリーンなデザインにはシンプルさが重要です。ただし、シンプルにしすぎて、平坦な色の表面にならないようにしてください。ある程度の変化が必要です。均一性を印象づけるようなベースカラーを作り、主にブレンドモードで作業します。他のマップに気を取られる前に、色に集中しましょう。

全体的に均一に見えますが、拡大した表面には複雑さがあります

私は普段から X(旧Twitter)のアカウント でシェーディングのヒントをシェアしています。また、Gumroad では空の環境テクスチャをフリーダウンロードできます。キャラクターに関する コンテンツ も紹介する予定です。

 


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編集:3dtotal.jp