インスピレーションから最終デザインまで:キャラクターデザインの秘訣

キャラクターデザイナー Daniel Tarrant氏 が、初期のインスピレーションから最終デザインまで、キャラクターデザインのプロセスを詳しく説明します


Daniel Tarrant
キャラクターデザイナー


はじめに

このチュートリアルでは、私がキャラクターをデザインするときのプロセスを紹介します。キャラクターデザインの一般的な基本原則を説明し、さらに独自の方法について具体的に説明します。私は今回、バット・フォー・ラッシーズ「Widow's Peak」という 曲を聴いて、インスピレーションを受けたキャラクターに生命を吹き込んでいきます。

「Widow (未亡人)」

★Widow's Peak(3分47秒)

01 バックストーリーの作成

キャラクターをデザインするときは、いつも その人物に関する質問から始めます。「好きな色は?」「人生の目標は?」など、何でもいいです。そうすれば、その人物を見極めることができ、うまくいけば、より豊かで説得力のある最終デザインになるでしょう。私は曲からインスピレーションを得ているので、歌詞だけでなく、音楽の情緒的なトーンからも答えを導き出しています。これは、「結婚式の日にパートナーを亡くした女性が 答えを求めて旅に出る」というストーリーです。このことから、彼女が悲しみながらも、決意に満ちていることがわかります。

キャラクターデザインは、ただカッコよく描けばいいというわけではなく、信憑性や真実味が必要です

02 インスピレーションを得る

インスピレーションはどこでも得られるので、私はスケッチブックとカメラを常に携帯しています(リファレンスをまとめるのに最適なリソースの1つが Pinterest です)。私にとって、この曲はファンタジーや冒険を連想させるので、そのような系統のものを探しました。「背中には彼のジャケット」「故人の靴」など、歌の中の比喩を文字どおり取り入れたいと思います。これは、彼女にとって初めての一人旅なので、パートナーの服を着て間に合わせています。まだ装備が整っていないという理由もありますが、彼を近くに感じていたいのでしょう。

リサーチに「やりすぎ」はありません。調べれば調べるほどアイデアが湧いてきて、次のステップに進みやすくなります

03 アイデア スケッチ

鉛筆を紙の上に(または タッチペンを画面上に)走らせる時間です。最初に思いついたことを そのまま採用するのではなく、いろいろな可能性を探り、最適なものを見つけることが大切です。まず、大まかな形をスケッチし、似合うポーズやシルエットを見つけてから、服を描いていくのが一般的です。パートナーの写真・地図・ブーツ・ジャケット(マント)など、曲から取り入れたいものがいくつかあります。オーバーサイズのブーツを履くため、靴下を厚手にしたり、パートナーの写真を入れるロケットを加えたりと、アイデアを練っていきます。

模索することで、思いもつかないような面白いアイデアが出てできます

04 下描き

気に入ったサムネイルが何枚かできたら、一歩引いて、優れたところをピックアップします。そして、それらを組み合わせ、作りたいキャラクターのルック&フィールを最もよく表している強力なデザインに仕上げましょう。この時点で、デザインの構成を推し進め、服をシルエットの一部として捉えます。そして、「髪とマント」のように、形に面白いコントラストやミラーリングを作り出せるかどうかを探ります。

この段階では、線を緩くしておきましょう。そうすれば、小さなハッピーアクシデント(嬉しい偶然)がおきて、デザインの強みになるかもしれません

05 線画を仕上げる

表情にディテールを加え、線を整えていきます。ただし、きれいになりすぎないように気をつけてください。自信を持って大胆に描きましょう。まだラフなので、意図的なら交差してもかまいません。私は線の太さを変えることで、視覚的な緊張感を与え、視線をイメージの周りに引きつけています。テクスチャ感が増すので、鉛筆ブラシを使うことが多いです。

2Dのイメージでは、キャラクターのさまざまな部分を交差させたり、つなげたりする線は避けましょう。目を混乱させる可能性があります

06 色を探す

デザインが決まったら、次は 色選びです。線画をガイドにして、簡単なサムネイルを作り、組み合わせを探りましょう。私はインスピレーションを得るためにリファレンスを見返し、キャラクターの個性や伝えたいストーリーを際立たせるのに役立つ色を探します。この場合、暗いトーンや落ち着いたトーンの方が良いですが、それでも目立たせたいと思います。

色は少ない方が良いでしょう。ミッキーマウスやマリオのようなキャラクターに、数種類の色しか使われていないのは、偶然ではありません

07 ブロッキング

カラーパレットが決まったら、いよいよブロッキングを始めます。線画と同様、あまり正確に描かないようにします。私はラフなテクスチャブラシを使っているので、完璧にはなりません。デザインのパーツごとに新しいレイヤーを作成すれば、あとで(他の部分を変えずに)特定のパーツのみを簡単に編集できます。

レイヤーを節約するために、個別のパーツをグループ化し、常にどの部分が手前にあるかを考えています

08 影とハイライト

普段は自分のスタイルに合わせてシンプルにライティングしますが、今回のデザインには、目に見える光源を取り入れます。「たいまつ」の感じを出すため、眉の下などに影をつけたり、所々に光を反射させたりしています。影は、クリッピングマスクを[乗算]に設定し、暖かいグレーを塗り重ねます。ハイライトでは、マスクを[オーバーレイ]に設定し、明るいグレーを使用。最後に、髪や手など、炎に近い部分にオレンジの光を加えます。

影はデザインにボリュームと奥行きを与え、衣装の折り目などを表すのに役立ちます

09 線に色を入れる

色の仕上がりに満足したら、線画に色を付けていきます。線レイヤーの上にクリッピングマスクを作成し、その上から関連する部分に合わせた色でペイントします。目立たせるため、デザインの明るい部分(たいまつなど)には暗い色を使い、逆に暗い部分(マントなど)には明るい色を使います。

線画を最終デザインの一部として残しつつ、イメージに合わせて色付けし、滑らかにします

10 仕上げをする

あとは、デザインを際立たせるディテールを加えるだけです。地図に印をつけて、旅をしていることを表し、床に影を落として、地に足がついていることを表します。最後に、イメージに最適な背景色を決めます。

背景に補色を用いると、デザインのムードを高めることができますが、白背景が効果的な場合もあります。

ヒント:人間観察、人体ドローイングを行う

世の中にはさまざまな人がいて、独特のスタイルや習慣を持っています。人間観察は、アイデアを得るだけでなく、ドローイングの練習にもうってつけです。人の姿を素早く捉えようとすると、形やしぐさといった本質的な部分に集中することになるでしょう。

コーヒーショップは「アーティストのジム」みたいなものです。座って、たくさんの人を描き、コーヒーを飲むには最高の場所と言えるでしょう。

 


編集部からのおすすめ: 色、構図.. アートのセオリーを学ぶ/再発見するには、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』そして、『続 デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp