色と光:インテリアデザインや建築ビジュアライゼーションにおけるセオリー

Mohsen Hashemi氏 が「色」と「光」のセオリーを紹介。インテリアデザインや建築ビジュアライゼーションでイメージを膨らませるテクニックを紹介します


Mohsen Hashemi
建築ビジュアライザー/イラストレーター|米国


はじめに

インテリアデザイナー や 3Dアーティストは、毎月のように「光」「色」について話したり、考えたり、調べたりしています。この2つは重要な要素なので、正しい方法で理解し、適材適所で生かすことができれば、仕事の質を底上げできることでしょう。これから、デザインやレンダリングにおける光と色について、いくつかのトピックを取り上げます。

 

色:カラー

インテリアデザインにおいて、「色」は最も重要な要素の1つです。インテリア空間における色は、色の輪郭を抽象化したものであり、実際の素材や表面の色を選択するプロセスには、経験と創造性が必要不可欠です。これらの要素にはいくつかのルールがありますが、デザイナーや3Dアーティストにとって大事なのは、「色のルールをどのようにクリエイティブに使うか」ということです。

色彩心理学は、異なる空間、異なる設定、異なる機能に対して重要な役割を果たし、顧客の感情的な反応に影響を与えます。色は作品の雰囲気や印象を変えるだけではありません。淡い色を使うと空間が広く見えるなど、私たちの身体的・心理的反応に影響することもあります。

色彩理論に基づいた多くの色彩カテゴリがありますが、ここではそのうちのいくつかを紹介します。その前に色相環(カラーホイール)を見て、その仕組みを見てみましょう。

ウィキペディアの情報によると アイザック・ニュートン が最初にこれを使い、色の混ざり具合を基にイラストのルールを提供したそうです。現在の色相環は、より完成度の高いものとなり、さまざまな場面で使えるようになっています。

色相環(カラーホイール)

RGBモードは 赤(Red)、緑(Green)、青(Blue) が主な色で、HSBモードは 色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Brightness) によって色が変化します。CMYK と Labカラーにも同じ特定のルールが存在します。ここで、色とデザインに関する非常に重要なルールについてお話しします。これは、私たちのデザインにおける色の使い方に影響を与えるでしょう。

・ルール 60-30-10
このルールでは、空間のカラーパレットと色の割合を、ドミナントカラー:60%、セカンダリーカラー:30%、アクセントカラー:10%として割り振ります。

たとえば、下の図のドミナントカラーは青系のターコイズ、セカンダリーカラーはニュートラルホワイト、アクセントカラーにオレンジが使われています。

ドミナントカラーは青系のターコイズ、セカンダリーカラーはニュートラルホワイト、アクセントカラーにオレンジが使われています

01 補色

「補色」とは、赤と緑、青とオレンジ、紫と黄など、色相環で互いに向かい合う2つの色相のことです。これらが混ざると効果的に打ち消しあい、茶色や黒に近い濁った色合いになります。補色は見る人の注意を引くために使われます。下の図はそれらのサンプルです。

02 類似色

「類似色」は、そんなに難しいものでなく、隣同士の色のことです。隣同士であれば、どの色を使っても問題ありません。たとえば、赤、赤橙、橙を選べばOKです。以下にその例を示します。青緑の類似色は、青と緑の2色になります。

類似色

03 トライアドカラー

これも簡単で、色相環の使用色が互いに等距離にあることを確認するだけです。色ごとに彩度を変えるのは自由ですが、調和を失わないように注意してください。

トライアドカラー

04 ニュートラルカラー

アーティスティックなアプローチが好きな私は、メインカラー、セカンダリーカラー、アクセントカラーとして、ニュートラルカラーを使い分けることがあります。このような空間は、本当に居心地が良いと感じられる場所です。最近は、アーティストやデザイナーの間でも人気がある色調です。

05 色の特性

色選びは、必ずしもルールに沿ったものばかりではありません。色の特性に基づいて環境にアイデンティティをもたらし、デザインにクライアントの個性の一端を示すような色を選ぶこともあります。たとえば、「黒」は権力、栄光、壮大さを表す色として、「金」は王族、富の象徴として使用することができます。

デザイナーがアーティスティックに努力したのに、ルールやポリシーを知らず、自分の意見をデザインに盛り込みたがるクライアントがいます。最後の課題として、ここに私たちの最大の使命があります。つまり、彼らに歩み寄り、ベストな構成に到達する方法を見つけ出すことです。