ZBrush、Maya 使用、サイバーパンクキャラクターのメイキング

06 マップのエクスポート

ここまで終えたら、いよいよマップをエクスポートします。Diffuseマップは MariZBrush でエクスポートしますが、今回は手早く行える ZBrush を使います。Arnold で使うディスプレイスメントマップは、以下の設定でエクスポートします。

1.[ディスプレイスメント][テクスチャからポリペイント]を選択
2.「ファイル名」をクリック
3. TIFを選択
4. UDIM を選択(ここが最も重要で、ZBrush はすべての UDIMマップをエクスポートします)
5.マップをエクスポートするサブディビジョンで「Adaptive」と「SmoothUV」を選択
6.「DPSubPix」:4、「中央値」:0に設定し、「32bit」「EXR」を選択

※テクスチャのベイクに関してはこちらもおすすめです:ゲームキャラクターをつくる - テクスチャリング編:09 UV展開とテクスチャのベイク

ZBrush で UDIMマップをエクスポートするのを忘れないでください

07 スキンシェーダ

すべてのマップを作成したら、キャラクターの各パーツを Maya にエクスポートします。顔には Arnold の[aiStandardSurface]シェーダを使い、他にもいくつか適用してリアルな肌に近づけました。[Subdibision]>[Type]を「catclark」にセットし、[Iterations]は頭部で4、サバイバルベストで2にしました。

顔のシェーダでは、まず[Subsurface]ウィンドウを調整します。拡散(difuse)マップを「Subsurface Color」に接続し、「Radius」でH:10.500 S:0.600 V:0.500 にします。[scale]は通常、肌がリアルに見える値にしています。Type には「radomwalk_v2」を選択しました(※Arnold の詳細:https://docs.arnoldrenderer.com/display/A5AFMUGJPN/Subsurface)。

Bumpタブの Bump Value に Microporesテクスチャを接続しました(これは ZBrush で作成したもので、スペキュラを崩し、より自然なルックにするのに役立ちます)。Photoshop を使い、いくつかのタイルで(UVのサイズに応じて)このテクスチャを「乗算」します。あとは ZBrush で作成したディスプレイスメントマップを接続し、[Autobump]に選択するだけです。

※肌のマテリアルに関しては、以下のチュートリアルもおすすめです。
リアルなゲームキャラクターの作成:「マックス」のメイキング
穏やかな女性のCGポートレート『Emma, close your eyes』のメイキング
フォトリアルな CGポートレート『The Legend Lives』のメイキング

スキンシェーダの設定、ディスプレイスメント設定、マイクロバンプ

08 目のシェーダの設定

眼球と虹彩についても、ほぼ同じ手順で進めますが、いくつか変更点があります。目は「globe(眼球)」「iris(虹彩)」の2つの部分に分けて、[aiStandardSurface]マテリアルをそれぞれに適用しました。眼球シェーダでは、「transmission」でランプカラーを作成し、虹彩が表示される部分を残すように設定しています。つまり、中央を透明(白)に、周りの白目領域を(黒)にしてテクスチャが残るようにしています。そうすることで、白を透明にするマスクが作成され、下の虹彩が表示されます(下図を参照)。虹彩は、肌と同じ手順で、「サブサーフェス」タブで、[Radius]を変更し(H:3.000、S: 1.000、V: 0.000)、「Scale」:0.100にしました。

眼球シェーダ、虹彩シェーダ

09 ヘア

ヘアは、Maya の XGen で生成しました。使い方はとても簡単です。まずヘアを生やす部分を分けます。このプロセスでは、最初に眉毛とまつ毛を作り、最後に髪の毛を作りました。XGen の使い方は図を参照してください。

XGen でヘアを作成します

10 シーン/ライト

ライティングについては、Jahirul Amin氏 のウェブサイトに掲載されているライティング設定を用いました。今回使用したのは、写真スタジオを模したものです。さらに、別のライティング設定も試し、よりシンセウェイブでノワール寄りのものを作成しました。このように雰囲気を出すためのライティングを何度か試して、最終構図を決めることが大切です。

ルックデヴ

最終イメージ

★デモリール:Cyberpunk 2077 Male design Fan Art - Demo Reel(2分14秒)

プロのヒント:ワークフローの実践と研究

アーティストなら、新しい挑戦をし、常に新しい方法を研究してください。この業界は新技術の登場により日々進化していますが、芸術的な側面もおろそかにしてはいけません。私からの一番のアドバイスは、「自分でテクスチャを作ってみること」です。私は既製のテクスチャを使わず、常にテクスチャを自作するようにしています。このキャラクターでは、毛穴のテクスチャを作成しました(顔に使用)。芸術的な側面を失うことなく、常に新しい方法を研究し、実践するようにしましょう。

テクスチャ制作は、素晴らしい学習法です

 


編集部からのヒント:フォトリアルな CGキャラクターの制作テクニックを学習するには、書籍『3Dアーティストのための人体解剖学』『MAYA キャラクタークリエーション』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp