3dtotal.comから海外のデジタルアート最新情報
(映画、ゲーム、映像関連)を日本語でお伝えします!

ギレルモ・デル・トロ風 女性クリーチャー「Mother」のメイキング

Pocket

フリーランス キャラクター&クリーチャーアーティスト Natalia P Gutierrez氏 が、女性クリーチャー「The Mother」の制作ワークフローを紹介します(ZBrush、Painter 等使用)


Natalia P. Gutierrez
キャラクターアーティスト|スペイン


こんにちは! スペイン在住のフリーランス キャラクターアーティストの Natalia です。このメイキングでは、Artstation のコンテスト Beneath the Waves の2D部門にも参加した Mahealani Rodrigues氏 のコンセプトを元にした リアルタイムCG用キャラクター「The Mother」のメイキングを紹介します。

1. プリプロダクション - リファレンス収集

スカルプトを始める前に、まず、いくつか考えなければいけないことがあります。私はこの段階を「プリプロダクション」と呼んでいます。あらゆるプロジェクトにおいて、はじめのステップは、リファレンスを検索して収集することです。集めたリファレンスを 1度に表示するため、私は PureRef というソフトウェアを使います。

今回は、Mahea氏 が使ったリファレンスボードも見て、デザインのベースとなっているものを確認しました。リファレンスにしたのは、いくつかの海洋動物と「死の天使」(映画『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』(監督:ギレルモ・デル・トロ)のキャラクター(演者:ダグ・ジョーンズ)です。なぜなら、これらに類似点があると感じたからです。

リファレンス

★ヘルボーイのキャラクター「死の天使」:Hellboy 2: The Golden Army Movie CLIP(3分22秒)

2. プリプロダクション – キャラクター分析

プリプロダクションの 2つめのステップでは、キャラクターを分析して、頭の中で単純化します。すなわち、3Dビューからさまざまなパーツがどのように見えるかを解釈、さらに見えないものまで想像することです。このキャラクターは、複雑なハードサーフェスや付属品のない有機モデルでしたが、それでも、その仕組みについて考える必要がありました。まとめると「コンセプトを理解して、自分の中で一貫性をもたせる」ということです。たとえば、図のようにコンセプトに注釈を付けたり、簡単な3Dスケッチを作ったりします。

注釈の付いたコンセプト

3. 3Dスケッチ

コンセプトを解釈したら、次は、3D空間でスケッチを開始します。私は通常、最も重要だと思う部分(この場合は人型のボディ)から始め、次にその周りを構築していきます。初期フェーズのスケッチでは、ZBrush を使い、球・円柱などのプリミティブや[CurveTriFill]ブラシなどで、必要な領域に手早くジオメトリを作成します。この手順は非常に面倒なので、まずベースを確立しましょう。私の場合、プリミティブを大胆に変形し、ダイナメッシュにしてからスカルプトするだけです。以下の図で、私が使っているブラシを確認できます。

使っているブラシ

4. スカルプト – 3Dスケッチを調整する I

1度に1つずつ、スケッチを調整していきます。これまでと同じブラシを使い、さまざまなボディパーツのサイズと形状を調整して、少しずつディテールをスカルプトします。伝えたい感覚を念頭に置き、スカルプトしながら反映させていきましょう。顔は最も重要な部分です。目は魂を表すので、このキャラクターに目がないのは少し気になりましたが、最終的には全く問題ありませんでした。

少しずつディテールをスカルプト

5. スカルプト – 3Dスケッチを調整する II

キャラクターの洗練を続け、より多くのディテールを組み込んでいきましょう。たとえば有機的なフードの場合、主要な形状を決めたら、球体で 1つの「殻」を作成します。次に、それを低解像度のダイナメッシュにして、[Move]ブラシで変形させてから 表面を少しスカルプトします。最後に、この殻をフードの上に置いて何度も複製し、フード全体が覆われるまで[Move]ブラシで個々の殻を調整します。

個々の殻を調整

6. スカルプト - 仕上げ

これまで説明したプロセス(プリミティブの作成、造形、ディテールの追加)を続け、さまざまな要素を構築していきましょう。ここでは主に[ClayBuildup]ブラシでディテールの必要な領域をスカルプトしています。フードのテクスチャと感覚に自信が持てなかったので、ベイクやテクスチャリングのプロセスにおけるディテールに説得力を出すため、凹みのような要素をスカルプトしました。さらに、コンテストのスレッドに寄せられたフィードバックのおかげで、このクリーチャーのアナトミー(身体構造)も少し変更することができました。

フィードバックのおかげで、アナトミー(身体構造)も少し変更することができました

7. アルファディテールの追加/ポリペイントのベースを作成

モデルが仕上がってきたので Aaron Sims のアルファを使ってディテールを追加し、肌の興味深いパターンを作りました。アルファを追加するときは「モーフターゲット」オプションとレイヤーシステムを使って、モデルの崩壊を少なくします。モデルにディテール情報を加えたら、[Alpha 23]と「Color Spray」でポリペイントのベースを作り、キャビティマスクでマスキングをします。これは任意の手順ですが、私は、このアルベドベースを Painter にインポートして 使用する 色の感覚をつかんでいます。

Aaron Sims のアルファでディテールを作成

★参照映像:Aaron Sims のDVD『Detailing Charcters Zbrush Alpha Library (Tethered Islands Series)』より

8. リトポロジー / UV

モデルのリトポロジーは Topogun で、UV は Headus UVLayout で実行しました。Painter でさらにディテールを描きたかったので、UV を2つの塊に分割して、ディテール用のスペースを増やしました。そして、下部にある非対称の触手パーツのトポロジーを作成するため、[Zリメッシャー]を適用しました。結果として、それが迅速な解決策であることが証明されました。

リトポロジーは Topogun で、UV は UVLayout で実行

9. Painter でテクスチャを作成する

ベイクの準備が整ったら、Painter でテクスチャリングを始めます。別のソフトでマップを生成し、それらを Painter にインポートすると、マスクとして使えるのでペイントを細かく制御できるでしょう。私が生成するいくつかのマップは、凹凸(ノーマルマップ)と ZBrush からのキャビティマップです(モデルを黒でポリペイントし、キャビティマスキングして白で塗りつぶし、テクスチャとしてエクスポート)。

Painter でテクスチャリングを始めます

10. レンダリング / プレゼンテーション

さあ、本当のお楽しみの始まりです! モデルが完成したので Marmoset Toolbag でモデルをレンダリングして際立たせてみましょう。モデルをインポートしたら、スカイボックスの1つを選択します。次に、その明るさを下げて、手動でオムニライトを配置し、各設定をコントロールします。

プレゼン用のシーンで一般的に達成したいのは、ドラマチックなライティングです。モデルが平坦に見えないように影を落とし(トップスポットライトを使用)、リム/オムニライトでシルエットと関心のある領域を引き出します。そうすれば、モデルの最も明るい領域に注目が集まることでしょう。

完成イメージ

 

★Marmoset によるプレゼンテーション(※3Dです)

 


編集部からのおすすめ:ZBrush による制作テクニックを学ぶには、書籍『ステップアップのための ZBrush ガイド』『ZBrush キャラクター&クリーチャー』をおすすめします。

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp

Pocket