コンセプトアート『Our Void -空虚』のメイキング

米国在住のコンセプトアーティスト&イラストレーター Raqmo こと 村上 玲子 氏 が、その作品『Our Void -空虚』のメイキングを紹介します(Photoshop 使用/ 2013年)


村上 玲子 / Reiko Murakami(raqmo)
コンセプトアーティスト&イラストレーター|米国
超現実的なファンタジーやホラーキャラクターのイラストを得意とするコンセプトアーティスト&イラストレーター。現在、米国在住

01. はじめに

『Our Void -空虚』は、クリーチャーポートレートシリーズの 1つとして作成したものです。シリーズ 4作目の本作では、安定した構図にしたいと思い、鑑賞者が 目にして、ダイレクトに繋がるようなクリーチャーを想像しました。課題は、安定したシンメトリ(左右対称)のルックを保ちつつ、全体の構図を面白くすることです。

02. スケッチ

最初のステップでは、白黒のスケッチを作成します。私は通常、カラーバランスを気にせず構図に集中できるように、明度に手をつけていきます。明るいグレーの背景レイヤーから始めると、ハイライトとシャドウを簡単に追加できます。半身で作業した後、それを複製・反転して、バランスのとれた構図を作ります(図01)。

図01

03. 明度と構図

スケッチを終えたら、作品を検証します。この時点のコンセプトは非常にラフなので、少し休憩して自己評価を行い、実際にどうなっているかを確認します。私は構図の最も重要な領域を頭に決めたので、他のすべての領域が 鑑賞者の視線を頭に戻す流れになるようにデザインしました(図02)。

図02

次に、スケッチのクリーンアップを始めます。顔を より支配的に。その造作を強化する光源を設定、暗い領域を配置して クリーチャーのシルエットを定義します。この時点では、スケッチ段階のように半身をコピーすることはほとんどありません。代わりに、新しいレイヤーを作って、スケッチの上に描きます。これは、無機質な対称性を より有機的にするのに役立ちます。 さらにディテールを加えるため、人間の骨格とヤギの頭蓋骨のリファレンス写真を使用しました。これは、クリーチャーに真実味のあるアナトミー(構造)を施すためです。ただし、いくつかの領域(たとえば上腕の肩の部分)では、元の線の流れを維持して、現実的なルックよりも 雰囲気を大事にしました(図03)。

図03