【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード56:はじめての映画の仕事 -『Freaked』
ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!
今回は、私が19~20歳の頃、スクリーミング・マッド・ジョージさんの元で、はじめて携わった映画『Freaked』、そして、そのときの話をしたいと思います
映画『Freaked』(1993年)
あらすじ: ある悪い奴が開発した液体。それをかけられた人は皆、フリーク(妖怪)になってしまいます。フリークになった人たちは南米の見世物小屋で働かされていましたが、団結して、そこからの脱出を図るという破茶滅茶コメディー映画です。
キアヌ・リーブス が犬男役だったり、『ロッキー3』(1982年)の敵役の超怖い顔で有名な ミスター・T がヒゲ女役(女物のドレスを着てるだけ)だったり、フロッグマン(カエル男)がただのスキューバダイバーだったり(※英語では、スキューバダイバー = フロッグマン)、Cowboy(カウボーイ)が 牛の顔をした男だったりと、とにかく、くだら面白いノリです。
キアヌ・リーブス が犬男役だったり、
『ロッキー3』(1982年)の敵役の超怖い顔で有名な ミスター・T がヒゲ女役(女物のドレスを着てるだけ)だったり、
フロッグマン(カエル男)がただのスキューバダイバーだったり(※英語では、スキューバダイバー = フロッグマン)、Cowboy(カウボーイ)が 牛の顔をした男だったりと、とにかく、くだら面白いノリです。
その他にも ブルック・シールズや ランディ・クエイド といった俳優/有名人も出ています。
この『Freaked』は、私がはじめて携わった映画の仕事で、「スクリーンの中だけでしか知らなかった役者たちに、実際に会えて、話もできた」というのは、何物にも代えがたい喜びがありました。「憧れのハリウッド映画の仕事をしている!」 それだけで、もう毎日がすごく楽しいものでした。
その時の私の状況は、
- インターンだからお金がもらえない
- 英語力も大してない
- 初心者なので技術もない
と無い無い尽くしでした。マイナス条件ばかりです。その状況の中で悔しさを感じつつも、自分で決めたことがありました。それは「他の誰よりも働くということ」です。どんなマイナス条件でも、その中で自分ができることは必ずあるのです。そして、そのように実践しました。
仕事のシフトは 9時から19時。19時にお金をもらっているアメリカ人スタッフが帰った後も、何かやることがあれば、率先してやり、なかったら、自分の練習としての造形などをしていました。家で寝る以外は、生活のすべてが仕事でした。「苦しかったか?」と聞かれれば、そんなことはありません。ずっとやりたかったことをしているのだから、大変だったけども苦しくはありませんでした。
その結果どうなったかというと、5年後くらいには、その当時いたアメリカ人スタッフの誰よりもお金を稼げるようになっていたし、重要なものも任されるようになっていました。
今、それを振り返って思います。「ポジティブな努力ができることは 必ず道が開ける」ということです。「やらなきゃいけないから」という強迫観念でする努力はネガティブな努力で、それは、あまりいい結果にはならないと思います。私にもそういう時期がありました。(※エピソード21:私に芸術の才能はない 参照)
若い人たちに特に言いたいのですが「やりたいことがあれば是非チャレンジして欲しい」と思います。そして、それに向かって、義務ではなく、自主的なポジティブな努力をしていって欲しいと思います。
必要なのは、1歩進んでみる小さな勇気と続けるための工夫です。才能や、やせ我慢の努力ではありません。どうやったら楽しんでできるか、考えて実践することです。 それができれば、人生は良い方向に進むのではないかと思います。
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