【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード44:エイリアン、諸行無常 – 映画『キャビン』(3)
ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!
エピソード44:エイリアン、諸行無常 - 映画『キャビン』(3)
様々なクリーチャーが総出演、ホラーファンにはたまらない映画 『キャビン』(原題: Cabin in the woods)。その映画に登場するキャラクターの1つ、片桐さんがスーパーバイズしたエイリアンは...
>>>> エピソード42:半魚人の水芸 のつづき
今回は マーマン(半魚人)ではなく、以前ちらっとふれた、スーパーバイズしたエイリアンについてです(※エピソード38 参照)。このエイリアンも結構目立つキャラで「映画の後半、主人公たちがガラスのエレベーターに乗ってるところに突然現れる」という予定でした...
複雑な仕組みを作り、7人がかりの操演
デザインがかなり面白かったので、大いに頑張って仕上げました
そして、撮影はしたのですが、最終的に、そのシーンは CG の煙のクリーチャーに変えられてしまっていました。これは憶測なのですが、このエイリアンの設定は上からぶら下がってくるというもので「いざ、セットに設置しようとしたら、上に引っ掛けるものが何もない...。何とか宙に浮かせて、固定して、頑張って動かしたのだが、ぶら下がっているように見えなかった」のではないかと思います。
とても面白い仕掛けがあったので、興味のある人は下の動画を御覧ください。
ちなみに、この撮影は、半魚人の撮影の翌日。(半魚人と並行して)約3ヶ月かけて作ったものを2晩で使い捨てにして...。なんとも諸行無常な仕事をしてるんだなぁ とつくづく感じました。
ところで、撮影場所はカナダのバンクーバーだったのですが、宿泊ホテルはなぜか、有名なゲイ ストリートの真っ只中で、ちょうど向かいにゲイバーがありました。スタッフが持っているポスターは "Beartrap Friday(クマの罠の金曜日)" という 毎週金曜日に行われる胸毛コンテストのものです。皆で行こうかどうか検討しましたが、誰もその勇気を持ち合わせておりませんでした。次回チャレンジしようと思います。
ポスターは "Beartrap Friday(クマの罠の金曜日)"という 毎週金曜日に行われる胸毛コンテストのものです
また、私は参加していないけど、床中血まみれのセットでの撮影が1週間続き、そのスタッフたちの宿泊ホテルの廊下の絨毯が血の足跡だらけになってしまい、問題になったという話もありました。これは なかなか想像が膨らみますね。
大変でもあり、楽しくもある この仕事、どれだけ長くやっていても、自分の作ったものがスクリーンに映るのを見るのはたまらないですね。若い頃 わずかな勇気を出して、1歩踏み出して、アメリカに行ってよかったと本当に思います。
楽しい思い出でした!
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