【インタビュー】独自のスタイルとオリジナル要素を融合:3Dキャラクターモデラー Stefanie Zirkus氏
ブラジルの Stefanie Zirkus 氏 が、制作ワークフロー、これまで 克服した課題、キャリアについて語ります
Q. 自己紹介をお願いします
こんにちは! Stefanie Zirkus です。ブラジルのサンパウロを拠点に、3Dキャラクターモデラー/スカルプター/ルックデヴ アーティストとして活動しています。
最初に 3D の勉強を始めたのは 2012年です。CGI の世界に対する情熱と、この分野を学びたいという意欲は、映画『アバター』(2009年、ジェームズ・キャメロン監督)を見たときに芽生えました。コンピュータと想像力だけで素晴らしいキャラクターや世界を創造できる可能性を目撃し、魅了されたのです。
数年ほど独学で勉強したあと、最終的に大学でオーディオ ビジュアル制作を学びました。そこでは、この分野の重要な知識を習得し、自分のスキルを向上させるための後押しをすることができました。3D への思いはますます強くなり、多くの努力と献身の結果、ついに CGI業界に足を踏み入れることができたのです。
「Mini Kraken」:友人の Kaio Moreira のアートブック「Cereal Surreal」のために制作
Q. 制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?
作品「Django」は、大好きな映画の1つである『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年、クエンティン・タランティーノ監督)を題材にしています。映画の象徴的なシーンを基に、ジャンゴというキャラクターの要素と私自身のカートゥーン調アートスタイルをミックスしたバージョンです。
ポートフォリオ用の個人作品ですが、何よりも3Dについてさらに多くを学び、訓練するために制作しました。私は常に自分のコンフォートゾーンから抜け出し、技術とワークフローの向上を目指しています。ファンアートを制作し、対象となるキャラクターに敬意を表すことは常に挑戦であり、この作品には非常に満足しています。今後もさらにファンアートを制作し、改善を目指していきたいと考えています。
「Django」:『ジャンゴ 繋がれざる者』のファンアート
全身像
ワイヤフレーム
Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?
ファンアートにおける最大の課題は「キャラクターの本質」を尊重することです。「Django」では、それは「衣装」でした。現実的になりすぎず、かといってカートゥン調になりすぎないようにするため、その中間点を見つけることに焦点を当てました。その解決策として、体のプロポーションやディテール(しわ、服の形、細長い体型など)にスタイルを持たせました。
映画の衣装を模倣するため、リアルなテクスチャとシェーダを組み合わせています。この過程で学んだことの1つが UDIM です。高解像度のテクスチャマップを使用する必要があったため、UDIM に関する知識と、Maya、ZBrush、Substance 3D Painter といったソフトウェア内でのパイプラインについて学びました。これは非常に価値のある知識となりました。
衣装
靴
Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?
個人プロジェクトや仕事で普段使っているソフトは、ZBrush、Maya、Photoshop、Substance 3D Painter、V-Ray です。ZBrush と Maya は私のプロジェクトの基盤であり、常にお互いを補い合うものです。今後も、最新の状態を保ち、パイプラインとワークフローを改善するため、さらに多くのソフトウェアを学ぶつもりです。
「Kayen」:Patri Balanovsky のコンセプトアートを基にした個人作品(オリジナルデザイン:Kamila Trzeciak)
Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください。何かヒントはありますか?
ポートフォリオを更新し続けることは大きな課題であり、多くの意志力と献身が必要になります。最大の敵は「先延ばし」と「失敗の恐怖」でしたが、最近は、進歩し向上するためには、恐れている場合ではないと思うようになりました。
私のモチベーションは「常にベストを尽くし、挑戦するたびに 自分の作品が進歩していくのを見ること」です。作品ごとに進歩が見られるのは、素晴らしい感覚です。ポートフォリオをアップデートする秘訣は、たくさん勉強すること、どんなことがあっても先延ばしを避けること、そしてプロジェクトを楽しみながら制作することです!
「Elize」:Ana Viana のコンセプトアートを基にした個人作品(オリジナルデザイン:Nacho)
「Alister」:David Ardinaryas Lojaya のコンセプトアートに基にした個人作品
Q. 芸術的な目標はありますか?
芸術的な目標は「自分のスタイルをもっと学び、向上させていくこと」「大作映画プロジェクトに携わる機会を得て、素晴らしいストーリーを持つ印象的なキャラクターたちに生命を吹き込み、認められること」です。そして、才能豊かな業界のプロと仕事をする機会を得て、そこから多くを学びたいですね。
「Belle」(オリジナルアート:boissb)
Q. 近年の作品についてお聞かせください
最近は短編映画の制作に携わっていますが、クライアントへの配慮から、その詳細はお伝えできません。しかし、それと並行して映画『ホビット』3部作に登場するキャラクターのファンアートを制作しています。「Django」と同様に、私自身のスタイライズしたカートゥーンスタイルとオリジナルのキャラクター要素を融合させています。
>> Stefanie Zirkus 氏 の最新作は こちら から
編集部からのおすすめ:世界のプロに学ぶ仕事術、上達法、セルフプロモーション、キャリアアップのヒント。書籍『コンセプトアーティストになるために知っておきたいこと』