【インタビュー】組み合わせて 新しい生き物をつくる:3Dアーティスト Angel Rapu 氏
南米ボリビアの 3Dアーティスト Angel Rapu(アンヘル・ラプ)は、エンジニアとしてのキャリアに進む直前で方向転換、アートの道へ進むことを決意しました。その決断は間違いではありませんでした! 彼のユニークなキャラクターたちをチェックしてみましょう
はじめに
こんにちは! ボリビア出身のグラフィックデザイナー/3Dアーティスト Angel Rapu です。現在、さまざまなプロジェクトでフリーランスアーティストとして働いています。
学生の頃には、今のような仕事をしているなんて、想像していませんでした。大学へ入学する前からエンジニアになるための準備をしていましたが、最終的に、よりクリエイティブな進路を選んだことで、すべてが一変しました。デザインの道に進み、とても特別なものを発見したのです。それが「3Dの世界」でした。その日から この素晴らしい職業を学ぶために全力を尽くし、練習を重ね、多くのテクニックを体得しました。現在は、キャラクター制作と3Dイラストレーションの分野で腕を磨いています。
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Q.「ARMONY」の制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?
「ARMONY」は、ネズミとリスとライオンの尻尾を混ぜあわせたようなクリーチャーで、キャラクターシリーズの一部です。このアイデアは、異なる種を組み合わせて新しい生き物を作り出すという試みから生まれました。かわいらしく、愛らしく、親しみやすく、そして喜びを感じさせるような生き物を目指しました。
制作では、まずスケッチブックで描いて、ZBrush でモデリングを開始。リトポロジーは 3DCoat で行いました。このソフトは簡略化されたメッシュを作成するプロセスにとても適したソフトウェアです。UVマップは Unfold、テクスチャは Substance 3D Painter、ポーズは Blender、コンポジションは Cinema 4D、レンダリングには Redshift を使用。最後の仕上げは Photoshop で行いました。
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Q.「ARMONY」の制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?
キャラクターを作るたびに、新しいツールを試すようにしています。今回のキャラクターでは、Redshift レンダリングエンジンを使ってみました。ライト、マテリアル、レンダリング設定の処理が速く、リアルタイムで結果を確認できるところが素晴らしかったです。スキンマテリアルは、サブサーフェス スキャタリングを使って作成しています。最終的な仕上がりを見て、とても気に入りました。
また、髪の毛には Cinema 4D のベータ版 Ornatrix を使いました。髪の扱い方、配分、毛束感を出せるコーミング、さらにマテリアルと組み合わせて髪に艶を出すことでリアリズムが得られる点などにとても驚かされました。このキャラクター制作プロセスと結果にとても満足しています。
ARMONY
Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?
プロジェクトでは、複数のソフトを組み合わせて使っています。それぞれのソフトが作品を豊かにしてくれるので、期待どおりの結果が得られています。大学で最初に学んだ 3Dソフトは Blender でした。それ以降も、さまざまなソフトも学び、ワークフローに取り入れています。
1つのソフトだけで すべてをこなすこともできますが、複数のソフトを試すことで はるかに多くのことを学べます。そして、各ソフトにはプロ向けの特別な機能が備わっており、それぞれ得意分野が異なります。大規模な映画産業や大手スタジオでは、多くの人々が別の分野で働いており、複数のソフトが使用されています。そのため、私もこれらのプロセスを探求するために、さまざまなツールを学ぶことに興味があるのです。
Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあれば おしえてください
クリエイティブな人脈や SNS でプロジェクトを共有し、チャレンジやコンテスト、フェスティバルに参加するようにしています。個人作品であれ商業作品であれ、プロジェクトで優先しているのは、自分のできることを世の中に示すことです。
私からのアドバイスとしては「恐れずに自分の作品を見せること」です。3Dに限らず、イラストやデザインなどクリエイティブな分野で仕事を始める人の多くは、批判や拒絶を恐れて、自分の作品を見せることを躊躇しています。それは制作への不安や疑念を生み出し、残念なことに、やる気や情熱の喪失につながります。最初から傑作を生み出す人はおらず、常に試行錯誤の連続です。お気に入りのアーティストの初期の作品を見ると、彼らも最初は素人だったことに気づくでしょう。その違いは、意志と時間と努力と学習、そして今の自分ができることを成し遂げようという情熱を持って、プロになる決心をしたかどうかです。
TYPE a: CREATURES OF IMAGINATION
TYPE c: CREATURES OF IMAGINATION
Q. SNS を使っていますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?
3dtotal、Behance、Instagram、ArtStation、Facebook をチェックしています。お気に入りのアーティストがシェアした新作だけでなく、コースやチュートリアルなどの新しいコンテンツ、そしてチャレンジをレビューするために、常に開いています。
また、以下の Facebookグループにも参加しています:Artistas CG & VFX / Comunidad、Ten Thousand Hours、cinema 4d castellano、Pixologic ZBrushなど。ハッシュタグは #3D #CHARACTERDESIGN #ILLUSTRATION #CARTOON #ZBRUH #C4D #DIGITAL3D
TYPE g: CREATURES OF IMAGINATION
TYPE i: CREATURES OF IMAGINATION
Q. 芸術的な目標はありますか?
最大の目標は、3Dに特化した自前のスタジオを作り、多くの専門分野を設けて素晴らしいプロジェクトを創造・開発することです。また、世界中のフェスティバルや大会、クリエイティブなイベントに足を運び続け、多くのアーティストと出会い、その活力を自国にもたらすことです。勉強してハイレベルなフェスティバルを開催し、著名なアーティストを招いて、多くの人に3Dの世界の一員になってもらいたいのです。
A SAD FROG(コンセプト制作:tooshiit)
Pandiyú(12秒)
Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください
尊敬するアーティストやその作品は数多くあり、彼らの新しいプロジェクトを心待ちにしています。以下に挙げるアーティストのコースやチュートリアルを見たり、作品からインスピレーションを得たりしています。Zigor Samaniego、Grand Chamaco、Matias Zadicoff、Pedro Conti、Gabriel Soares、Shane Olson、Giulia Marchetti、Yan Blanco、Joao Victor Ferreira、Guzz Soares
Q. 近年の作品についてお聞かせください
現在も、キャラクターを作成し完成させる過程を学んでいます。他のアーティストのコンセプトアートを使うだけでなく、アイデアからスケッチ、2Dイラスト、最終的な3Dレンダリングまで、全プロセスを自分で行なっています。また、自分の制作プロセスを共有し、コースやチュートリアルを立ち上げたり、多くのチャレンジやコンテストに参加したりすることも計画しています。なぜなら、自分が学んでいることを常に試したいからです。
編集部からのおすすめ: 色、構図.. アートのセオリーを学ぶ/再発見するには、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』そして、『続 デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』をおすすめします。