Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?

スカルプトには ZBrush、キャラクターのテクスチャリングには MARI を使い、ハードサーフェスのオブジェクトには Substance 3D Painter を使うこともあります。シェーディングとレンダリングに関しては、クライアントと会社に応じて使い分けます。3ds Max や Maya で V-Ray、Redshift、Arnold を使うことが多いです。

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください?

毎年、年末にデモリールを更新しています。自分のキャラクターが登場するすべてのショットを集め、ベストなものを選んで1分にまとめます。キャラクターアーティストとしてTV番組に携わっていると、キャラクターを完成させてから1年経つまで作品を発表できない可能性があります。年間を通じて、十数体のキャラクターを制作することもあるので、自分のキャラクターがスクリーンに登場したシーズンやエピソードを書き留めておくとよいでしょう。そうすれば、会社から作品使用の許可が出たときに、取りこぼすことなく簡単に集められます。

アーティストとして成功したいなら、仕事以外の時間を個人プロジェクトやアート制作に費やすことも忘れないでください。

「Realistic Horse」のビューティーパス／クレイレンダー

Q. SNS を使っていますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?

Instagram でフォローしているハッシュタグのいくつかは、そのときに取り組んでいるプロジェクトに関連するものです。オオカミに取り組んでいるときは、オオカミをさまざまな角度から撮影しているアカウントをフォローしました。馬のルックデヴを始めたときは、馬の動きやポーズばかりでした。このように、Instagram はインスピレーションを与えてくれます。

Facebook を見るときは、「Ten Thousand Hours」や ZBrush をチェックします。普段は ZBrushcentral や Artstation をチェックし、最新のトレンドも把握するようにしています。3Dの世界へ飛び込んで以来、3dtotal、CGsociety は、定期的にチェックするウェブサイトのリストに入っていました。

タイタンズのアコライト

ハンニバル

Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください

かつてイタリアに数年ほど住んでいました。そこで歴史的に有名な巨匠の作品を目にする機会があり、中でも ベルニーニ の彫刻に最も惹かれました。彼のディテールへのこだわりはもちろん、テクスチャの違いだけで、大理石にさまざまなマテリアルを表す手法には驚かされます。現代の彫刻家では、リチャード・マクドナルド の作品が好きですね。彼らは、人間の魂と生命を作品で表現しています。

デジタルアーティストの中では、Wei Wang の作品が好きです。彼は、私にとって 色彩とストーリーテリングの神様であり、たったの1～2色で、コントラストの高いイメージを表しています。彼の作品や『World of Warcraft』（ワールド オブ ウォークラフト）に使われている色彩は、何年もの間、大きなインスピレーションの源になっています。

Q. 近年の作品についてお聞かせください

某有名俳優のカリカチュアのスカルプトを仕上げています。モデルはほぼ完成しているので、テクスチャリング、シェーディング、ライティングを進める予定です。それを終えたら、ブレンドシェイプを使ったリアルなポートレート制作に戻るでしょう。動物やモンスターをゼロから作り、ルックデヴに集中し、グルーミングもこなした年もありました。有名人のリアルなポートレートを作る1年になることもあります。

編集部からのおすすめ：TV、映画、映像制作における特殊効果について学ぶには、書籍『映像制作のためのVFX教科書』をおすすめします。