【インタビュー】数々のTVドラマを制作:3Dキャラクターアーティスト Ali Daneshgar氏

幅広いTV番組制作に携わってきた 3Dキャラクター アーティスト Ali Daneshgar氏 のこれまでの道のりと制作に役立つヒントをご覧ください


Ali Daneshgar
3Dキャラクターアーティスト|米国


『ウォーキング・デッド 』から『SUPERGIRL/スーパーガール』まで、幅広いTV番組制作に携わってきた リード3Dキャラクター アーティスト Ali Daneshgar氏 のこれまでの道のりと制作に役立つヒントをご覧ください

Q. 自己紹介をお願いします

Ali Daneshgar です。イラン出身で、今はロサンゼルスのハリウッドヒルズに住んでいます。シニア 3Dキャラクターアーティストとして、現在、プロジェクトのリードをしています。『ウォーキング・デッド』『Titans/タイタンズ』『ブラックライトニング』『フラッシュ』『SUPERGIRL/スーパーガール』など、これまでさまざまなTV番組でキャラクターアーティストとして働いてきました。

趣味で 3ds Max 2.5 を学び始めたのは 1998年、まだ13歳の頃でした。当時は、3ds Max を学ぶためのリソースがあまりなく、手に入るドキュメントといえば、チュートリアルもあった 3ds Max のリファレンスファイルだけでした。ネットで有名なチュートリアルの1つに 「Joan D'Arc on 3dtotal」があります。そのおかげで、私は 3ds Max を理解することができました。

その後、フリーランス 3Dアーティストとしてインテリア デザイン会社でキャリアをスタートしました。しかし数年後、3D建築ビジュアライゼーションは私の求めているものではないと気づきました(いつのまにか繰り返しの作業になっていました)。そこで、ZBrush を学ぶために自分を奮い立たせ、その傍らで解剖学の本を読み始めました。アメリカに移住後、キャラクターアーティストとしてのキャリアをスタートし、それ以来、さまざまなTV番組で仕事をしています。

「Flying Crocodile」のビューティーパス/クレイレンダー

「Rearing Horse」のクローズアップ

Q. 制作ワークフローをおしえてください。「Flying Crocodile」のアイデアはどこから得ましたか?

Chris Ayers『The Daily Zoo』という画集を購入し、一晩おきに新しい ZBrush スケッチを描こうと思いました。仕事で、日常的に俳優のデジタルツインを作っているので、それ以外に何か楽しいものをスカルプトしてみたかったのです。その絵の1つ「Munchasaurus Rex」のスカルプト制作を始めると、キャラクター、表情、言葉なしで語られるストーリーに夢中になり、それは簡単なスケッチから完全なプロジェクトへと発展しました。

 

★Chris Ayers and his amazing sketchbooks(1分47秒)

この作品では、スカルプトもテクスチャリングも主に ZBrush を使っています。[シンメトリ]モードでスカルプトを完成させたら、それをリトポロジしてディテールを加え、ポーズをとります。ルックデヴには 3ds Max と Redshift を使いました。普段好んで使っているトリックの1つは、3ds Max の[マテリアルエディタ] の出力ノードを利用することです。そうすれば、ZBrush や MARI に戻ることなく、3ds Max 内でテクスチャの調整やカラー補正できるようになります。(※チュートリアル「構図やナラティブを意識して:ディズニー風ドラゴン「Flying Crocodile」のメイキング」参照)

 

「Rearing Horse」

「Realistic Wolf」

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?

主な課題の1つは、コンセプトに合わせつつ、どの角度から見ても見栄えのするようにスカルプトを保つことでした。もし1枚の静止画レンダリングにしたいのであれば、コンセプトの構図に合うようにハックしたでしょう。しかし、それは、私が目指しているものではありません。

通常、2Dコンセプトをデジタルスカルプトに変換する場合、ディテールをより明確にします。さもないと、レンダリングは退屈に見え、コンセプトをうまく表せなくなります。今回は、特別な方法でウロコを設定しました。お腹が膨らんで見えるように、ウロコの流れで形を表す必要があったため、テクスチャをそのまま投影するだけではうまくいきません。私はテクスチャをアルファとして使いましたが、お腹の部分は手作業で描いています。これは面倒な作業でしたが、その甲斐はあったと思います。

最後に、ムードライティングはスカルプトモデルと同じくらい重要です。モデルを面白く見せるための素晴らしいトリックを教えてくれた ライティングアーティストの友人 James Guard に感謝します。

スーパーガールのガーディアン – 01

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