【インタビュー】スタイライズされたキャラクターデザイン。3Dアーティスト Dmitry Cheremisin氏

ウクライナの 3Dアーティスト Dmitry Cheremisin 氏 が その素晴らしい作品、インスピレーション、そして、制作のヒントを共有します


Dmitry Cheremisin
3Dアーティスト |ウクライナ


丁寧に作り込まれ、スタイライズ(様式化)されたキャラクターデザインで有名な 3Dアーティスト Dmitry Cheremisin氏。現在は フリーランスとして活動していますが、Blizzardfest の審査員、NODE Forum for Digital Arts のスピーカーなども行っています

Q.自己紹介をお願いします

皆さん、こんにちは! 私は Dmitry Cheremisin。ウクライナのキエフに住んでいます。ゲーム業界に7年間勤務、現在はフリーランサーとして働き、空いた時間に個人プロジェクトに取り組んでいます。

Q.どのような芸術教育を受けてきましたか? また、どうやって 3Dを学びましたか?

建築の教育を受けました。しかし、コンピュータグラフィックスやビデオゲームに魅了され、プロになる前から、趣味として、独学で 3Dを勉強しました。

 

Dmitry氏の作品(コンセプトアーティスト Serge Birault氏 の Facebookコンテストへの寄稿)

Q.創造的なインスピレーションは 誰(何)から受けていますか?

だいたい、ビデオゲームやアニメから新しいプロジェクトのインスピレーションを受けています。明るくカラフルで、記憶に残るようなキャラクターが好みです。それらは、私を夢中にさせてくれます。個人プロジェクトの制作の際は、キャラクターが同じ品質になるように心がけます。これは、私にとって本当に大事なことです。キャラクターの個性を伝え、アクセントとなるディテールを作り込み、人々の注意がそこへ向くようにします。最終イメージの基準をいくつか設定して、それらを満たせるように取り組んでいます。

Q.3Dワークフローで使用するソフト&ツールについて教えてください

主要な作業ツールは 3ds MaxZBrushPhotoshop です。レンダリングには V-Ray を好んで使っています。タスクに応じて、これらを臨機応変に拡張しています。たとえば、MARI でテクスチャリングを行い、Headus UVLayout で UV を作成します。Marvelous Designer は、リアルなクロスシミュレーションを行える素晴らしいプログラムです。通常、テクスチャベイクには xNormal を使用し、最後に NUKE で合成します。

Dmitry氏 は このモデルを空き時間で手早く作成しました

Q.スキンやヘアを上手く作るのは大変ですが、その両方で、あなたは素晴らしい仕事をしています。これらに苦労しているアーティストへのアドバイスはありますか?

成功の鍵は「リファレンス」です。複雑なタスク(たとえば、スキンシェーダ)を より単純なコンポーネントに分け、個別に進めます。ヘアも同じ手順です(ヘアを複数のストランドに分け、それぞれで作業)。このアプローチで、迅速 かつ 効率的に作業を進められるでしょう。

 

美しい女エルフ(※日本語によるメイキング → こちら へ)

Q.フリーランスのメリットとデメリットは何ですか?

メリットは「選択の自由がある」こと。デメリットは「チームでない」ことでしょう。生のコミュニケーション や 経験の交換 は、クリエイティブでプロフェッショナルな成長にとって 重要な要素でしょう。

Q.これまでの最大の成果は何ですか?

「人生でやりたいこと、時間をかけたいこと」を見つけることができました。没頭できることを見つけて、そこへ向かって努力することが、最も重要だと思います。

Q.現在、制作しているものは何ですか?

日々、新しいプロジェクトに取り組んでいます。Substance DesignerSubstance Painter など、使ったことのないソフトを学びたいと思っています。目標は、ゲーム開発技術(例えば Unreal Engine)で、驚異的なキャラクターを創造することです。無事に完成できることを願っています。

Q.余暇は何をして過ごしたいですか?

ゲーム業界の新技術に注目しています。新製品を知っておくことは重要です。時間に余裕があれば、ゲームもしたいですね。仕事でも、新技術を使って 品質を向上させたいので、チュートリアルや新しいプログラムの勉強に多くの時間をつかっています。

Dmitry氏の初期の個人プロジェクトの1つ

ヒント1:リファレンス画像の研究

下の図は、引き伸ばした写真に Photoshop の[ハイパス]フィルターを追加して、簡単な調整を加えたものです。これにより、毛穴としわの構造が明確になり、ずっと多くの情報が見れるようになります。これは スカルプト用のステンシルとして、また、カスタムブラシのベースとしても使用できます。一見、何の変哲もないリファレンス画像でも、より多くの情報を見つけることができるでしょう。

ヒント2:複雑なものを単純な要素に分ける

スキンシェーダ作成のためのテクニックです。スキンシェーダは複雑なので、いくつかの、より単純なコンポーネントに分けて、個別処理すると良いでしょう。ご覧のように、1つの要素(サブサーフェス スキャタリング)から始め、ステップごとに、他の要素(鏡面反射、シングル スキャタリング)を追加して、複雑なシェーダを作成していきます。この方法は、すべてを1度にセットアップするよりも簡単でしょう。

編集部のおすすめ

このインタビューでも紹介している Dmitry氏の 美しい女エルフのメイキングも ぜひ ご覧ください。

▼日本語チュートリアル「リアルな質感、ファンタジーキャラクターに生命を吹き込む方法」https://3dtotal.jp/tutorials/2981/

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp