【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード81:ティニアン島の奇跡
ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!
エピソード81:ティニアン島の奇跡
片桐さんの初監督 長編映画『ゲヘナ ~死の生ける場所~ (Gehenna Where Death Lives)』(7/30~8/5 渋谷ユーロライブで公開)の撮影で訪れたティニアン島。そこで 起こった「奇跡」とは!?(※ エピソード80:ティニアン島 -ツワモノどもが夢のあと の続き)
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サイパン島の隣、ティニアン島での撮影の前日、撮影監督とカメラアシスタント、そして、私の3人で「どのホラー映画の映像がいいか?」という話をしました。
撮影監督とアシスタントの意見は一致しており、2人とも『悪魔のいけにえ』(原題:The Texas Chain Saw Massacre)の映像は凄いと答えました。
その映像の撮影監督は Daniel Pearl(ダニエル・パール)といって、映画だけでなく、ミュージックビデオとか めちゃくちゃかっこいい映像を撮る人として、撮影監督としては「神的な存在」なのだそうです。
ちなみに、以前、私が仕事をした映画『AVP2 エイリアンズVS.プレデター (Aliens vs. Predator: Requiem)』(※ エピソード16:エイリアン vs プレデター vs アバター!? 参照)も、彼が撮影をしています。この時、私は「ヘェ~、そうなんだ」と軽く思っていた程度だったのですが...。
ところで、撮影をしたホテルで「サイパンの寿司」(Sushi)を見つけました。
サイパンの寿司(Sushi)!?
この Sushi を頬張り、そんな話をしながら、ティニアン島での撮影当日を迎えました。ラテストーンのある場所で撮影をして、その後に、カメラクルー数人だけで、Bロール(※使うかどうかわからないけど絵的にいいから撮影)のため、日本軍の指令基地に向かいました。
指令基地の外観
奥にあるのはトイレの穴らしいです
カメラをセットして撮影をしていると 1台の車が近づいてきました。建物の横に車が停まると、中からアメリカ人らしきおっちゃんが降りてきて、私たちの方に近づいてきます。
おっちゃんが「何を撮影してるんだい?」と話しかけてきたので「ホラー映画を撮っている」と伝えました。すると 彼は「俺もホラー映画は随分撮影したよ」というではありませんか。
どうやら、映画関係の人のようです。
そして「何を撮影したの?」と聞いたところ、「The Texas Chain Saw Massacre(悪魔の生けにえ)とか..」と答えたのです。
一瞬の間がありました。
その直後、「Shiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiit!!!!!(shit!)」とカメラ助手が、悲鳴に似た叫び声をあげました。
そうなのです! そこに現れたのは、何と、私たちが昨日話題にしていた「ホラー映画の撮影の神」ダニエル・パール 本人だったのです!! こんなことがあっていいのでしょうか? その場所に私たちがいたのは、ほんの40分ほど。そして、ダニエルは、生まれて初めて このティニアン島に来たというのです。
ダニエルが言うには「バケーションになって、どこに行こうかと考えたら、かつて、父親が日本軍と戦った場所を一度見てみたくなった。そして、来てみたら、バケーションだというのに見覚えのあるカメラで撮影している連中がいて、一瞬、誰かのドッキリかと思って、おもわず話しかけた」のだというのです。一体、どれほどの奇跡の重なりで、私たちは出会ったのでしょうか??
真ん中の白い Tシャツの人が ダニエルです
その場で、ホラー映画の撮影の神に会えたことに、信じられない奇跡、運命を感じた出来事でした。さて、その後、Sushi を食べようと、あの店に行ったところ、どうやら、奴らは「寿司がどういうものか」を学んだようでした。
サイパンの寿司(改)!?
そんな数奇な運命の映画『ゲヘナ~死の生ける場所~』は 7月30日から1週間、渋谷ユーロライブで上映です! 面白いゲストもたくさん来ますよ!(※詳細・申込みは こちら)
▼『ゲヘナ』メイキング&裏話(GEHENNA ~その軌跡)
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