コンセプトアート『Ghost ship -幽霊船』のメイキング

日本のコンセプト / 建築CGアーティスト 石川 智也 氏が、雰囲気のある作品『Ghost ship -幽霊船』の制作フローと思考プロセスを解説します(Photoshop 使用)


Ishikawa Tomoya / 石川 智也
コンセプト / 建築CGアーティスト

日本における私の仕事は建築パースの作成です。仕事から離れ、自由なパースを描きたいと思っていたので、この作品『Ghost ship -幽霊船』を作成しました。

私のコンセプトアートは、いつも頭の中にラフなイメージを構築することから始まります。紙は使いません。これが自分のビジュアルを構築するための基礎となるので、ペイントを素早く効率的に行えるようになります。私は毎日、3dtotal のウェブサイトを訪れ、さまざまなアーティストの作品を見ることでアイデアのインスピレーションを得ています。

ステップ 01:アイデアをペイント

先に述べたように、頭の中に大まかなアイデアがあれば、すぐに描き始めることができます。最終的な絵は海岸に現れた幽霊船です。その姿は月明かりによって暗闇の中で輝いていることでしょう。それでは、まず、全体のパースと暗い雰囲気を決めていきましょう。

全体のパースと暗い雰囲気を決めていきましょう

ステップ 02:リファレンス写真とライティング

次に、各パートを追加していきます。私は、3dtotal の Texture & References Image Library (テクスチャ&リファレンス画像ライブラリ)や textures.com から作品に適した画像を集めました。月明かりや海面からのディフューズ(拡散反射)を考慮して、船の端や表面に見えるハイライトのディテールを追加します。

船の端や表面に見えるハイライトのディテールを追加します

ステップ 03:雰囲気

船と岩の間に霧を加え、独特な雰囲気をシーンに作り出します。この時点で、パースに物足りなさを感じたので、前景に岩を追加しました。

船と岩の間に霧を加え、独特な雰囲気をシーンに作り出します

パースに物足りなさを感じたので、前景に岩を追加しました

ステップ 04:バランス調整

作品がまとまってきたらシーン全体の彩度を下げます。これにより、シェーディングのバランスを確認できます。私は以下の3つのことに気づきました。

1. 船と岩が近すぎる。船と岩のバランスがとれていない
2. 両側にある岩の月明かりが不十分で、形状を認識できない
3. 前景の影が少なく平坦なので、シーンに十分な奥行きが出ていない

3つのことに気づきました

ステップ 05:仕上げのハイライトを追加

上記の点を改善するため、船を動かし、突き出ている岩を小さくし、船と岩の間に空間を作りました。続けて、月明かりの向きを考え、オブジェクトにハイライトを追加。海面からの反射によるハイライトを岩に加えました。

ハイライトを前景オブジェクトの反対(下)方向に追加すると、それらがより際立ち、奥行きが加わります。月明かりによって船上に表れる強いハイライトが、幽霊船をメインオブジェクトとして際立たせます。

月明かりの向きを考え、オブジェクトにハイライトを追加

完成イメージ

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp