スピードペインティング「エイリアンの熱気球」A

「エイリアンの熱気球」というトピックで、今回は、英国のアートディレクター Emrah Elmasli氏 が スピードペインティングを過程を紹介します


Emrah Elmasli
アートディレクター | 英国

>> 米国のコンセプトアーティスト Nathaniel West氏 の「エイリアンの熱気球」B

はじめに

3dtotalチームから この「エイリアンの熱気球」というトピックについて聞かされたとき、既に頭の中にはペイントするシーンが描かれていました。このため、このチュートリアルには気楽な気持ちで臨めます。ペイントを始めるには、最初にいくつかのサムネイルスケッチを作成するだけで十分です。

ステップ 01

このペイント作業は、90分で完成させたいと考えています。もしかしたらそれより早く仕上がるかもしれませんが、それ以上はかけないつもりです。90分が目標です。「スピードペインティング(早描き)」を始める前に、自分で制限時間を決めておくことをお勧めします。これで、作品を細かく描きすぎて時間を無駄使いすることがなくなります。

作業全体は、Photoshop で行います。まず、2200×1200ピクセルのカンバスを新規作成してから、新しいレイヤーを作成します。これからペイントするのはエイリアンの世界ですが、地球とあまりかけ離れた様子にはしたくありません。ほんの少し違っている程度で良いでしょう。まず最初にすることは、色を決めることです。緑色と黄色がよさそうです。

それでは、大まかに描いてみましょう。私は、ざっと色を付けるときには、いつも大きなテクスチャ付きのブラシを使っているので、今回もいつもと同じようにします。黄色と、緑色、灰色を使って、背景と前景を手早く作っていきます。シーンには、2つの光源が欲しいので、エイリアン世界の緑色の空に太陽を2つ配置しました。このステップ の作業はこれでおしまいです(図01)。次は、ディテールを加えていきましょう。

図01

ステップ 02

新規レイヤーを作成して、描画モードを[覆い焼きカラー]に設定します。ソフト円ブラシを選択し、彩度の高い暗いオレンジ色を使って、2つの太陽を光らせます。これで欲しかったソフトな雰囲気が出せました。

さて、ここからはディテールを描き足していきます。背景の水のエフェクトの描画には[テクスチャ]と[散布]を設定したブラシを、前景にある岩のような感触の描画にはハードブラシをそれぞれ数本ずつ使っていきます(図02)。

図02

ステップ 03

このステップでは、自作のカスタムブラシを使ってディテールをどんどん追加していきます。絵にコントラストも欲しいので、[トーンカーブ]調整レイヤーを作成し、カーブを変更してコントラストを付けます。ペイントするとき、私はこの方法をよく使います(いつも最初は明るい色を使っておいてから、後で暗くします)。

[カラーバランス]調整レイヤーを新しく作成して、色も少し変更します。影に青味を加えることで、絵に使われている色数が豊富になりました(図03)。

図03

ステップ 04

皆さん「気球はどこ?」と思われるでしょう? そうです。いよいよ気球を登場させる時がきました。まず、ハードブラシを使ってエイリアンの気球のペイントをはじめます。気球にはイカのような脚を付けて、中から発光しているようにするつもりです。何か発光させたい場合は、新規レイヤーを作成して[覆い焼きカラー]または[覆い焼き(リニア)]に設定してから、濃くて彩度の高い色でペイントするということを覚えておいてください。さて、これでエイリアンの気球が浮いて光彩(グロー)を放っています(図04)。

図04

Step 05:仕上げ

最後に、もう少しディテールを追加し、もう一度[トーンカーブ]を使ってコントラストを上げます。さらに仕上げの最後として、赤い杖を持った 2人の人影をシーンにペイントしました(図05)。この2人もエイリアンだと思いますが、私はあまり気に留めていません。なぜなら、これでスピードペインティングが完了の時間だからです。ちょうど90分です!

 

図05

※このチュートリアルは、書籍『Digital Painting Techniques 日本語版』に収録されています (※書籍化のため一部変更あり)。

 


編集部からのおすすめ: フォトバッシュやブラシのテクニックで 素早く絵を仕上げる技法、スピードペインティングを学ぶには 書籍『スピードペインティングの極意』を、Photoshop を使ってペイントする方法を学ぶには 書籍『Photoshop デジタルペイントの秘訣』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp