Maya、ZBrush 使用、「海賊の男」のメイキング

06 プロップのモデリング

プロップの作り方は、ボディと同じです。まず、ZBrush の[ウィンドウ透明度]機能と写真を使って、モデルをブロックアウトします。次に、ZBrush や Maya でそのプロップにさらにディテールを加えます。

銃の場合、[Drag Rect]でオーナメント(装飾)パターンを描き、それをマスクに変換して[変形]パネルの[膨張]で膨らませます。こうすれば、パターンを同じ厚みに保つことができ、さらにいつでも同じマスクを生成できます。スカルプトが完成したら、そのメッシュを Maya に読み込み、銃がホルスターや手に自然に収まるかどうか確かめます。

アルファを使って、銃にオーナメント(装飾)の形を作る

07 リトポロジとUV

Maya や Topogun で、よりクリーンなメッシュトポロジを作成します。ボディの場合、ZBrush から Maya にデシメーションメッシュを読み込み、[四角ポリゴン描画]でリトポロジを行いました。最初に大きな四角形を描いて、あとでエッジループを追加すると早いでしょう。

ボディや衣装をリトポするときは、アニメーションを考慮してください。一般的に、肘や膝・首・目など動きの多いところでは、より多くのエッジループが必要です。また、キャラクターのシルエットは、最終的なポリゴン数を決めるのに最も重要な指標になります。布のシワのようにシルエットが複雑な場合は、ジオメトリを増やしましょう。

[四角ポリゴン描画]でデシメートされたライブメッシュ

08 髪の毛

私は通常、Maya の XGen や Ornatrix を使い、髪のテクスチャをヘアカード(板ポリ)にベイクし、大きな毛束から小さな毛束へと進めます。頭皮のテクスチャの色を髪に合わせると、髪と肌のコントラストが目立たなくなるでしょう。ボリュームを出すため、各ヘアカードを少しねじって、薄い端部分が見えないように配置しました。髪の毛やファーがシャープすぎてカードとバレたり、頭皮が見えたりする場合は、上から X字型になるようにカードを交差させて配置してください。動物の尾や頭蓋骨の装飾など、ファーのあるプロップにも同じ手法を使用します。

ヘアカードを顔とアセットに配置する

09 テクスチャ

プロップは Substance 3D Painter、肌は MARI で作業します。そして、Texture XYZ のテクスチャを使って、カラーマップと法線マップを投影しました。

グロスマップは、カラーマップを複製してグレースケールにし、肌に見えるまで明るさを調整します(額や鼻などのパーツは、汗や皮脂でつやつやしています)。プロップのテクスチャリングでは、PBR value chart を使って、適切な PBR値を得ました。このように 正しい PBR値から始めると、リアルなルックを表現しやすくなります。

海賊の男のテクスチャ

10 ポーズ

ポーズにもフォトリファレンスを使用します。私は、アクションポーズのリファレンスとして、映画もよく参考にします。ポージングには ZBrush の[トランスポーズマスター]で行い、アセットと衣装の交差する部分を修正。そこからさらにシワや肌のディテールをスカルプトしていきます。衣装や体型は動きによって大きく変わるので、似たようなポーズのリファレンスを用意しておきましょう。このキャラクターの場合、年齢やポーズからして、指に多くの「ひだ」があるはずです。

ZBrush の[トランスポーズマスター]でポーズを変更

11 カラーコレクションとライティング

レンダリングには V-Ray を使用します。テクスチャの明度・彩度・コントラストを大きく調整し、すべてのプロップと衣装を馴染ませました。このとき、各プロップの摩耗も同等にしてください。カラーコレクションを簡単にするため、Nuke で V-Ray のマスキングと Maya の Hsvノードを使用しました。ライティング リファレンスがあると、アングルや光の色を決めるのに役立つでしょう。

ライティングとカラーコレクションのビフォーアフター

 

Male pirate(海賊の男)

 


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編集:3dtotal.jp