ZBrush、Substance Painter 使用、スモウレスラーの作成

ドイツの 3Dアーティスト Leonardo Penaranda氏 が「ストリートファイター」シリーズのキャラクター、エドモンド本田をモデルにしたファンアートの制作ワークフローを紹介します


Leonardo Penaranda
3Dアーティスト|ドイツ

はじめに

このプロジェクトは、Javier Burgos氏 のコンセプトスケッチを基にしました。スケッチを見てすぐに「3Dで試したい」と思いましたが、馴染みのない誇張されたプロポーションのキャラクターは、私にとって大きな挑戦となりました。このようにスタイライズされたキャラクターのモデリングは、形を単純化しつつ、十分なディテールとダイナミズムを維持しなければならないため大変です 。

ここでは、アーティストとして成長につながったクリエイティブな挑戦を簡単に分解し、私が試したステップや課題、そしてそれらにどう取り組んだかを紹介します。すべてのプロジェクトは成長のチャンスです。最終的に完璧なイメージを作るという目的は大事ですが、制作途中で学び、技術を向上させ、一歩ずつ自分を高めていくことも同じように大事です。

ラフモデル、完成モデル

最初に伝えておきたいのは「すべてのプロジェクトはラフな状態から始まる」ということです。インターネット上で才能豊かなアーティストの美しいイメージを見ると、それは完璧な状態から始まり、制作途中で苦労したり、新しい課題に直面したりすることはないと思いがちです。

しかし、すべてのイメージの背後には「多くの壁」があり、それを解決する「クリエイティブなプロセス」があることを私たちは忘れています。時には、あまりにも大きな挑戦に感じられ、プロジェクトを終わらせずに諦めることもあるでしょう。だからこそ、すべてのプロジェクトを「学んで向上できるチャンス」と捉えてください。大事なのは「最高を目指すこと」ではなく、「昨日の自分より良くなること」です。

01 コンセプトの分析

スカルプトを始める前にコンセプトを分析し、次のブロックアウト段階で役立つ形に分解します。このとき、単純な図形を 使えば、形の理解が深まり、プロポーションの変更を素早く行えるようになります。全体の形をシンプルに保ち、自分に最適な方法で単純化しましょう。私の場合、単純な図形で作業するだけでなく、中心線を見つけ、スケッチ上の表面の変化を理解するようにしています(形状に沿う矢印線で表します)。

Javier Burgos氏 のコンセプトスケッチ。単純な図形と中心線

02 キャラクターのブロックアウト

キャラクターのブロッキングを始めます。この作業は素早く行い、まだ、プロポーションにはこだわりません。私は、できるだけ早く姿形を視覚化して、頭の中でアイデアを明確に思い描いてからスカルプトを始めます。こうして、身体や姿のようなものが見えてくるとモチベーションが上がり、小さなディテールに悩まなくなります。最初は全体像を見る方がよいでしょう。ディテールは、きちんとしたブロック(塊)ができてからで問題ありません。

キャラクターをブロックアウトします

03 全体のモデリング

前のステップで見たようにベースの部分はできていますが、プロポーションがまだ整っていません。この達成には、多くの調整が必要です。まだ簡単に変更を加えられるので、できるだけプロポーションをコンセプトに近づけることが大事です。この作業を最後にやってしまうと、特にディテールの多いモデルを扱う場合には苦労するでしょう。ここでは、形を簡単に試して分けていき、納得したらマージします。

ボディのモデリングの流れ

04 頭部のモデリング

ボディと同じステップを、頭部にも実行します。重要なパーツなので、他の要素と同じくらい時間をかけてください。また、同僚にフィードバックを求めるのも有効です。そうすれば、あなたがしばらくプロジェクトに取り組んだあとに、気づかなかった改善点やミスを指摘してくれるでしょう。恐れずに聞けば、きっと助けになります。

頭部のモデリングの流れ