説得力あるキャラクターの描き方:髪の毛のペイント

07 暗い部分から明るい部分へ

髪をペイントするときは、暗い部分から明るい部分へ順番に作業することが重要です。暗いアンダートーンから始め、その上に毛束を重ねていきましょう(上述のヒントを参照)。大きなブラシで形状や大まかな陰影を描いていくと、すぐに毛束ごとにまとまっていくのが分かります(図08)。顎ひげはかなり乱雑なので、同じようにはいきませんが、基本的な考え方は一緒です。

最後に、非現実的で面白みのない髪型を避けるため、あちこちに髪の毛を描き足します。もっと面白くしたい場合は、ブラシの描画モードを[オーバーレイ]に設定、明るい色を選んで、強く光るハイライトをペイントしましょう。

図08:髪のペイントの段階的な分析

08 光をコントロールする

時々、一歩引いて全体像を見渡すことが大事です。最初に目に入ってくるのが1本1本の髪の毛であれば、おそらく何かが間違っているということです。

これを避けるためのコツは、大きなソフトブラシ、描画モードを[比較(明)]に設定、明るい色を選び、光の方を向いている毛束の部分をさっと塗ります。次に、描画モードを[比較(暗)]に切り替え、暗めの色で暗い領域に同じ作業を繰り返します。

こうすると、全体がよくまとまります。ただし、やり過ぎないように気をつけ、明度をコントロールしましょう。

図09:描画モードの[比較(明)]と[比較(暗)]を使用して、全体をまとめます

09 不完全さの中に完全さがある

完全な髪型というものはなく、流れから外れた髪の毛が必ず何本かあるものです。これは良いことです。こういった「反逆児」の髪の毛を再現すると、生き生きとして説得力が出てきます。

図10 の矢印を見ると、赤い矢印が髪の全体的な流れを示すのに対し、白い矢印は異なる道を進んでいることがわかります。これらの少ない髪の毛は他の毛と同じようにシェーディングされますが、動く方向が違うので目立ち、髪の見た目をさらに面白くします。

場合によっては、数本の髪の毛を一緒にして、1束か2束の大きな「反逆児」の毛束を作っても良いでしょう。


図10:流れから外れた髪の毛が何本かあった方が、髪型に説得力が出ます

10 髪の毛の生え際を移動する

この時点で、キャラクターの髪の毛の生え際が少しずれているように感じました。もう少しだけ若く見せたかったので、生え際を前に移動して、わずかに茶色を加えました。

生え際を前に移動するには、[なげなわツール]で選択して、[Ctrl]+[Shift]+[C]キーで結合部分をコピー、[Ctrl]+[V]キーでペーストします。これで生え際全体が新規レイヤーに移るので、矢印キーで前にずらします。最後は、ソフトブラシでその境界を消し、頭の他の部分に馴染むように、所々に新しい髪の毛をペイントするだけです。

ブラシの[オーバーレイ]描画モードでボリュームを出し、顎ひげをふっくらさせました。また、顔の左側を明るくし、肌と顎ひげの境目にラフな毛を何本か加えました。

大事なのは、直感に従い、しばらくの間イメージを寝かせてから、後で、また再開することです。コツコツ続ければ、あなたのキャラクターはいつでも街に繰り出すことができるでしょう。

図11:キャラクターを少し若く見せるため、生え際を前に移動、茶色を加えます

図12:最終イメージ

プロのヒント:リファレンスを使う!

「本物のアーティストにとって、リファレンスは必要か否か」という昔からの命題は不毛な議論です。昔から数多くのアーティストたちがリファレンスを使用して、素晴らしい成果を挙げています。使用するか否かが問題なのではありません(使用すべきです)。問題は、どのように使用するかです。

基本的には 2つの方法があります。1つめは、リファレンス(写真やオンプレネール/戸外制作)を探して、それをコピーすることです。学習には良い方法であり、それ自体が1つの芸術形式です。世界中のコンセプトアーティストたちが採用している2つめの方法では、正しいリソースから適切な情報を得て、ゼロから創造します。今回は髪のリファレンスを求めて、freetextures.3dtotal.com を閲覧しました(図13 の左)。

このリファレンスは絵とまったく異なるものの、多くの役立つ情報が含まれています。たとえば、髪の流れ方、短い髪の毛がハイライトされて突き出す様子、頭部の周りの髪の形状など。私はペイントしながら、こういった数多くの写真を参照して、それぞれから必要な要素を取り入れています。

図13:ペイントするときは、リファレンス写真を効果的に使用しましょう。多くの役立つ情報が含まれています

※本チュートリアルは、書籍『Photoshop で描くキャラクター』からの抜粋です

 


編集部からのおすすめ:人体を描く&造るテクニックの上達には、書籍『コンセプトアーティストのための人体ドローイング』、説得力のあるキャラクターをつくるには、書籍『Photoshopで描くキャラクター』をおすすめします

 


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp