【インタビュー】ポケモンの設定画に命を吹き込むクリーチャーズ アセット制作にとどまらない現状と未来とは

『ポケットモンスター』のポケモン3DCGアセット制作を一手に引き受けるクリーチャーズ。しかし、業務内容はそれだけにとどまらない。「ポケモンCGスタジオ」を新設し、人員増強を図る同社ならではの戦略と、スタジオでの働き方について聞いた

■求人情報
クリーチャーズでは現在下記職種を募集中です。
①モデリングアーティスト
②テクニカルアーティスト
③エフェクト/UIアーティスト
④アニメーションアーティスト
⑤背景アーティスト
⑥CGエンジニア

詳しくは www.creatures.co.jp/recruit をご覧ください。

世界で有数のポケモンに命を宿す会社

プラットフォームを超えて拡大を続ける『ポケットモンスター』シリーズ。今や携帯ゲーム機を飛び出して、据え置き型ゲーム機、スマートフォンアプリ、ブラウザゲーム、アーケードなど、様々なハードで展開されている。こうしたコンテンツのグラフィックス面で中核を担うのがクリーチャーズだ。原作権を保有するライセンサー3社のうちの1社で、ポケモンの 3DCG アセットの制作を一手に引き受けている。他社開発の関連ゲームでも、同社のリファレンスが使用されるしくみだ。また同社では、『ポケモンレンジャー』、『ポケパーク』シリーズや『名探偵ピカチュウ~新コンビ誕生~』など、自社開発も進めてきた。アナログゲームの『ポケモンカードゲーム』も同社の開発で、現在も社内の半数が制作に携わっている。このようにポケモンと共に成長を続けながら、デジタルからアナログ、ハイエンドCG からローエンドCG まで、様々な遊びを作り上げてきたクリーチャーズ。今後も世界中のファンに向けて、様々な体験を提供していくという。

氏家淳子氏(取締役/ポケモンCGスタジオ 部長/アートディレクター)

こうしたポケモンの広がりを受けて、社内に新設されたのがポケモンCGスタジオだ。取締役の氏家淳子氏は「スタジオ所属の 3DCG アーティストは 22名で、今後数年間かけて倍増させたい」と語る。リーダー職をはじめ、幅広い経験・職種で人材を募集中だ。アセットの外注化が世界規模で進む中、同社では一貫して内製を保ってきた。開発の進捗に合わせて派遣社員や出向社員を柔軟に受け入れ、ピーク時には 100名規模の開発体制が組まれたこともあるという。にもかかわらず、案件増加で嬉しい悲鳴を上げているのが現状だ。4K・8K映像時代をひかえ、さらなるリソースの増加も予測される。そこでポケモン専用のスタジオを設立。将来に向けてスタッフを増加し、基礎体力の強化に努めようというわけだ。もっともゲーム業界の変化は非常に早く、未来は常に不鮮明だ。氏家氏も「ポケモンに対する興味や知識の有無に限らず、ものづくり全般に興味がある人に来てほしいですね。デフォルメ的な表現が苦手でなければ、トゥーンレンダリングの未経験者でもかまいません」と語る。マネージャーの中廣健吾氏と畠 祐貴氏も「そこまでポケモンに対する深い知識はありませんでした」と明かしたほど。それよりも 3DCGアーティストとしての基礎的な素養や問題設定・解決能力などを注視したいという。

同社のもうひとつの特徴は安定したワークライフバランスだ。氏家氏は「徹夜作業がなくなって 15年になります」と語る。定時は 10時30分から 19時30分で、閑散期なら1時間前の退社も可能だ。休日出勤も極力減らし、産休・育休制度も利用できるので、女性が安定して働きやすい職場だという。世界最大級のゲーム見本市、E3の視察制度があるのも同社ならでは。ゲーム業界以外でも若手のプリレンダー経験者は歓迎だ。「内製でのムービー制作は体制が整い次第、挑戦したい業務のひとつ」だという。NINTENDO64 の『ポケモンスタジアム』で 3DCGアーティストのキャリアをスタートさせた氏家氏。仕事の醍醐味について尋ねると「合計で 1,000匹近くにもなるポケモンのそれぞれがユニークで、愛着が湧く存在であること」と即答した。プレイヤーの敵ではなく、共に戦ってくれる仲間であり、ゲームの真の主人公。そんなキャラクターの制作に携われる機会は、同社ならではというわけだ。まさに唯一無二の経験ができるCGスタジオだと言えるだろう。

2D の絵にリアリティを付与し自分なりの解釈で3D化

 

中廣健吾氏(デジタル開発本部/ポケモンCGスタジオ/モデリングチームマネージャー/シニアアーティスト)

8年前から業務委託でお世話になっていて、3年前に改めて社員になりました。当時はピカチュウを知っている程度でしたが、社内の雰囲気が良く、楽しげでしたので、そのまま働いています。現在はモデリングチームのマネージャーをしています。ポケモンCGスタジオの主な仕事はゲームフリーク様がデザインされたポケモン公式イラストを 3DCG化することです。もっとも 2D から 3D に変換する過程で、様々な情報を自分なりに補足する必要があります。実際、自分も「元の絵を立体にするだけなのかな」と思っていましたが、予想以上に自由に工夫できる部分が多く、驚きました。また、ポケモン自体は架空のキャラクターですが、3DCG化するにあたり、現実の動物の骨格や筋肉の付き方といった知識が求められます。そうしなければ、縫いぐるみや人形のようになってしまって、説得力が出ません。私は以前リアル系のゲームをつくっていたため、その知識や経験が活かせました。幅広い経歴の方に応募してほしいですね。

世界中で愛されるキャラに命を吹き込む仕事

 

畠 祐貴氏(デジタル開発本部/ポケモンCGスタジオ/モーションチームマネージャー/シニアアーティスト)

モーションチームのマネージャーをしています。新卒でゲーム業界に入って4社目。居心地の良い会社で、気がついたら 8年目になりました。われわれの仕事はポケモンを立体化して命を吹き込むことで、そのためにはモデリングとモーションの連携が必要です。新しいポケモンの設定が届くたびに、中廣とミーティングをする毎日ですね。技やギミックの設定から、どんな動きをするのか、そのためにはどんなリグが必要か、話し合いながら細部を詰め具現化していきます。ポケモンには様々な種類があり、それぞれが個性的ですから、作り手にもアイデアの引き出しの多さが求められます。そのためゲームに限らず、映画やアニメなど、いろいろなものに興味があると良いですね。ポケモンは戦う相手としても自分のパートナーとしても魅力的になるよう表現できたらと思っています。世界中で愛されるキャラクターの制作に携わりたいなら、最適な環境だと思います。

TEXT_小野憲史
PHOTO_弘田 充

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https://cgworld.jp/feature/201707-cgw227GG-pokemon.html

求人情報

クリーチャーズでは現在下記職種を募集中です。
①モデリングアーティスト
②テクニカルアーティスト
③エフェクト/UIアーティスト
④アニメーションアーティスト
⑤背景アーティスト
⑥CGエンジニア

◆雇用形態
正社員

◆待遇
[給与] 年収400~600万円 ※試用期間3ヶ月(給与は本採用時と同額支給)。経験・能力に応じ当社規定により優遇
[諸手当] 交通費支給、各種社会保険完備
<勤務時間>10:30~19:30(実働8時間、残業あり)

◆休日休暇
完全週休2日制(土・日曜日)、祝日、夏季・年末年始休暇、有給休暇

詳しくは www.creatures.co.jp/recruit をご覧ください。