【インタビュー】ハイエンドのコンシューマゲーム制作に特化したイリンクスが、リーダー職、開発職を募集中

JR山手線恵比寿駅から徒歩5分の立地にあるイリンクス。関連会社の シリコンスタジオ から目と鼻の距離にあり、両社間のスタッフの往来は活発だ。現在は物理ベースレンダリング(PBR)を導入したハイエンドのコンシューマゲーム開発に注力しており、シリコンスタジオが開発・販売する MizuchiYEBISOROCHI といったミドルウェアをフル活用している。

「シリコンスタジオの開発者が社内に常駐し、ゲームを開発しつつ、並行してツールの強化にも取り組んでいます。コンテンツ開発と、それに最適化したツール開発を同時に推進できることが当社の強みです」と田中宏幸氏(代表取締役社長/プロジェクトマネージャー)は語る。同社の高い開発力はクライアント各社から評価されており、この先1年間、既に全スタッフのスケジュールが埋まっているという。そんな同社では、今後の事業拡大に協力してくれるリーダー職、開発職を募集中だ。

自身は管理(マネジメント)主体のリーダーだが、制作(クリエイティブ)主体のリーダーや開発者も大歓迎だと語る田中氏と、同社のアーティストたちに、職場環境や今後の展望を語ってもらった。

リアルタイムレンダリングエンジンの Mizuchi を使って制作した試作画(光源の設定:日中)

リアルタイムレンダリングエンジンの Mizuchi を使って制作した試作画(光源の設定:夕方)

リアルタイムレンダリングエンジンの Mizuchi を使って制作した試作画(光源の設定:夕闇)

※光源の設定を上記の3パターンに変えることで、3枚の画を生成している。シーンデータは物理ベースレンダリング(PBR)を前提に制作されているため、光源の設定を変えるだけで自然な画が生成される。同社が現在開発中のコンシューマゲームでは、この PBR を導入した画づくりが行われている。
※Mizuchi と PBR の詳細については、こちらの記事(http://cgworld.jp/interview/wise-mizuchicg.html)を参照してほしい。

最後までクリエイターでいられる環境も保証したい

ゲーム会社でプログラマや管理職を歴任してきた田中氏は、2010年にイリンクスを設立した。その当時から現在まで、同社では一貫してプロジェクトマネジメントに力を入れてきたという。「アーティストやプログラマと同じように、プロジェクトマネージャーもまた専門職の1つだと考えています。スケジュール管理、予算管理のための技法を知らない、学んだことのない人に、マネジメントの責任を負わせるのはおかしいと思うのです」(田中氏)。

同社が推進するプロジェクトでは、必ずプロジェクトマネジメントを専門とするスタッフが割り振られ、スケジュールや予算を管理している。田中氏自身、プロジェクトマネジメントの国際資格であるPMPや、認定スクラムマスターの資格をもっており、同じように専門職を目指したいスタッフには学びと経験の機会を喜んで提供するという。

【左】田中宏幸氏(代表取締役社長/プロジェクトマネージャー)【右】濱田弘之氏(取締役/リードアーティスト)

「自分の担当する仕事が遅れているのか、進んでいるのか、よくわからないままに時間が過ぎていき、気が付いたら納期が目前に迫っていて、もはやデスマーチは不可避......という開発の場合、全てを根性論で片付けるしかありません。そんな開発は嫌いですし、会社もスタッフも幸せにはなれない。デスマーチに追い込まれる前に、作業を速めたり、人を追加したり、効率化を図ったりできる体制を目指しています」(田中氏)。ただしマネジメントの専門職だけでは、アーティストやプログラマの作業時間の正確な見積もりができない。そこで求められるのがクリエイティブを熟知したリーダーや開発者だという。

同社のアーティストを統括する濱田弘之氏は設立メンバーの1人で、取締役も務めている。濱田氏は自身のことを『現場から離れたくない、クリエイティブ主体のリーダー』と表現する。「私の得意分野は、モーションデザイン、リギング、環境整備のためのツール開発などです。これらの仕事に一番時間をかけつつ、新人の育成、ほかのアーティストの成果物のチェックなども行なっています。今の仕事のバランスは自分にとって快適なので、積極的に、楽しみながら取り組めています」(濱田氏)。

ゲームクリエイターとして採用したからには、最後までクリエイターでいられる環境も保証したい。しかし一方で、濱田氏のようなベテランがもつ豊かな知識や経験を、後に続く若手に伝えてほしいとも願っていると田中氏は続ける。「あるべきリーダー像、開発者像は1つではないと思っています。今後入社する人たちには、自分が楽しく幸せに働き続けられるリーダー像、開発者像を考えてほしいし、体現してほしいです。その挑戦を、当社は応援していきます」(田中氏)。

イリンクスの開発室。アーティスト、プログラマ、プランナーがワンフロアに机を並べ、随時意見を交換しながらゲームを制作している。Mizuchiをはじめとするツールの開発・改良、整備環境などを担うスタッフも同じフロアにいるため、ワークフローも随時改善されているという

学びに対して貪欲な人を応援できる会社でありたい

2012年入社の大場 友紀子氏はモーション歴13年のベテランで、自らモーション制作に従事する傍ら、ほかのモーションアーティストのスケジュールやクオリティ管理も担っている。「会社の規模は小さいですが、大規模なコンシューマタイトルの重要な部分に携われる点にやりがいを感じています。他社の開発者に出向していただく機会も多いので、色々な会社の、色々なノウハウを吸収できます」(大場氏)。

現在携わっているコンシューマタイトルでは、モーションキャプチャを使ったキャラクターアニメーションを担当しており、ゲームエンジンは OROCHI を使っているという。「自分のつくったモーションが実機でどう動くのか、すぐにプレビューできるので、試行錯誤に多くの時間を費やせます。OROCHI の開発者が身近にいてくれる点も心強いですね」(大場氏)。

【左】大場 友紀子氏(リードモーションデザイナー)【右】西松祐紀氏 (モデラー) 

背景アーティストの西松祐紀氏は、2016年3月に名古屋工学院専門学校  を卒業し、新卒として4月に入社した。銃火器や車両など、ハードサーフェスのモデリングを担当することが多いという。学生時代に参加したゲームスタジオ合同説明会で田中氏の話を聞き、濱田氏にポートフォリオを見てもらったことがきっかけとなり、入社にいたったとふり返る。

入社を決めた理由として、第1に『イリンクスなら確実にコンシューマゲーム開発に携われること』、第2に『田中氏の話が面白かったこと』を挙げてくれた。「学生時代のCG制作では、マテリアルの設定も、ライトの設定も、全部見た目で判断していました。でも、今の仕事では物理的に正しい数値を入力し、まずは現実空間に即した画づくりをすることから始めます。どんどん新しいことを勉強し、新しいツールやプラグインを試すことで、今までつくれなかった画がつくれるようになる。その過程の全てが楽しいです」(西松氏)。

先に紹介したシーンデータ内の列車を、クロースアップでレンダリングした画。この列車の材質表現には、Mizuchi が搭載しているレイヤー構造が使われている。Mizuchiでは1つのオブジェクト表面に対し、1グループあたり4レイヤー、最大3グループ、12レイヤーを適用できる。この列車の場合には、車体の有彩色塗装面、サビキズ面などでレイヤーを描き分け、材質のちがいを表現している。「クロースアップに強く、カメラが引いても寄っても破綻しない点がMizuchiの強みです」(濱田氏)

ゲーム開発の現場に身を置くなら、勉強の歩みを止めてはいけないと濱田氏は補足する。「西松のポートフォリオを見たとき、『学びに対して貪欲な人だな』と感じました。そういう人と一緒に仕事をしたいですし、そういう人の成長を応援できる会社でありたいです」(濱田氏)。イリンクスの社員は、本人が希望すれば業務時間内であってもカンファレンスやセミナーに参加できるし、費用は全額会社負担だという。「ツールやプラグインの購入希望にも、なるべく応じるようにしています」(田中氏)。

Substance Designer で PBR に適合したテクスチャを制作中の西松氏

前述したように、現行のプロジェクトでは Mizuchi によるリアルタイムPBRを導入しているため、濱田氏自身も日々新しいことを勉強しているという。「シリコンスタジオと当社のプログラマが率先して環境整備を行なってくれるため、アーティストの苦労はかなり軽減できています。社外のアーティストに制作の一部を依頼する場合にも、PBRという客観的な指針があるおかげで品質を統一しやすいですね」(濱田氏)。

ただし、物理的に正確な画をつくるだけでは、プレイヤーの心を動かすゲームにならない。ゲームの世界観やプレイヤーの心理を考慮し、何を強調し、何を省略するかを考え実践していくことが、イリンクスのアーティストの仕事だという。「PBRをベースとしつつ、より踏み込んだ表現に挑戦することで、価値の高いゲーム開発を実現していきます。小規模であっても、技術力と表現力を磨き続けていれば、会社のブランド力を高めていけます。自分の仕事の価値を高めたい、成長したいという方は、ぜひ当社にご応募ください」(田中氏)。

 

TEXT_尾形美幸(CGWORLD)
PHOTO_弘田充

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