【インタビュー】ゲームグラフィックスをベースに、オリジナルキャラクターも創造するキャラバンズ

多くの人を楽しませつつ、クリエイティブ活動をビジネスとして成り立たせる!それがキャラバンズ"ism"


株式会社キャラバンズ

【左】齋藤光司氏(デジタルアーティスト)
【右】金重保貴氏(代表取締役)

【左】齋藤光司氏(デジタルアーティスト)
【右】金重保貴氏(代表取締役)


日本国内には数百件にのぼるCGプロダクションやゲーム会社があり、日々新たなコンテンツが生み出されている。本記事で紹介するキャラバンズは、2013年設立、スタッフ約20名の新興CGプロダクションだ。代表取締役の金重保貴氏は、多くのゲームタイトルでグラフィックス制作に携わり、アートディレクション、プロジェクト管理なども経験してきた。そんな金重氏が立ち上げたキャラバンズもまた、ゲームグラフィックス制作を得意とし、多くのパブリッシャーから厚い信頼を寄せられている。さらにオリジナルキャラクターの創造にも意欲的だ。以降では金重氏と齋藤光司氏(同社デジタルアーティスト)へのインタビューを通して、同社が手がけるコンテンツと、制作にかける思いを紹介する。

キャラバンズでは、パブリッシャー各社の、多彩なゲームグラフィックスを手がけている。近年携わったタイトルのリストには、『初音ミク -Project DIVA- X』『STREET FIGHTER V』『ドラゴンクエストビルダーズ』などが並ぶ。音楽ゲーム、格闘ゲーム、ロールプレイングゲームまで、本当にバリエーション豊かだ。

各社からの信頼と、期待を裏切らない高い対応力。その秘訣は『多くの人を楽しませつつ、クリエイティブ活動をビジネスとして成り立たせる!』というキャラバンズ"ism"にある。「仕様通りのグラフィックスを、決められた納期までに仕上げることはもちろん、各タイトルならではのゲーム性や運営方法も十分に理解して、それに準じたアイデアやワークフローを提案するよう心がけています」(金重氏)。クライアントに依頼された通りのグラフィックスを納品するだけでもビジネスは成立するが、そこにクリエイティブなアイデアや活動を追加した方が、クライアントにもユーザーにも喜んでもらえる。何よりも自分たちが楽しくなるし、成長もできると齋藤氏は補足する。

「キャラバンズにはゲーム制作を熟知した経験豊富なスタッフが多く所属しており、常に良質なコンテンツを生み出そうとする気風があります。そのゲームの面白さが際立つような、一歩踏み込んだデザインの提案と制作ができる。例えば、キャラクターのパーツやモーションのひとつひとつにも魂を込め、よく考えてデザインする。それが僕たちの強みです」(金重氏)。

ゲームはあくまで商品なので、利益を出す必要がある。世の中には『売れれば正義』という考え方でつくられているタイトルもあるが、プロモーションに資金を投じ、ゲーム本来の面白さ以外の部分で勝負することには疑問を感じると金重氏は語る。「必ず、ゲーム本来のクオリティがしっかりと評価されるようになる。そういうゲームづくりに貢献できる会社をつくろうと思い、キャラバンズを立ち上げました」(金重氏)。だからこそ『考えることを放棄して、つくるだけの会社にはしない』と断言する。ゲームの企画立案からデバッグにいたるまで、クライアントと密接にコミュニケーションを取りつつ、より面白いゲームを追求し続けていきたいという。

美術館をイメージしてデザインされたキャラバンズのスタジオ風景。「アーティストは常に刺激を受けられる環境に身を置いてほしい」という金重氏の思いが込められている

スタジオ内は適度ににぎやかで、スタッフが気兼ねなく意見交換できる雰囲気が保たれている

エントランスのデザイン時につくられた展開図。「当社を訪れた方々が感動してくれるようにとの思いを込めて設計しました」(金重氏)

感動できるグラフィックスを生み出すため、まずはスタッフに感動してもらう

齋藤氏はキャラバンズの設立年に入社し、現在はグラフィックス制作とマネジメントを兼任している。入社直後に金重氏からもたらされた『感動』は、今でもよく覚えていると振り返る。「僕が何気なく『あのゲームに関わってみたい』と口にしたら、金重がそのゲームの仕事を取ってきてくれて、それが当社での初仕事になりました。すごく感動しましたね。スタッフのやる気や熱意を最大限バックアップしてくれる会社だと実感しました」(齋藤氏)。やりたいタイトルは何か、伸ばしたいスキルは何か、スタッフ1人1人の意見を聞き、目標が達成できるように支援する。その結果スタッフが感動してくれれば、自ずと感動できるグラフィックスが生み出され、それが会社の財産になると金重氏は語る。

キャラバンズでは、ゲームグラフィックスの受託制作とは別に、オリジナルキャラクターの創造にも取り組んでいる。フィギュア、スマートフォンケース、ストラップ、ポストカードなどのオリジナルプロダクトも制作し、オンラインショップやイベントでの販売も行っている。こうした活動を通してお客様と触れ合うことで、様々なインスピレーションが得られるという。加えて、手でさわれるプロダクトの制作はゲームとはちがう楽しさがあるので、どちらも続けていきたいそうだ。「CGやデザインは手段であり、目的ではありません。だからキャラバンズの使命は『ゲームグラフィックスを制作する』ことではなく、『感動体験を届ける』ことだと考えています。ゲームの受託制作と並行して、オリジナルキャラクターや独自コンテンツの創造にも柔軟に取り組んでいきたいです」(金重氏)。

オリジナルキャラクター。「キャラバンズ ism をテキストとビジュアルの両方で表現したい!」という金重氏のこだわりから、本記事でも、そのアートワークを各所にあしらっている

3DCGでモデリングした後、3Dプリンタで出力されたフィギュア

デザインフェスタなどのイベントに出展し、オリジナルプロダクトを販売することもある

金重氏たちが守ってきたキャラバンズ"ism"はクライアントにも支持され、仕事は増え続けているという。今後はスタッフの増員を予定しており、ゲーム業界経験者はもちろん、業界未経験者も大歓迎するそうだ。「良いものをつくることにこだわりがあり、自ら情報発信ができる。そういう人は、キャラバンズ"ism"を共有してくださるでしょう。僕たちと共に、感動体験を生み出してくださる同志のご応募をお待ちしています」(金重氏)。

TEXT_秋山由香(Playce)
EDIT_CGWORLD編集部
PHOTO_大沼洋平

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