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【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード95:TVドラマと制作スピード

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ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!


片桐 裕司 / HIROSHI KATAGIRI
彫刻家、映画監督

東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。
東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。

エピソード95:TVドラマと制作スピード

ひととき、TVシリーズの仕事をやたらとやっていた時期がありました。別に選んでそうしたわけではなく、たまたま 仕事をしていたスタジオが TVシリーズの仕事をやたらと請けていたからなのでした。

1997年あたりだったと記憶しています。その頃、ほぼ同時に 『X-ファイル』(原題:The X-Files)、『バフィー ~恋する十字架~』(原題:Buffy the Vampire Slaire)と『Crusade』というエイリアンものと『チャームド ~魔女3姉妹~』(原題:Charmed)などをやっていたと思います。

 

『X-ファイル』(原題:The X-Files)

『バフィー ~恋する十字架~』で半魚人を造形、ペイントしたのですが、その頃はハリウッドも羽振りが良かった90年代。映画の制作では、なかなかいい時間をもらえるのですが、毎週放映されるTVシリーズはそういうわけにもいかず、制作時間は なかなか厳しいものがありました。

 

『バフィー ~恋する十字架~』で制作した半魚人

全身のスーツの造形にかけた時間は 1週間だったと記憶しています。その制作スピードは、当時ではとんでもない速さでした。昔から造形のスピードを上げようと努力していたため、できるようになったのですが、反面、こだわりがあまりないから速く仕上げられちゃうのです。良くも悪くも「時間がない時は、私に頼めば安心」というような人材になってしまったわけですが...。

それはさておき、仕上がった造形を型取りする人たちが 一晩で全身の型をとり、それから撮影まで多分1週間くらいだったのではと思います。型を取る人たちも優秀でしたね。造形が終わって、次の朝には、型が完成していたのですから。当然、ペイントの時間も超短いです。しかも 3体あるので大変でした。

そんな経験をしながら、同じような状況で『X-ファイル』のエイリアンや『チャームド』のクリーチャーなども作っていたのですから、スピードも上がるわけです。

私たちの給料形態は ほぼ全て時給です。労働基準もしっかりしているので、1日8時間以上働いたらオーバータイムの時給になります。8時間から1.5倍になるのです。そのため、スタジオの多くは8時間以上の労働を許しません。

私は柔軟に対応できる性格なので、時間内でもきちっとできるし、自身が大きな責任を背負ったプロジェクトなどは 8時間以上でもお金をもらわずに働くこともあります。自分自身を分析して「どのような考えで仕事をしているか」というと「雇う人が喜ぶような仕事の仕方」だと思います。

「雇う人が、多少 質を下げても お金がかからない方が喜ぶ」と判断すれば、それも厭わないし、「お金よりもクオリティを求めている」時はそのようにします。それは、自分が作る作品に対して「納得しようと思っていない」からだと思います。

それが正しいとは言わないですし「アーティストは自分の作品に納得するまでとことんやるべきだ」という人もいると思います。そして、それが間違っているとも思いません。ただ単純に「これが自分だ」ということを自分自身でわかっているため、苦しまないのです。そして、雇う側にも非常に喜ばれます。もう 完全な商業アーティストですね。

 

★バックナンバーはこちらから

■片桐裕司さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/hollywoodfx/

■ハリウッドで活躍するキャラクターデザイナー 片桐裕司による彫刻セミナー
http://chokokuseminar.com/

 


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