【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード67:映画制作に先行して発売!? – ハヤシメシロボ
ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!
エピソード67:映画制作に先行して発売!? - ハヤシメシロボ
ある日突然、日本からメールが来て「貴方の経歴をいろいろ調べまして、『パシフィック・リム』のロボット制作に携わった貴方に ぜひ頼みたい仕事がある」と言われました
それは、なんともしょうもないロボットをデザインをして欲しいというもので、その名も「ハヤシメシロボ」。日清食品の新製品で ハヤシメシ というのが発売される。それを売るためのロボットだそうです。
企画書を読むと、これは、なんと映画の企画で、
本年度映画賞4冠受賞 目標
総制作費600億円 目標
世界興行記録新記録 予定
大物監督起用 予定
キャラクターデザイナー片桐裕司
という感じの宣伝をして、もう デザインを私に発注しちゃったので、制作費を取り急ぎ集めたいので、ハヤシメシいっぱい買ってくれ! 500兆個くらい買ってくれ! できたら、続編も作りたいので 1000兆個買ってくれ! という企画です(笑)。
「真面目で堅い人」というイメージが私にあるらしく、こんなふざけた宣伝の片棒を担いでくれるのか先方も不安だったようですが、こういうふざけた企画は大好きなので、二つ返事でオーケーしましたよ。(※このエッセーを読んでくれている人はご存知でしょう)
その制作期間が ほぼ、彫刻セミナー で日本にいる時だったので、とりあえず、その前に、ロサンゼルス(LA)の自宅で軽く1体デザインして、日本でのミーティングに臨みました。企画イメージが もろ『パシフィック・リム』だったので、それっぽいデザインにしてみました。
1. 初期デザイン
初期デザインはこんな感じで『パシフィック・リム』を意識しています
ミーティングで 実際に話してみると、ああ、これはカッコイイのはダメなんだな。「かっこいいけどなんかダサい」 これが キーワード なんだと気づきました。なんせ、名前が「ハヤシメシロボ」ですからね(笑)。そこで、セミナーの合間に ちょこちょこデザインして 何パターンか提出しました。
2. とりあえず 頭に大量のハヤシメシ乗っけたれ!
体の 1/3 は ハヤシメシという大胆な発想です
とりあえず 頭に大量のハヤシメシ乗っけたれ!
3. 未来チックなハヤシメシ
ハヤシライス発祥のレストランが東京駅にあって、そこで 試しにハヤシライスを食べたのですが、そこのスプーンが ちょっと独特だったので、それをモチーフにして、ちょっと未来チックなデザインにしました
未来チックなハヤシメシ
4. 思いっきりダサくしたれ!
未来ものは ちょっとかっこよすぎる印象のため、「もっとダサくしてやれ!」とこのデザインをしました。しかし、あまりにダサすぎて、気に入らなくて未完です。
思いっきりダサくしたれ!
5. 最終デザイン
そして最終的に決まったのが、1番最初のかっこいいやつ(初期デザイン)をちょっと変えて、頭にハヤシメシの「ハ」の形を入れて、背中にスプーンを背負わせることにより、ダサさを表現したこのデザインです。
最終デザイン
デザインも無事に決まり、今度はこれを 3DCGモデルにしなくてはいけない。私自身はデジタルモデリングはやらないので、私の彫刻セミナーを熱心にとっている常連である CG会社 モワノー の社長さんの瀬邉くんに頼むことにしました。私のデザインをもとに3Dモデリングしてもらい、こちらで Photoshop 修正、3Dで直してもらう というような形で、デザインを詰めていきました。
そして、完成した 3Dモデルは、最終的に誰でもダウンロードできて、Maya などをやってる人は、自由にいじくれて、それをネットに載せてもらったりして バズってもらおう という なんとも斬新な宣伝になったのです。
3DCGモデル(制作:株式会社モワノー)
企画を見たい人 / 3Dモデルデータをダウンロードしたい人は こちら へ
http://www.currymeshi.com/hayashimeshi/
そして、私が出演している動画がこちらになります。笑えます
結果 どこまで ハヤシメシ が売れたかはわかりませんが、もらって食べた ハヤシメシ はかなり美味しかったので、皆さんも 1人50兆個ほど買ってください。
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