アーティストが自分の過去作をリメイク:『アポリオン』のメイキング

14 視覚的な面白味を作る

影を作るとき、私は単色の部分、配色を避けるようにしています。このイメージでは、「ダークゴールド」のベースシャドウから始め、「黄色」、色相環の「反対色や近似色」を検討していきます。次に、「青や紫」など1色めの補色をペイントし、さらに「ミントグリーン」も加えて、鮮やかさを演出します。多くの色を詰め込み過ぎると、作品に負荷がかかるため、アクセントでは彩度を抑えましょう。周囲とトーンを共存させつつ、邪魔にならない適量を加えます。

▲ 14 補色を使った影の表現

15 終盤での追加

この時点で、2人の体の大部分を描写します。騎士の鎧を具体的に描き、アポリオンの下半身に毛並みのテクスチャを加え、解剖学のリファレンスを基に、胴体のディテールを描きます。この前景には、奥行きと色彩を添える面白味が欠けています。終盤で要素を加える場合(植物と鳥)、私はスケッチレイヤーに戻りません。大抵、ラフに形をブロッキングするか、先に簡単にスケッチしておきます。重要なのは、新しく加わったものが正しい動きの感覚を維持していることです。ここでは、周囲が少し地味に見えるため、鳥に緑を加えました。今のところ、カラーパレットの範囲に収まっていますが、進めていくうちに新しい色を取り入れる可能性もあります(特に大きい作品)。

▲ 15 無重力や飛行を示唆するため、浮遊する要素が必要です

16 鳥のペイント

周囲の色を念頭に置き、鳥を1 羽ずつペイントするときは、集中力が必要です。鳥は追加要素なので、場違いに見える恐れがあります。描写と色の選択は、別々のプロセスになることがありますが、一方に集中し過ぎると、もう一方がおろそかになり、全体のバランスが悪くなってしまうでしょう。要素自体をうまく描けても、他の部分と比較すると、後付けのように見えるかもしれません。そうならないように、鳥と背景は同時に集中して取り組みます。

▲ 16 明度を調整すると、鳥が場違いに見えなくなります

17 個性を保つ

鳥はたくさんいるので、すべてを同じ色でペイントすれば簡単です。しかし、ここでは、それぞれの鳥に独自のパレットを使い、視覚的な面白味を出してみましょう。「緑や薄黄色」のものもあれば、「青や紫」のものもあります。鳥は予定外に追加された要素なので、作品全体との統一感を保つため、2 人のキャラクターから色を選択して、その構成に使います。

▲ 17 鳥がイメージ全体と調和しました

18 花のディテール

アポリオンの周りに浮かぶ花に取り掛かりましょう。この部分は空虚で地味に感じられるため、「補色」で崩してみます。私は、人物や背景の黄色いトーンと対比させるため、寒色系の紫と青を使います。ラフカラーから始め、影と光の領域の輪郭を描いて洗練させます。また、花のコンセプトを明確にするため、必ず花びらを加えましょう。花には心地良い流れがあり、構図全体に動きが生まれます。

▲ 18 花の明度を使い、シーンとの一体感を出します

19 アクセント

次は背景です。主役への注目をそらさず、作品のバランスを改善するには、「アクセントカラー」が最適です。私は青や紫の点(惑星)をペイントし、単色の黄色い背景に変化をつけています。これは、目立ったり、支配したりすることなく、さりげない視覚的な面白味になります。

▲ 19 パステル調のパレットを使えば、変化をつけて、より多くの色を取り入れることができます

20 振り返って見る

すべての要素を最後まで描いたら、最終的な色調整と細かい明度の修正を行います。ズームアウトしたイメージに注目すると、全体のバランスがよくわかります。必要に応じて、一部を明るく/暗くして、色やライティングの微調整を行い、完成度を高めましょう。すべてが同等に感じられたとき、 絵が限りなく仕上がっているとわかります。

▲ 20 全体の色と明度を確かめるため、ズームアウトするか、絵から1歩下がります

▼まとめ

旧イメージ(ビフォー):全体的な乱雑さ/ 構図には改善の余地がある/ 不正確な解剖学

新イメージ(アフター):正確な解剖学/ 繊細なカラーパレット/ 視覚的に心地よい構図と流れ

2017年から私は「人体ドローイング」 「色彩理論の試行」、そして「期待感を盛り上げる構図の作成」といった経験を積み上げてきました。2つのイメージを見比べると、新しい方が洗練されているのは明らかです。過去数年間のアートの実践を通じて得られたあらゆる経験が、この作品に詰め込まれていますが、特に大事なのは、「継続性」「忍耐力」です。粘り強く続ければ、あなたのアートはきっと新しい発見と感動を与えてくれるでしょう。

 

完成イメージ

※本チュートリアルは、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則:ビフォー&アフター』からの抜粋です

 


編集部からのおすすめ: 色、構図、遠近法.. アートのセオリーを学ぶ/再発見するには、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』をおすすめします。

 


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp