穏やかな女性のCGポートレート『Emma, close your eyes』のメイキング

08 ブラウスとコサージュのモデリング

ブラウスとコサージュは Marvelous Designer で作成しました(私にとって初めての試みでした。カーテンやケープならあります)。特にブラウスのモデルは、Marvelous Designer の女性用シャツのサンプルを使って、リファレンス画像を見ながらベースを作っていき、コサージュはパターンを用いて作りました。

Marvelous Designer でブラウスを作成

Marvelous Designer でコサージュを作成

09 ブラウスとコサージュのスカルプト

Marvelous Designer で作成したブラウスとコサージュのモデルを ZBrush にインポートします。[Zリメッシャー]を適用したら、Maya で布の流れに沿ったトポロジーを作成し、続けて ZBrush の[Standard]ブラシと[Dam Standard]ブラシでシワのディテールをスカルプトします。ピアスの部分は Maya で制作しました。最後に、これらのモデルとスカルプトしたコサージュを ZBrush で組み合わせます。

ZBrush でブラウスとコサージュをスカルプトします

ZBrush上の上半身とピアス

10 衣装のテクスチャリング

Substance Painter でブラウスをペイントするため、まず Substance DesignermicroFabrics chiffon #03(Displace(ディスプレイス)・Opacity(不透明度)・Normal(法線)マップ)を使って ファブリックマテリアルを作成します(Substance Designer が前から気になっていたので、今回初めて試しました)。

Substance Painter に作成したファブリックマテリアルをインポートして適用し、バラの花柄でブラウスの Base color(ベースカラー)をペイントします。また、Specular(スペキュラ)・Roughness(ラフネス)・Opacity(不透明度)・Normal(法線)も同様に作成しました。

Substance Designerでファブリックマテリアルを作成

Substance Painter でブラウスをテクスチャリングします

11 シフォンブラウスのシェーディング

Maya にシフォンブラウスの PBRテクスチャをインポートして、「Base Color(ベースカラー)」「Specular(スペキュラ)」「Specular Roughness(スペキュララフネス)」「Transmission Weight(透過ウェイト)」「Tangent Space Normals(接線空間法線)」の各ノードに適用します。

ブラウスの不透明で柔らかいテクスチャを表現するため、「Opacity」マップの代わりに「Transmission Weight」マップを使いました。また、マイクロファイバーやベルベット、サテンのような布の粗さを表現するために「sheen(光沢)」オプションを使っています。

シフォンブラウス(Ai Standard Surface)の内訳

シフォンブラウスのTransmission Weight マップ

12 リグ、ライト、髪の毛の設定

レンダリングとポージングのためにリギングを施します。さらにピアスの動きもコントロールし、ポーズに合わせて自然に流れるように設定しました。髪の毛は、Maya の XGen で作成し、美しい雰囲気を出すため、背景の平面と2点照明(キーライト・リムライト)、そしてスカイドームライトを設定してレンダリングしました。

リグ、ライト、髪の毛の設定 - Maya のビューポートショット

 

完成イメージ 「Emma, close your eyes」

>>> ギャラリーは こちら

 


編集部からのヒント:フォトリアルな CGキャラクターの制作テクニックを学習するには、書籍『3Dアーティストのための人体解剖学』『MAYA キャラクタークリエーション』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp