構図の秘訣:黄金比のバリエーションを紐解く
コンセプトアーティスト Andrei Riabovitchev氏 が、黄金比のバリエーションについて解説します
書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』では、「長方形の黄金比」と「黄金螺旋」を解説しています。ここでは、その他の黄金比(正方形、円、三角形)について見ていきましょう。
※本チュートリアルは、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 初版』から抜粋し、記事用に調整したものです。黄金比の概要については、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』をご覧ください
黄金比を数学的に表現する
黄金比は、AB = 0.618、BC = 0.382 という無限連分数で表せます。線AC を 1 とすると、それぞれ約 0.62 と 0.38 になります。よって、線の長さが 100 で黄金比の割合を求めると、大きい部分が 62、小さい部分が 38 になります。
これらの値から、大きい順に分割数を見つけることできます。
たとえば、以下のように計算します。
100 - 62 = 38
62 - 38 = 24
38 - 24 = 14
24 - 14 = 10
つまり、100、62、38、24、14 は、数学的に表された黄金比です。
図01
図01では、まず横軸を 62 と 38 に分けて黄金比を形成します(中央にある2本の黄金比の線の間が 24 になります)。次に右の 38 の部分に同じ比率を適用し、おおよそ 14:24 に分割します。最後に 24 の部分に同じ比率を適用し、10:14 に分割します。これは、前述の計算結果と同じです。
下と右にある緑の線に、これらの値を示しています。この目盛をプロポーショナルライン(割合線)と言い、すべてのイメージで、その寸法/サイズ用に計算された割合線が必要になります。作成に時間を要しますが、人物やオブジェクト間の距離、そしてそのサイズを計算するのに役立ち、絵の線形構成を調和させることでしょう。
1. 正方形を基に黄金比を作成する
図02 の正方形サムネイルに切り取られたイメージ(図形A)のように、絵のサイズが不明な場合も、その寸法を割り出し、黄金比を適用するための方程式や計算がいくつかあります。
最初に正方形の横軸を2等分し、その点と右上の頂点の距離の分だけ線を右側に延長して長方形を作成します(図形B)。
この長方形の幅を 100 とすると、高さは 62 になり、元の正方形の右辺が黄金比の線になります。これを元に対角線を引き、両軸上に黄金比の点を求めることができます(図形C)。この長方形を元に、垂直面または水平面に沿って適切に形を伸長すると、黄金比の寸法に従いつつ、どんなサイズのスケッチも作成できるでしょう(図形D)。
図02
少し理解が深まったところで、次は黄金比を使ってイメージを作成してみます。目と脳の知覚を支配するこれらの法則に従わせるため、中央の 4つのポイントを意識しましょう。図03、04はその例で、測定および伸長する際に使った計算線が示されています。
図03
図04