07. シーンのクリーンアップ

シーンをきれいにして、補足的なディテールをさらに加えています。私の場合、全体のペイントとクリーンアップを同時に行うよりも、最初にディテールを少し加え、次にイメージを部分的にきれいにして、作業を段階的に進めていきます。スペースバギーはカンバスの中心であると同時に、最も重要な要素なので、ここでは主にバギーのディテールを洗練させることに集中します。

ゆっくりと着実に他の部分を定義していきましょう。私はディテールの量が少ないイラストが好みです。ディテールを抑えて、良い雰囲気を作れば、一目見ただけで内容が分かるきれいなイメージを作成できます。

図07：ディテールを追加し、要素をきれいにします

08. 空の調整

ここでペイントを少し中断して、進行状況を評価し、手を加えたり修正する必要のある部分がないか見てみましょう。この時点で、空が明るすぎることに気付きました。そこで［グラデーションツール］を使って影をさらに追加し、鑑賞者の注意をイメージの下にある明るい領域に向けさせましょう。

図08 を見ると、焦点が周辺要素ではなく、中央のスペースバギーに集中していることが分かります。もう少しステップを重ねれば、人気のない涼しい夜の力強い雰囲気が加わり始めるでしょう。

図08：［グラデーションツール］で空を暗くして、光の焦点をバギーの方向に下げます

09. 小さなディテールの追加

全体の出来栄えに満足したら、次は背景に小さなディテールをペイントしていきます。これらのディテールによってイメージに一般的関心が生まれます。そして、より「完全」なルックを表現することで、メインの焦点が強化されます。

図09 では、補足的なディテールである3つのポイントをマークしています。1つはキャラクター（①）、残り2つは周辺のアセットです（②③）。キャラクターを追加すると、シーン全体に立体感とスケール感が出ます。さらに2つのアセットによって、スペースバギーが月面ステーションにあることが強調され、シーンにリアリティが生まれます。また、ステーションのディテールがイメージの外まで広がることで、その大きさをほのめかしています。

図09：キャラクターと建物のアセットで、リアリズムとスケールを加えます

10. 最後のディテールと洗練

ここで最後のディテールを追加していきましょう。必要に応じて、加えたり取り除いたりできるので、段階的に進めていくと簡単かもしれません。ディテールを追加する方法は、表現したいものや、作業の進行状況に応じて決定できますが、いずれにしてもシーン中央の焦点は保持しましょう。

このイメージの焦点はスペースバギーなので、他の場所にディテールを加えるべきではありません。私はスペースバギーをイラストのメイン要素として残すため、月面ステーションの地面にのみディテールを追加しました。それでもこのバギーが宇宙船の発着エリアに停まっていることは、はっきりと見て取れます。小さなアーティフィシャルライトを少し加えて、雰囲気を修正できますが、今のライティングでも十分でしょう。

図10：地面に小さなディテールを加えて、きれいにします

11. 白黒でチェックする

ここでイメージを白黒に戻し、コントラストと明度を確認しましょう。白黒にすると、背景要素が主張しすぎる／暗すぎるなどを確認ができます。この場合、そのどちらにも当てはまりました。背景のオブジェクトが暗すぎるので修正してみましょう。

スペースバギーは強い光に包まれていますが、背景の建物とコンテナは、バギーとその光に近いにもかかわらず、かなり暗くなっています。この明暗のコントラストは鑑賞者の注意をそらしてしまうので、暗さを1割くらい落として、取り除く必要があります。［オーバーレイ］レイヤーや［不透明度］の低いブラシで、この部分の暗闇を調整しましょう。

図11：［オーバーレイ］やシンプルなブラシで暗い領域を調整します

12. 時間を置いて仕上げのディテールを加える

ここで一歩下がって、「どの部分を修正すべきか」「ディテールをさらに加える必要があるか」を考慮しながら、イメージを注意深く観察しましょう。

私はいつもここで作業を中断し、1日ほど目を休ませます。こうすれば、新鮮な視点で見返し、他の鑑賞者の目にどのように映るかを確認できます。そして、修正する必要のある新しい要素を発見（運が良ければこのイメージが完璧であると確信）できるでしょう！ 今回は最後の仕上げとして地面にもう少しだけマーキングを追加し、スペースバギーの周りの光を修正しました。下のイメージが完成イメージになります。

完成イメージ

※本チュートリアルは、書籍『Photoshop で描くSF＆ファンタジー』からの抜粋です

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