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プロのヒント:フリーランスでいく – キャリアを築きながらも自由時間を

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「フリーランスになる」という決断は、多くのアーティストが、そのキャリアの中で 1度くらいは経験する大きなステップです。そのベストプラクティスを探り、ワークライフバランスを保つコツを考えてみましょう


Sebastien Hue
コンセプトアーティスト&イラストレーター|パリ、フランス

「フリーランス」、重みのある言葉です。多くの人は仕事において、フリー(自由)になりたいと思っています。そこには、上司も指示もありません。自分で決断を下す自由があり、仕事をする/しないも自由です。そのような生き方にはプラスの側面がありますが、向き不向きもあるので、慎重に考慮しなくてはいけません。その大部分は、常に自分自身を評価する自分本位の体験です。適正を判断して、成功も失敗もすべて自分で受け入れることになります。

やる気や成功への意欲、挑戦は、フリーランスとして キャリアを築く秘訣です。一方で、懐疑心・いい加減さ、時間の浪費は、対処しなければいけない課題となります。あなたはあなた自身の中にバランスを見いだし、それらを上手く利用しなければいけません。優れた事業を営み、フリーランスという地位の恩恵を受ければ、心は自由になることでしょう。

 

1日の予定と作業を計画:自分なりのバランスを見つける

私は、石油、貿易、海運から、ゲーム産業、DVD制作など、物流業界において、さまざまな業務を 15年間経験しました。そして、4年前に、自分の生き方を変え、「自宅でのアート活動」という会社勤めとは正反対の道を進むことにしました。この決断は、収入面だけでなく、気持ちの面でもリスクを伴う変化でした。

実際、会社で働くと毎日の業務があるため、1日のスケジュールを立てられます。そのような立場からフリーランスに転向すると、スケジュールは自分次第になり、状況が一変します。テレビ、PC、音楽といったさまざまな誘惑が至る所にある中、自分でルールや 1日の行動を決めなければなりません。こういったときに「会社勤めで体験した組織の規律」が、あなたの時間を大幅に節約して、「やりたいことが何でもできる」新しい環境における失敗を防ぐ助けになることでしょう。

どうにかして、会社と同じような秩序で、早起き、仕事、コーヒーブレイク、昼休憩を実践しなければいけません。そこで、依頼された業務の有無にかかわらず、1日のスケジュールを立てましょう。クライアントからアートの依頼がなくとも、事務処理や会計などを行なって、時間を有効利用したり、練習や自己研鑽に励んでください。これらを実践すれば、いずれ、バランスが分かり、自分や家族のために本当の自由時間が取れるようになることでしょう。

 

健康的な息抜き

会社では、同僚と雑談しながらの小休憩、あるいは、トイレに行くことでも、椅子に座り、PC画面を見続けることから解放されます。それは、在宅フリーランスになると失われるかもしれない ほぼ無意識の社交的な時間です。1日中 PC にくぎ付けになるのを防ぐには、健康的な息抜きを取り入れることが大切です。小休止して、ちょっとした散歩やドラマ鑑賞などをして、頭を休め、自分を俯瞰できるようにしましょう。

また、できれば、その状況を上手く利用して、会社勤めでは なかなかできないことをやってみましょう。たとえば、30分の昼寝は脳にとても有益で、間違いなく、仕事に良い影響を与えてくれます。これは怠惰ではなく、健康的な行動です。アート制作の正確性が高まり、より効率的に活動できるようになります。

こういった行動をとれない人は、組織の雰囲気やリズムを得るために、コワーキングスペース(シェアオフィス)を利用することを強くお勧めします。いずれにしろ、自由時間に息抜きをすることに後ろめたさを感じないでください。それは、自分のバランスを保つのに必要な一部なのです。

 

ソーシャルメディア(SNS)は自由時間? それとも仕事?

フリーランスにも社会的なつながりが必要です。ソーシャルメディア(SNS)はビジネスだけでなく、人間活動としても、とても大切なのです。費やす時間はキャリアの土台となり、作品の広告宣伝の他にも、新しい人と出会ったり、情報をシェアしたりできます。毎朝ソーシャルメディアに 1~2時間かけることに罪悪感を覚えないでください。

そうしなくても 上手くやっているフリーランスアーティストはいますが、仕事の一環と考えましょう。また、あなたの目標や意志(他人とつながる・自分のファンや友人のコミュニティを作る・他人からインスピレーションを受ける)にも大きく影響します。

私自身は、ソーシャルメディアを「自由時間」であると同時に「仕事」でもあると考えています。ただし、誤解しないでください。次の「CGスター」になるために無理して行う必要はありません。「いいね」を追い求めたところで、生活の足しにはならないでしょう。そして、注意が必要です。自分の作品が多くの人に見てもらえれば 励みになりますが、「いいね」もコメントもつかなければ、落ち込むことでしょう。

とにかく 上手く活用してください。これはツールです。安定したキャリアを築くために利用して、自分に注目を集め、制作に役立てましょう。フリーランスのキャリアにおいて 大事なアセットとなることも、大きな成果を生み出すこともあるので、時間を割く価値はあります。

クライアントの気持ちを読み取る

キャリア形成に役立つ もう1つの要素は(※特にリモートワークしている場合)、新規クライアントに対応する際の心理面にあります。あなたはフリーランサーとして(さまざまな時間帯に異なる仕事をしている)世界中の人々と連絡を取り、その都度、仕事のスタイルを変化させることになるでしょう。

クライアントの言うニーズや考えが上手く理解できない場合、その関係を苦痛に感じるかもしれません。あなたが、特定のスキル(3D・2D・マットペインティング・コンセプトアート・モデリングなど)の専門家だとしても、多くの場合、クライアントはそうではありません。そこで、クライアントの言葉を読み取って、技術的に的確な言葉に変換する必要があります。こうして、そのニーズをしっかりと把握できれば、あれこれ推測する時間を大幅に省けることでしょう。

それは、新しいクライアントと最初に行う料金見積もりと同じように、毎回行う「ある種の駆け引き (ゲーム)」です。少なくとも「駆け引き (ゲーム)」と思えば、希望どおりにいかなかったとしても、落胆は少ないことでしょう。

 

依頼のないときは、IPを立ち上げ 自分のアート作品を制作

フリーランスの最大のリスクは仕事がなくなることです。仕事の依頼がなければ 収入もないわけで、自由時間はストレスの多い時期になります。それまで、ほぼ自由時間のない高負荷プロジェクトばかりをやっていたのであれば、なおさらです。しかし、常にあれこれ 制作を指示されている人にとっては、仕事がないときこそ、自分の作品を生み出す絶好の機会です。

この時間を利用して、独自のIPを開発、ウェブサイトを制作して、ロゴを作り、ソーシャルメディアや CGプラットフォームで紹介できる個人作品をつくってみてはいかがでしょうか。きっと、多忙なフリーランサーたちは うらやましく思うはずです。それほど忙しくない時期を上手く利用して、アーティスト 兼 実業家としての成長の糧にしてください。

経営

そうです、あなたは実業家(ビジネスマン / ビジネスウーマン)でなければいけません。フリーランスは零細企業であり、企業の各部署の役割を 1人で担う必要があります。請求書発行や経営のための財務会計、アートを適切に売るための販売、契約書のための法務、販促やクライアントの獲得のために製品を PRするアートおよびマーケティング、最新ソフトやデバイスを使用するための IT。あなたの仕事に存在しない部署は、人事と運送くらいです(※自分以外に管理すべき人がいません(笑)。納品もほとんどデジタルメディアです)。これらには 簡単に身につくスキルもありますが、難しいスキル(ワクワクするアート制作に直接関係しないもの)もあるでしょう。

 

アートの生産性を妨げる具体的なものには、財務、経営、法務などが挙げられます。それらは、事業を成功させる上で大きな足枷となることもあります。大切なのは、入念に調査して適切な情報とツールを見つけ出し、時間節約と事業管理に役立てることです。

会計を最適化することは、PCのシステムを最新の状態に保つのと同じくらい重要です。請求書の作成、フリーランスのローカルな法律用語や条件、キャッシュフロー、事業計画には、役立つオンラインツールがあります。blog.hubstaff.com/invoicing-software-for-freelancers、Wave、Moneybird、Freelance-app などを参考にしてください(※あなたの住んでいる地域の類似サービスを探してみましょう )。

もう1つの選択肢は、これらのタスクを外注することです。お金はかかりますが、会計士にプロの仕事をしてもらえば、自分の手間を省けるでしょう。これは収入の程度によるので、検討してみてください。

覚えておいてほしいのは、退屈なタスクを素早く対処するほど、アート制作、製造、集中、販売に費やせる時間が増えるということです。つまり、いったん商品が売れたら、運営や財務を管理する効率的なバックオフィス無しでフロントオフィスは存在できせん。自分であらゆることを切り盛りしたいなら、こういったタスクを無視しないでください!

 

これから築いていくフリーランスのキャリアにおいて、「時は金なり」という有名なことわざを戒めにできるでしょうか? すぐには答えられないでしょう。

前述のとおり、バランスの取れた 1日の過ごし方、優れたワークフロー、適切なバックオフィスの管理から得られる自由時間は、フリーランスの立場を最大限に利用するための重要な要素です。また、クライアント向けの作業(ペインティング&アート等)に取り組んでいない時間は、将来のために、生産性、独創性、効率、評判、人脈を増大させるための、一息ついたり、充電するための貴重な時間と言えるでしょう。

1人で仕事をしているなら、休憩やトレーニングの時間を少しでも作り、自分のアートに役立て、能力を発揮してください。そして、成功への意欲をかき立てるもの(ソーシャルメディア、オンラインサービス、フリーランスのネットワークやフォーラム等)を活用しましょう。もう指示を仰ぐ上司はいないのです。これは 最高の贅沢ではありませんか?

 


▶ オリジナルURL(英語):https://www.3dtotal.com/interview/1135
翻訳:STUDIO LIZZ (Atsu)
編集:3dtotal.jp

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