Blenderなどのオープンソースツールで作業を高速化:『ミスディレクション』のメイキング

UVの投影とテクスチャ

これは、締切を守る際に最も役立った手順です。私は、アンラップして個別にテクスチャリングする代わりに、まず、カメラからUVを投影。次に、Blender のテクスチャペイントモードの[外部の画像エディタの利用]機能で、レンダリングカメラからビューポートの正方形の 8K画像を作成。これを Photoshop のマップ(※すべてのオブジェクト間で共有)をペイントするテンプレートとして使用しました。すべてのマップが共有されているので、完成したシェーダを任意のオブジェクトに適用するだけで、正しく見えます(※調整の必要はありません)。

レンダリングカメラから UVを投影

摩耗マップ(複数のオブジェクトのディテールに使用)

テクスチャの投影ができない場合

イメージの大部分は上記の手順でテクスチャリングしましたが、パターンのある布や少女のハンマーなどには、伝統的なアプローチを取る必要がありました。そこで、2つめのUVマップを生成し、従来の方法でテクスチャを作成。2つめのUVマップを持たないオブジェクトにテクスチャをタイリングする場合、[ブレンドボックスマッピング](Blended Box Mapping)を使用します(※Blender内蔵の機能。他のプログラムでの設定は難しいかもしれません)。

2つめのUVマップを適用

Blender の[ブレンドボックスマッピング]

ライティング

ライティングアプローチでは、アートディレクションで、説得力のある光源を配置する前に、現実的なライティングを設定しました。まず、曇った HDRI(太陽の光源)とライトブロッカーで 葉の密集度をシミュレート。次に、テストレンダリングでシーンを調べ、光源を追加する必要があるかどうかを確認します。私は、後ろの3人のキャラクターが最も後景に溶け込むようにライトを設定。ローマの兵士には、主にリムライトを当て、前景の女の子には、光と影で最も高いコントラストを加えています。

最終ライティング設定

シミュレーション

アセット制作の仕上げでは、霧用のスモークシミュレーションと、女の子のマント(スカルプトした)を置き換えるクロスシミュレーションを行います。

煙と衣服のシミュレーション

レンダリングとポストプロダクション

Blender のレンダリングには不慣れだったので、シーンのさまざまな要素に対して、ビューティパスとマットID のみをレンダリングしました。シーンを3つの要素(木・キャラクター・霧)に分割。ポストプロダクションは Blender のコンポジターで行い、主にカラーグレーディングとノイズ軽減を施しました。また、マットID とマスクで さまざまな部分を切り離し、好みのムードと色になるまで 慎重に全体を調整しました。

ポストプロダクションのビフォー&アフター

仕上げ

コンポジットとグレーディングを終えたら、最後に、オープンソースのペイントツール Krita で少しクリーンアップとペイントオーバーをしました。レンダリングアーティファクトを整え、前景に霧を描きます。Krita を使ったのは、試してみたかったからです(他に理由はありません)。

最終イメージ


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp