Blender、GIMP等使用:『ゲート267』のメイキング
カリブ海、西インド諸島グアドループの3Dモデラー Wesley Vanitou氏が SF風の通路の作成方法を共有します(Blender、GIMP等使用)
このプロジェクトは、フランスのコミュニティウェブサイト BlenderLounge で行われたSFコンペ用に制作しました。お題は「SF風の通路」ですが、アセット作りに焦点を当てました。合成、ライティング、ビジュアルライブラリの知識を試しつつ、イラストを完成させていきます。私は過去にこのようなプロジェクトに関わったことがなく、面白みのある原型づくりにも苦労していたので、まず、アセットの制作から始めることにしました。
ステップ01:フロアパネルの作成
まず、尊敬する Fausto de Martini 氏、Vitaly Bulgarov 氏、Grant Warwick 氏、David Lesperance 氏のサイトを参考に、プロジェクトへのアプローチに関するインスピレーションを探ります。次に「ゲート、監獄、宇宙、穴の形状、長方形」といったキーワードのリストを作成。それなりに長いリストになったら、リファレンス画像の収集と制作アイデアをまとめます。この作業に4時間ほどを費やしました。
モデリング自体は Blender で[ブーリアン]と[押し出し]テクニックを組み合わせたシンプルな方法です。コンピュータメモリを節約するため、作成したオブジェクトを[複製]して、最終シーン用にすべてをまとめます。このプロジェクトではサブディビジョンのテクニックを使いません。
フロアパネル
ステップ02:内壁パネル
内壁パネルも同様なテクニックで作成。左側に追加要素を置いて、左右対称性(シンメトリ)を崩します。
内壁パネル
ステップ03:エアダクト
空調システムの作成は楽しい作業です。パネルのみだと、シーンが単調でつまらなく見えたので、1つめのパネルの間に別セクションを作成しました。
エアダクト
ステップ04:ロボット
ゲートキーパー(門番ロボット)も楽しんで作成できました。基本的な球体から始め、シンプルな形状を追加。こうやって、デザイン言語を探っていきます。重く複雑にならないようにしつつ、機能的なルックにするための十分なディテールと装備が必要です。
ゲートキーパー(門番ロボット)
ステップ05:すべてをまとめる
すべてをモデリングしたら、それらをまとめます。通路はシンプルな長方形の四隅を削った形状にして、アセットの配置に試行錯誤しました。最終的に、下の図のようなシーンに落ち着きました。
通路はシンプルな長方形の四隅を削った形状にして、アセットの配置に試行錯誤しました
ステップ06:シェーディング
時間制限があり、コンピュータのトラブルで時間も無駄にしたので、レンダリングはシンプルに留めています。物理的なマテリアル(金属からプラスチックまで)をベースにした要素を作れるように、カスタムメイドのシェーダを使用。このシェーダは一目瞭然ですが、少しだけオプションを示しておきます。図の1つめのシェーダは spreading 効果を上げています。このオプションでスペキュラの強度を広げることができます。
Spreading 効果
ステップ07:ID とクレイ
IDマスクマップとクレイレンダーのオプションがないので、効果的な方法を探る必要がありました。数多くのオプションがあります。しかし、残念ながら、多くのポスプロ作業をおこなう私にとって融通の利くものはありませんでした。しかし、この方法ではシェーダに統合されていて見事に機能しました。現時点では Betaバージョンですが、すぐにリリースされる見込みです(※原文にも説明がありません)。
シェーダ
ステップ08:レンダリングと合成
ご覧のとおり、レンダリングは本当に基本的なものです。よくある傷ついた汚しのシーンではなく、きれいで魅力的なレンダーにしました。お楽しみは「合成」からです。ライトを強くして、環境光を調整。スチームやレーザービームも追加します。
スチームやレーザービームも追加します
ステップ09:修正
合成を終えたら、小技をいくつか使って、イメージを向上させましょう。オリジナルの.xcf GIMP 拡張ファイルのコピーを作成する前に、イメージを統合して修正プロセスに取り組みます。
Gmic は GIMP のプラグインで、数百ものフィルターとエフェクトがあります。このイメージでは、Freaky Detailsエフェクト、Hight Pass(ハイパス)、Chromatic Aberratio(色収差)、LUT(ルックアップ・テーブル)、Curve Adjustment(カーブ調整)で修正していきます。
Gmic の設定
最終合成イメージの修正
ステップ10:ハイパスと Unity HUD
私のシステム(Ubuntu 16.04)で重宝したツールが Unity HUD です。現在使っているソフトの機能を統合できるので、[Alt]キーを押して名前をタイプするだけで、呼び出せます(※一部メニューが日本語化されていない場合があります)。
Unity HUD
ステップ11:LUT
LUT(Look Up Table、ルックアップ・テーブル)は、特にカラリストやレタッチャーがポスプロでよく使います。Gmic での操作も簡単で、微調整にはもってこいです。私は LUTs Color Grading Pack を使用して調整しています(※有料のものや、少ないながら無料のものがあります)。グラデーションマップツールを使い、自分のイメージに手動で LUT を施す、あるいは、オンラインで無料の LUT を見つけても良いでしょう。Gmic は .CUBE の拡張子をサポートしています。いったん適用したら、従来の Curve Adjustment(カーブ調整)で少しだけソフトにします。
LUT の設定
ステップ12:最後に
これが最終イメージです。制作はとても楽しく、そのプロセスで多くのことを学びました。このワークフロー楽しんでいただけたら嬉しいです。プロジェクトで制作したアセットは こちら から入手できます。ダウンロードして、ご自由にお使いください。日々のインスピレーション、制作物、素晴らしい作品を与えてくれる 3dtotalチームに感謝します。
完成イメージ