【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード52:誰も信じない真実

ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!


片桐 裕司 / HIROSHI KATAGIRI
彫刻家、映画監督

東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。
東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。

エピソード52:誰も信じない真実

もう10数年になるだろうか...。あの時の事を思い出すたびに、胸が高鳴る。最初それを話しても、誰にも信じてもらえなかった...。そう...誰にも...

しかし、それは まぎれもない真実。「どうせ信じてもらえまい」と自分の心の内に秘めておくと誓ったのだが、勇気を持って、今ここに告白しようと思う。これを読んでいるであろう皆様にあらかじめお伝えしておきたい。どうか... どうか驚かないでほしい。そして、これは まぎれもない真実であると受け入れてほしい。そして、真実を知った時、どんなことが起こったとしても 私を責めないでほしい。その覚悟を持ったならば、読み進めてもらいたい。

告白します。

それは、ある晴れた日の出来事であった。仕事場へ向かう いつもの道。その時に携わっていた仕事は『ヘルボーイ』だったろうか? よく覚えていない。いつも使うフリーウェイが事故で渋滞。その日、私は普段使わない 下の道を使うことにした。今思うと、あれは、神の導きだったのかもしれない。仕事場まで、あと5分くらいであろうか

ふと、道端に何か違和感を感じた。今まで感じたことのない違和感...。きっと気のせいだと思い込もうとするが、何かがおかしい。何か邪悪な力に呼ばれているような、そんな感覚だった

私は、その違和感の元を探した。それは、道の脇の方からやってくる。そして、目の前の、窓の外に映る光景を見たとき、私は言葉を失った。目の錯覚だろうか? いや... そんな事はない。 これは... これは、確かに そこに存在している。

心臓の鼓動が早くなるのを感じる。指先もなぜか震えてくる。その信じがたい光景に、なぜか、目も霞んできた。

私は頭を振り、目をつぶり、思わず、神に祈りを捧げた。それは無意識にとった私の行動だった。こんなときに神に祈るなんてどうかしている。我に返った私は苦笑いを浮かべ、勇気を振り絞って、しっかりと目の前のそれを見つめた。

看板か...。どうやら、それは会社の看板のようだ。一体、何の... 何の会社なんだろう? 考えれば考えるほど、頭が混乱してくる。

しかし... もし... もし可能ならこの会社に挑戦してもらいたいことがある。

どうか... どうか...
日本支社を出してくれ~~~~~~~~!!!

おわり

 

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