【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード36:ブタの悪夢 – 映画『シャーロットのおくりもの』

ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!


片桐 裕司 / HIROSHI KATAGIRI
彫刻家、映画監督

東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。
東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。

エピソード36:ブタの悪夢 - 映画『シャーロットのおくりもの』

今回は、映画 『シャーロットのおくりもの』(Charlotte's Web)の仕事のお話です

 

内容は、女の子のクモとブタの友情物語らしい(よく知らない)

10年以上も前のことです。この映画に出てくる アニマトロニクス のブタの造形を何体かしていました。後半は、いい加減、ブタにうんざりしながら仕上げてたのだけど、それがようやく終わり、ほっとしていたのも束の間。トンでもないことが起こってしまった。

プロダクションからは「アメリカの典型的なブタを作ってくれ」との指示で、それをもとに彫刻して仕上げていたのだが、撮影場所はオーストラリア。スタッフが、いざ撮影にそのブタを持っていって、本物のブタと比べると、現地のブタは何とオーストラリア風味。アメリカのと全然違うのである。

完全にプロダクションのアホなミスで、私の2ヶ月がすべて無駄に。なんと 8体すべてのブタを、一から急きょ、すべてやり直しになってしまったのである(※確か原型は4体で、造られたアニマトロニクスの豚は8体。そのうち3体の原型を作ったと思う)。

その後、再び2ヶ月かけて、オーストラリア風のブタの彫刻をしたのでした。
それは、私とブタの長きにわたる戦いであった。

豚と生き 豚と過ごした 我が人生
 肉は好きだよ 今日もぶひぶひ(辞世の句)

 

※イメージは今回の内容と何の関係もありません

「いやー映画ってホンットに恐ろしいものなんですねぇ」というオチに、またしてもなってしまったのでした(※エピソード34:スピルバーグのツルの一声 - 映画『宇宙戦争』 参照)。

 

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■片桐裕司さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/hollywoodfx/

■ハリウッドで活躍するキャラクターデザイナー 片桐裕司による彫刻セミナー
http://chokokuseminar.com/ ※仙台/名古屋(9月)、九州(11月)申し込み受付中